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「後輩ムーブ」ってまあまあ大事では

仕事相手との飲み会になったとき、部下の育成についての話がちらりと出ることがある。
いつまでも私たちは若いと思っているが、次第に年を重ねて本物の若者との距離が生じたことに気づくと、部下の扱いに悩み始めるものである。

たとえば、後輩の資料を確認するとき当然出来が悪いわけだが「これ、自分で確認したの?」と聞いたりすると「まぁ軽く…」というリアクションが返ってきたり、「結局何が主張したいの?」と聞くと固まって何も言えなくなったり、「新聞記事を書くためにはまず新聞を読んだほうがいいよ」と教えてあげてもかたくなに新聞の購読をしなかったり、様々なケースがある。
私自身も若いころにそんな感じのリアクションをしてしまった覚えはあるが、端的に言えば「上司または仕事に対して部下がナメた態度をとっている」のだ。

こんな時に「お前仕事なめてんじゃねーぞ」などといえば今やパワハラになってしまうし、気を遣って丁寧に教えてあげても「はあ」「へえ」と暖簾に腕押し状態で、次第に教える側である上司もむなしくなっていく。そしてここに「最近の若者は成長する気がないようにみえる」という認識が生まれてしまう。

本当に仕事などどうでもいいと思っている若者はある程度いるとしても、自身が成長できない会社を「ゆるブラック」と呼ぶ現代にあっては、全員が全員成長への意志がないわけではないのだろう。

昇進などをあきらめてだらだらと過ごしたいと思っている人が仮にいたとしても、仕事をその会社で続けるのであれば、業務はちゃんとできたほうがいい。
会社で仕事ができないままでいればいつの間にか「使えないおじさんorおばさん」としてのレッテルを貼られておしまいである。「使えないおじさんorおばさん」に憧れを持っているなら止めはしないが、「成長する気がないな」と見放されることによって生まれるメリットはほぼない。

それだけに物聞きの良い舎弟のような「後輩ムーブ」は重要だ。「さすがです」とか「知らなかったです」といった誉め言葉の「さしすせそ」なんかを適当に駆使しながらやりとりをするだけで、上司からうまくいろんなものを引き出すことはできる。それがたとえかりそめの「後輩ムーブ」であっても、上司から知識とかノウハウを引き出しながらしたたかにやったほうが、会社にとってはもちろん、自分の将来にとってもプラスだろうと思う。

「仕事などやりたくないことをやっているのになんでわざわざ後輩ムーブをしないといけないんだ」というのはもっともだろうが、もし今の仕事をやりたくないのであれば自分がやりたい仕事で生計を立てる努力をするべきで、転職や独立をしてもいい。
それでも現状を甘受し、やりたくないことを「やりたくないな」と思いながらも後輩ムーブひとつ取れずになんとなく過ごしている今こそ、自分自身の生きざまそのものなのである。

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