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【育児】娘、「ねないこだれだ」をせがむ

この世界には数多くの絵本が存在している。中には大人になってからでも覚えているほど印象的な作品もあるし、育児の過程で大人になってから読んでみて新たな気づきを得られるものもある。

私にとって、印象的な絵本の一つが「ねないこだれだ」という作品だ。これは夜になっても眠らずに遊んでいる少年がお化けにさらわれ、お化けになってどこかに飛んでいくという話である。
「お化けになりたくない」という恐怖からさっさと眠ることを子供に促す作品なわけだが、気の小さな私にはこれが効果てきめんで、夜遅くになるとお化けが出てきてさらわれるというストーリーが実に恐ろしくて「ねないこだれだ」を読むこと自体を忌避していたものだ。

いわば最恐絵本である「ねないこだれだ」を読むようせがんでくるのがほかでもない私の娘である。
1歳も過ぎれば大体性格が出てくるものだが、普段から幾分勝ち気な性分の娘は「ねないこだれだ」に対して何の恐れを抱くこともない。
私は娘に夜にはちゃんと眠ることを促すべくわざと声を低くして絵本を読んでみるわけだがなんのその、「こんな時間におきているのはだれだ」というセリフとともにぎょろりとした目が2つ描かれたページを見て「ばあ!」と大声で叫ぶ始末である。

なお、娘はすでに「いないいない…」というと「ばあ!」と叫べるようになっている。パブロフの犬よろしく条件反射的に「ばあ!」と言うようになっているのだが、この場合「いないいない…」の前振りがなく、かつ「ばあ!」の前提にある「何かが見えない状況にある(=いないいない)」がないにも関わらず2つの目の玉に対して「ばあ!」と言ってしまっており、通常のいないいないばあのパターンからすると極めて異例である点はここに指摘しておくべきであろう。

また「ねないこだれだ」の途中に全く清潔感のない泥棒が出てきており、私も毎回見るたびに「しかし汚い泥棒だね」と子供の前では不適当なほど口汚く泥棒のことを罵ってしまうのだが、最近ではその泥棒を指さして「お!」などと言ってしまうケースも目立っており、これでは恐怖もクソもない。

まあ、小さな赤ちゃんは恐怖を感じずに日々生きているのだろう。お化けだろうが泥棒だろうが「あはは」と笑ってなんでも楽しめる娘のお気楽な姿勢は、将来のリスクを考えて何事にも躊躇する大人から失われてしまったものそのものなのかもしれない。

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