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『岡本昌也は映画が撮りたい!』#3

文と映像を通して、岡本昌也がものづくりについて考えるエッセイです。第三回はついに映像の企画を立てたこと!カメラに怯えなくなってきた話。映画撮影のための映像『フラグメンツ』シリーズも掲載します。

フラグメンツ#3『キャベツ&ラン』

「ぼくは好き」とかいうな

 東京にいる。ある企画の打ち合わせと、同世代の作家の映画と舞台をみに行くためだ。これは本当に幸運なことだが、俺の同世代にはやけに面白い人がたくさんいる。これを読んでいる人で、東京にいる人はぜひ児玉健吾の率いる舞台、かまどキッチン『ちいさめ借家怪獣アパートン』とMOOSIC LAB上映中の映画、金子由里奈『眠る虫』を見よう。もっとも、やけに面白い人とは言ったが俺は、この二人の作家の作品をまだ見たことがない……もう俺はな、作品を見なくとも話せばそいつの作るものが面白いかどうか判断できるのだ!……というのは完全に作品や批評を無下にした浅はかな発言だが、同時に、半分、いや4分の1くらいはあっているとも思う。
 「面白い」という言葉は、包括する範囲が広すぎるせいであたかもみんなの共通認識のように使われることが多いけど、本来はどこまでも個人的な感覚のはずだ。「共感したい」というにんげん的欲求は文化の発展やコミュニケーションの感動を生んでくれるけど、時に個の尊さを曖昧にするよね。だれかが「面白い」って言ってるから「面白い」ってことにしような、とか「これを面白くない」って言ったらわたし、センスないって思われるんじゃないの……?とか、そういうのはマジでどうでもいいんだ。お前が思え。たとえば俺とお前が同時に小松菜奈を美しいと思っても、俺とお前の「美しい」には大きな隔たりがあるだろう?……あるのだ。ていうか、俺の方がぜったい菜奈のことをわかっている!どうせお前は薬局で化粧品のPOPとかについてる小松菜奈を「かわい」と思って通り過ぎる程度だが、俺はネバヤンのMVを撮った奴を呪っています。だが、お前の「かわい」は全力で肯定しよう。思うのは素晴らしいことだ、とにかくお前が思っていればいいし、お前が天才奥山さんを呪う必要はない。
 話を戻そう。言いたかったのは、なんでも安易に共有しやすい時代だからこそ俺が思ったことくらい俺だけのものにしたいってことだ。やや気難しい気もするが、児玉くんとも金子さんとも話して「おもしれーやつ」と思ったから、俺は作ってる人を結構作品の中に見るタイプだから、たぶん(俺はね)二人の作品を見てもどこかしら面白いって感じると思う。楽しみだ。

創作あーちすとやってんじゃないのよ

 『岡本昌也は映画が撮りたい!』は完全にひとりずもうである。フラグメンツに毎回出てくれている森脇のみが唯一の協力者だが、基本的に映像のことをもくもくと考えるのは俺一人、孤独な作業だ。
 YouTubeで「のんたれ」という番組をやっている。のんこと能年玲奈がはじめての映画作りに挑戦するという、まさにのん版『岡本昌也は映画が撮りたい!』と言えよう。そう、言えよう。おうおう、のんよ、俺と共に走ろう、まだ見ぬスクリーンの世界へ……思わぬ併走者に心温まりながら、絶対なにかの参考になるかもしれないと見始めたのだが、まったくもっておったまびっくりだった。おいおい、サポートが充実しすぎだろ!!!!数十人のプロのスタッフ、主演は天才女優能年玲奈(そりゃそうなんだけど)、相手役は桃井かおり、機材もセットもいくらかかってんだっつー大盤振る舞いで、その実「なんにもわかんないけど今から映画を撮っていこう!」という若者の夢を金と才能のフライングクロスチョップで打ち砕く容赦のない番組だった。こっちは、iPhoneと熱意だけでやってんだぞ……。ぶちぎれてせめてもの対抗にiPhone11Plusに機種変するところだったが、口座残高を見て冷静になった。そんなことしてもなんにもならん。だってそれはもう、いままでのんが頑張ってたからやん?どうやっかんでもそれはもう、純粋にのんの力やん?……くそう、おれの方があまちゃんだったってことか(「面白い」というのはあくまで個人的な感覚なのを思い出してくれ!)
 と、いいつつ、のんがわからないなりに走り回ってあたふたしながら撮りたい画を撮っていくこの番組は、純粋に創作のよろこびに溢れた素晴らしいものだった。俺自身も、第一回にも書いていた映像に対する「しょーもない虚栄心」みたいなものが薄れてきて、わりと簡単に、どこでもカメラを回すようになった。撮れた映像を見返して、嬉しくなったり、もっとこうすべきだったと思ったり、ちゃんと自分の技術や感性と向き合えるようになってきた。これはいい傾向だ、と思いたい。見てろよ、のん。見てないやろな……

ついに、企画を立てる

 そういう経緯や心境の変化もあって、ついに……映像作品の企画を立てた!映画ではないけど、いま撮りたいものだ。俺は、安住の地という劇団に所属している。団員は現在12名。こいつらが、まーじでいい。ほんとうに、最高にイカすやつらが集まっているのだけど、こいつらの紹介映像を、MVの文脈を借りて作ろうと思っている。ふらっと撮ってふらっと編集するんじゃない、はじめての企画書、はじめての絵コンテ、はじめてのロケハン、やっばい、はじめてだらけである。探り探り企画を練っていく。うまくいくかは不安だ。なさけないが、率直にそう思う。だが、安住の地の面々つまり出演者たちは、のんにも桃井かおりにも引けを取らない京都一、っていうか日本一の奴らだから(へへっと言いながら鼻の下を人差し指でこする)、そこは全くもって心配していない。信頼すらしている。楽しみにしててね。やったるで〜

岡本昌也は映画が撮りたい!#3
【月4回更新予定】


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ミニストップの100円コーヒー(これ、全然ちゃうのよ)
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1995年、冬生まれ。演劇作家・映像作家。京都在住。劇団/アーティストグループ『安住の地』に所属してます。       安住の地HP↪︎http://anju-nochi.com/

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