自分を知る

突然ですが、僕の性別は女です。

……て、説明するの、本当に嫌いなんですよ。妥協して「生物学的には女」とよく言います。あるいははぐらかします。対面していればそんなこと言う必要もありませんが。

なんでそんなことをするのか。僕のことを「女」だと思われたくないんです。女だと見られたくない。女にカテゴライズされたくない。

女なのに。変ですよね。性同一性障害ってやつかなと思ったりもした。でもなんとなく違うような気がする。

じゃあ男なのか?
と言われるといやでも生物学的には女なんですよ、って思う。
なんなんだお前。男か女かはっきりしろ。

ということで目に留まった診断を軽くやってみた。

こころの性:Xジェンダー(男性でも女性でもない性別のあり方)
表現したい性:ノンバイナリー(男性でも女性でもないアイデンティティ)


結論として男でも女でもなかった。
まあこれは「そういう傾向がある」という診断なだけで完全にそうだとは言い切れない部分があるとのこと。

Xジェンダーは「中性」「両性」「無性」「不定性」に大きく分けられるという説明でした。ちょっと僕にはどれが当てはまるものなのかはわからなかった。

体とこころの性が一致している場合はシスジェンダー。違う場合はトランスジェンダーと言うらしいです。
この三つで比べたら確かに、Xジェンダーっぽいなと思う。

そしてノンバイナリー。例えば言葉遣いや服装が女性的か男性的かって言うと分かりやすいだろうか。体の性でもなく、こころの性でもなく、言葉そのまま自分が表したい性のことだ。それが女性でも男性でもない。ジェンダーレスとかって言葉の方がイメージしやすいのだろうか。

診断では他にも恋愛指向や性的指向も診断してくれたが、ざっくりまとめると「性別なんかどうでもいい人間性を見せろ」という指向でした。
まあそれはどうでもいい。


ずっと自分が分からなかった

自分の性自認すらよくわかっていなかった。

自分の体に違和感があった。今でも風呂に入るたびに死にたいとすら思う。自分の体が嫌すぎて。自分は女じゃない。でも体は女だった。

では男だったらいいのか。実際に男に生まれればよかったと思ったことはいくらでもある。男になりたいと思っていた。けれどその気持ちも、最近は「自分の体が女だから、バランスを取ろうと男寄りになろうとしているのでは」みたいな風に考えていた。
なぜなら男が嫌いだと思っていたからだ。ミサンドリー(男性嫌悪)の気があったと言える。今では「まあ男とひとくくりにできないほどいろんな人いるしなぁ」と思っている。今はそうだが、男が嫌いなはずなのに男になりたいという矛盾を心に抱えていた。

「男でも女でもない性自認」というのが存在するということは、ほんのりうっすら知っていた。でも自分がそうだとは思っていなかった。それで僕は苦しんでいたのだ。
男でも女でもない。ニュートラルなその感覚は僕に「僕・私・俺」という三種類の一人称を使わせ、ワンピースの下にトランクスをはかせ、メンズシャツの下にブラをつけさせる。これほどに自由な感覚を有していながら、肉体だけどうにもできない。この不自由さを理解してもらえるだろうか。むしろ自由すぎて理解不能だろうか。

ちなみにこの感覚、対人では女性、男性どちらに対しても「同性と接している」という感覚を起こさせる。
異性だ、と思って緊張するとかそういうことはないんだな。僕の場合は、だが。

来月6月はプライド月間というらしい。セクシュアリティの多様性を世界は虹で表します。
この話をここに書いたのも、僕のように自分の性自認すらよくわかっていない人もいて、人に言い出せず隠している人もいて、まあとにかく多様性。いろんなひとがこの世の中にいるよということを、僕が小さいながらも声を上げることでわかってもらえたらなと思ったからでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?