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ポケットドラゴン〜日曜朝ごはん編〜

「コウタ、コウタ。朝だよー。」

俺の鼻先を、いわく言いがたい感触が掠る。うーん、なんつーか、爬虫類の尻尾のようだけれど、ヌメッとはしてない感じ。奴だ。今日は、日曜だよ。ゆっくり寝させてくれー。

俺は、布団の中に潜り込む。奴は、布団の上でポンポン飛び跳ねているようだが、小さくて、軽いので、全然、効かない。もう、ひと眠り出来そうだ…と思っていたら、奴の声が聞こえた。

「起きないねぇ。どうしたら、起きるかなぁ。火でも吐こうかな。」

ちょっ、ちょっと勘弁してくれ。俺は飛び起きた。

目の前には、手のひらサイズの龍。割烹着を着た龍だ。(どんなんやねん…。)にやにやと笑いながら、俺の方を見る。

「コウタ、おはよう。」

「ウリュ、てめえ…。」

「朝ごはん、作ったよー。」

味噌汁の香りがする。そして、言った。

「早起きは、三文の徳!!」

おまえは、おかんか!

「いただきます。」

俺は、ご飯と味噌汁と納豆という、日本古来のヘルシーな朝食を、割烹着を着た龍と食べている。ちょっとシュール。

ちなみに、ウリュの割烹着は、俺が手縫いで作ったものだ。(俺は、手先が器用で、裁縫なんぞも、お手の物なのだ。)サ○エさんのフ○さんをテレビで見て、ウリュがどうしても、割烹着を着たいと言い出したのだ。龍の感覚は、よーわからん。

俺が作った割烹着を、いたく喜んで、自分が家事をする時は、絶対に身につけるようになったのだ。

ウリュは、俺と同じくらいの大きさの茶碗で、飯を食べる。小さい体で、案外大食らいだ。

ウリュ、曰く、

「僕は、高等な生き物なんだぜ?存在するだけで、すごいエネルギーが必要なんだ。」

とエバる。ただの、食いしん坊にしか見えないが。

ここで、読者諸君は、そんな小さい体で、どうやってご飯を口に持っていくの?とか、家事て、どうやってするの?と思われるかもしれない。

心配ご無用。

ウリュは、龍なので、特殊能力を持っているのだ。念力で、物を動かすことができるのです。

ただ、龍の力の源である「宝玉」をなくしてしまったため、最大出力が、掃除機をかけることらしい。(それでも、手のひらサイズの生き物がやってるとしたら、結構すごい。)

そして、俺の家に居候しているのも、「宝玉」を探すためなのだ。成り行き上、俺も手伝っているのだが、また、それは別の機会に。

「ごちそうさまでした。」

ウリュは小さな手を合わす。ヒゲ?に納豆の糸がついたままだ。

「ウリュ、納豆がついてるぞ。」

俺は、ティッシュで、ウリュのヒゲ?を拭いてやる。

「ありがとー。」

ウリュは、にっこり笑う。ギョロ目が糸の目になる。

ちくしょー、かわいすぎるだろっっ!

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