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全裸監督 第4章 要約

第4章 600万円(毎月警視庁刑事たちに渡していた工作資金)
警察の捜査状況を刑事たちに密かに教えてもらうための賄賂(当時、裏本を取り締まるチームが4つあり、その4つのチームに満遍なくお金をばらまいていた。打合せと称する接待とその場で渡す現金50万とか)。裏本制作者と取締り側のズブズブの関係を暴露している。

裏本を毎月20本出版できた最大の理由は、村西とおるの応酬話法の威力(女を口説くテクニック)。当時、ビニ本に出る女はいても裏本(本番をする女)の女はなかなかいなかった。埼玉県川口市の大規模な印刷会社を3億で買収し、裏本の増産体制を確立。この印刷会社が何処で今でもある会社なのかは不明だが、ドイツ製の4色輪転機と製本工場を持っていたらしい。同時期、グリーン企画にいた山崎紀雄は「神田草艶書林」という出版社を立ち上げ、大手印刷会社から製版技術者を引き抜いてグラビア印刷の技術向上に貢献したという。こうした出版・印刷の裏歴史のエピソードは、それだけでまた1冊書けるぐらいである。

流通ルートは足がつかないようにした(通帳は裏本1冊ずつ作り、入金を確認すると処分したり、配本は宅配やレンタカーなど不規則に変えて送り主も偽名の問屋を用いた)。但し、納税は北大神田書店として律儀に札幌税務署に申告していた。
1982年、新英出版(新潮社と集英社から1文字ずつ取って付けた)設立。最盛期の社員150人。裏本の暴利にヤクザが入ってきたり、部下も次々逮捕される中、確立した流通ルートを活かすためにまともな出版社をつくることにした(既存の取次を通さない独自ルート)。名言:流通を制する者は資本主義を制す。

新英出版の様々な本。本橋信宏との出会いも新英出版。早稲田を出た本橋の主戦場は「週刊大衆」と「平凡パンチ」の企画もので、学生同士のスキーツアーで女子大生との情交ルポをしたり(主催者は当時の早大生【今はNHKの報道の最高幹部】)、夜の早慶戦と称して吉原トルコ風呂でテクニック・サイズ・マナーなどの採点をした(記事に書かれたビックサイズの慶大生【今は民放の皇室報道に欠かせない解説委員の重鎮】)。当時、写真週刊誌「FOCUS」が売れ出し1984年には200万部発行していたのを目の当たりにして、1982年「スクランブル」を発行。本橋は初代編集長。

人物列伝★草野草平。埼玉所沢生まれ。日大芸術学部中退(全共闘活動)、ヒッピー生活、針金細工の路上販売で生計。好きになった女が「女性自身」の編集者でそのツテで女性自身に潜り込む(デザイン・ライター)。極真空手の分裂危機スクープ(噂の真相に掲載/大山倍達と梶原一騎の離反・添野支部長の破門)。スクープがタッチの差で二番煎じとなった本橋と添野道場で会う。1981年にライターを廃業し、スポンサーから資金を得て裏本制作を開始。台湾で性交写真を撮った裏本が「信濃川」(卸値2,000円×6,000冊=1,200万。経費は製版代8万、印刷製本100万、撮影料30万、モデル料30万、諸経費=豪遊費50万で純利益は1,000万)。「信濃川」初刷り6,000部が完売し、調子に乗って4,000部増刷したら余ったので、さばくために北大神田書店に接近した(ここで№2のミツトシと出会い、村西から新英出版の編集局長に任される。当時、まともな本を作れる人材が周囲にいなかったから)。今は伊豆高原で庭師・別荘管理を仕事にしている。
本橋の別の著書「裏本時代」(幻冬舎アウトロー文庫)には、池田草平に村西とおるを紹介されたエピソードが書かれている。池田草平からは、週刊誌で新英出版の写真集のプレスリリースを依頼されたりした。新英出版準備室=ワールドフォトの事務所(裏本のアジト)で本橋は初めて村西と出会う。

※カバン屋のキンちゃん(カバンに裏本を入れて営業する問屋ブローカー。ガサ入れで捕まらないように、喫茶店のマスターに扮してアジトにやってくる)。
※印刷ブローカー島崎社長(戦後カストリ雑誌の印刷をしていた。粗悪なカストリ酒にひっかけて3号でつぶれる雑誌のことをそう呼んだ。村西に印刷や手形の知識を教えた。
※田口ゆかり(裏本の女王)などなど。


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