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シリーズ自己K発#5「備えあれば憂いなし」

 前回で教わる力を学んだものの、当時の上司と仕事の進め方が合わず、依頼を受けた仕事はいつもやり直しを食らっていました。そんなとき読んだのが『やり直し・差し戻しをなくすできる人の準備力』(上阪徹、すばる舎、2016年)でした。

 準備には「目的の確認」「ターゲットの確認」「アウトプットイメージの確認・共有」「プロセス/手法の作成」「アウトプットを考える」「アウトプットする」と、なんと6つもステップがあるんですね。パソコンに打ち出すのは最後の「アウトプットする」にようやくという感じです。目的ファーストで、相手に合わせた仕事の進め方や説明方法を考え、仕事の発注者に清書の前で一旦すり合わせしておくのが準備力ということになります。

 仕事の発注側が、全ての情報を与えてくれるとは限らないことを念頭に入れておくと、足りない情報を仕事の受注側が勝手に補完してしまうため、やり直しになっちゃいます。相手が求めることに応じるには、それを探るために聞きましょう。相手の考えがあいまいだったり、ぼんやりしている場合には、話を聞きながら一緒に目的を定める必要があります。受け手側のレベルによっては時間がかかるかもしれませんが、間違っていてもいいのであーだこーだしておき、後々の許されない失敗の芽をつんでおく気持ちでいるのがよいのでしょうね。このとき、仕事の発注者の向こうにもターゲットがいることが往々にしてあります。お互い様です。

 確認の際、仕事の発注者のアウトプットイメージがぼんやりしていたら危険だというチェックリストが示されています。
・求められるボリューム
 民間か行政か、経営者か担当者かで変わってくるように思います。
・配布先
 内部か外部かで体裁、洋式や文言の言い回しが変わってきます。
・口頭か文書か
 上司の場合、好みにもよります。
・基本的なことか専門的なことか
 これも経営者か担当者か、相手側が細かいことを求めているかどうかによります。
・データの整理のみか分析もいるか
 個人的には簡単な分析をつけてあげる方が親切かと思いますが、緊急度にもよります。
・デザインや好みの有無
 読みやすいレイアウトや色使い以外は、上司などの好みによります。
・機密保持
 外部に対しては要確認です。
・類似物や参考書類はあるか
 一から資料を作らずに済みます。が、探すのに時間がかかる場合には、一から作るほうが早い場合もあります。

 このとき、詳細にとらわれ過ぎず、まず大枠でイメージが共有されていることが大事です。著者はとりあえずやってみる、はやり直しを前提とするとしていますが、相手も自分もノーアイデアの場合もあり得ます。その際は、手間をかけずやってみて大枠を決めるというのも間違えではないでしょう。

 すぐにパソコンを打たない準備力では、考えるプロセスを大事にします。資料の内容を埋めていく際にどこに力点を置き、効果的に伝えたいことを理解してもらえるか工夫する、求められるレベルの相場観を理解する、ターゲットのメリットを考え、情報を取捨選択するなどといった編集マインドが必要です。さらに文章は読んでもらえないのが当たり前。キャッチコピーや見出しを付ける、分量を減らすなどといった読み手の負担を軽くする配慮も求められます。

 こうしたステップを経て、ようやくアウトプット。すり合わせのときと同様に、まず荒く作ってみて、次の点を確認します。
・仕事の目的に合致しているか
・ターゲットを意識できているか
・求められたアウトプットイメージに適うか
・アウトプットを正しく考えたか
・気遣いをきちんと加えられているか

 ここまで来てもなお、やり直しを食らうかもしれません。その際は、どの点がなぜやり直しとなったか振り返ると今後に活かせます。このあたりは以前にご紹介した「教わる力」に関わってきます。21世紀に生きる人々はいろんな力を求められ、大変なものです。。。

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