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【週末投稿】四季がある日本のバナナ #5(アマチュア界の歴史と地域性)

初めて植物を育てた時を思い起こすと、何度か枯らせてしまい、失敗しながらコツを見つけて育て上げられるようになった事を思い出す。
日本でもバナナは難しいと思われるかもしれないが、努力次第ではご家庭で収穫までたどり着けることが出来る可能性を持っている。

バナナはご承知の通り熱帯で育つ植物であるから、植物園などの温室でご覧になった事もあるかと思う。私もバナナは温室で見るものだと、つい最近まで思っていた。

しかしおよそ12年前、まだ Twitter や Facebook が世に現れる前、ホームページや掲示板がネットコミュニケーションの中心だった頃に、自宅の庭で熱心にバナナを育てる事を研究している「バナナ掲示板の管理人」の方とネットで出会った事が、私の人生を大きく変えた。

ここの掲示板に「バナナを育ててみたい」と思った人達が集まった。
皆で情報交換をしながらそこが試行錯誤の公の場となった。
今振り返るとそう思えた。
本州でバナナを育ててみると春、夏に成長する為に、育成は比較的簡単の様に思えたが冬越えという大きな壁があった。
ある程度大きく育っても冬越えすると全て枯れてしまったのだ。

しかし静岡の熱心な研究家などがその壁を乗り越え結実まで到達した。
衝撃的だった。普通の家の庭にバナナが生えており、実がついている写真を投稿されていた。

掲示板の話題の中心は、越冬方法の工夫・耐寒性のあるバナナ品種の追求だった。それから数年が経過して、多く方がブログで情報交換しながら育てる方が増え、結実が出来る方も少しづつ増えてきている。

南北に延びる日本列島。
気候が違うなかで、どのようにバナナを育てているのだろうか。

まず店で売っている一般的なバナナ(Giant Cavendish)は耐寒性が無いので、沖縄以外の一般家庭での育成は困難と考えて頂きたい。
ここで言うバナナとは、ある程度耐寒性のある種を用いての話になる(沖縄除く)。

【沖縄】
通年露地栽培で実バナナは収穫できるのだが、実は熱帯における現地バナナ栽培でも悩まされる「害虫」、「病気」、台風被害がある。
 バナナは強風に弱い。そのため何も対策をしないと根本からなぎ倒される被害が出る事がありせっかく実がなっても商品価値が無くなってしまう。
なかなか経済栽培までは難しく、沖縄の店に不定期で並ぶ程度と聞く。

関東の私の所でも以下の様に、台風が来ると株が倒れてしまう事がある。

【関東以南】
九州でも地域によっては、冬に零下になるところもある。
バナナは育成環境にもよるが、マイナス数度程度であれば工夫により越冬成功する例がある。
私はマンションに住んでいるのだが、壁の近くに植えると風をよけたり、蓄熱効果もあり無保護でおおよそ越冬に成功している(下記写真)。
熱帯の現地では、苗を植えてから収穫まで1年以内で達成するが関東の場合は開花するまでの丈になるまで3年の歳月がかかる。
桃栗3年、バナナも3年というところだが、日本では2年で収穫できるところもあるようだ。

冬に上空から降りてくる寒気も越冬を邪魔する現象であるから、竹林等で上空を若干の笹の葉で隠れる程度のところにバナナ苗を植えて、越冬成功して実を収穫している方もいる。

ちなみに沖縄で問題になっている「害虫」とは、「バナナゾウムシ」というものであるが、マイナス気温になる本州では虫自体越冬が出来ないため、今のところ被害報告は聞いていない。しかし今後温暖化の影響もあるので注意が必要だと思われる。

【関東より北】
無保護路地越冬は難しいかもしれないが、ホビーの研究成果をこれから期待したいところ。秋に掘り上げて鉢に移植し家の暖かいところで越冬させて、春にまた露地に植え替えるという手間をいとわなければ可能だと思われる。

いかがでしたでしょうか。
日本でも一般家庭の方でも、品種を選べば数年かけて実を収穫する事が出来るのです。

次回は春に復活する、バナナの生命力についてお話しましょう。

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