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少数精鋭マーケティング集団 北の達人コーポレーション #マーケティングトレース

はい!みなさん、おばんでございます。たいまです。
気づいたらまた、一カ月たっておりました…やばい。

今回は北の達人コーポレーションについてトレースします。

企業概要

正式名は株式会社北の達人コーポレーションで、2002年5月の創業です。
健康美容品をECで販売する通信販売事業を展開しています。
リクルート出身の木下勝寿さん(現代表)が創業しました。元々は北海道の名産品をネット通販で販売する事業を展開していました。2015年に東証一部に上場しています。

ビジネスモデル

北の達人コーポレーションのビジネスモデルを図解すると以下のようになります。

北の達人コーポレーションビジネスモデル

北の達人はECサイト「北の快適工房」を運営しています。
特徴は3つです。定期購入モデル「サブスクリプションモデル」を採用している点と、商品をOEM先に外注している点、トレンドに流されない商品を開発している点です。

定期購入モデル
北の快適工房で提供する商品は1ヶ月のお試しパックと1ヶ月~3ヶ月ごとに商品が自動で届けられる定期購入モデルがあります。定期購入モデルは新規顧客が増えるほど売上が積みあがっていく仕組みであるため、安定して売上が伸びていきます。※一定数解約する人もいるため、一定の目減りはある。北の快適工房の場合、売上の約7割が定期購入からの売上になっています。

OEMで商品を製造
商品のほとんどがOEM先で製造されています。自社で原材料を買い付け製造を外部委託する方法も一部採用しています。OEM先も複数社ある特徴があります。これは北の達人が製品ごとの特徴にあったOEM先を設定し、最高品質の健康美容商品を提供するポリシーがあるためです。

トレンドに流されない製品
「流行に流されないこと」をコンセプトに商品開発を進めています。健康美容商品業界では、新成分やトレンド法を売りにした商品が次々に発売されています。しかし、トレンドに乗っかった商品は一過性のブームで終わってしまい、消えてしまう場合が多いです。
北の達人では消費者にとって本当に良い製品を提供するために、トレンドに流されず、本当に良い成分にこだわって商品開発をしています。

財務トレンド

売上高推移
直近5期を見ても、右肩上がりで推移しています。特に2017-2018、2018-2019の伸びが特徴的です。
※2019年決算説明会資料より引用

北の達人_売上高推移

営業利益率
22.4%を達成しています。

従業員数推移
一方、従業員数の伸びを確認してみると、売上に比べ増加率が高くありません。売上高が16期から18期にかけて約3.1倍に増えているのに対し、従業員数は1.6倍しか増えていません。
※売上高推移

北達売上

※有価証券報告書より引用

※従業員推移

北達従業員

※有価証券報告書より引用

ここ数年で一気に一人あたりの売上高が上昇していると分かります。
少数精鋭で売上を上げ、高収益なモデルを展開しています。


財務トレンドを見ると以下2点が気になります。
・売上推移が2年で急激に伸びていること
・売上の伸びに対して、従業員数の伸びが比例していないこと


この2点が非常に気になります。今回のマーケティングトレースはこの2つの疑問を紐解きながら、北の達人コーポレーションの強みを考えていきます。

●4P分析

売上高を因数分解してみると以下のようにできます。
「売上高=(サイト訪問数×課金率+既存ユーザー数)×単価」

この因数のうち、どの因数を伸ばす施策を行ってきたのか考えていきます。

北の達人コーポレーションを4P分析すると以下のようになります。

北達4P

この中でも最も注目したいのはプロモーションのネット広告です。

北の達人の一番強みは広告戦略です。
事業としてはEC事業ですがWebマーケティング企業といっても過言でないほど、力を入れています。損益計算書を見てみると広告宣伝費が全体の37%を占めています。

北達PL

他の企業と売上高に対する広告宣伝費の割合を比較してみても、北の達人の広告宣伝費への投資率は異常だと分かります。

ネットでの集客に強い弁護士ドットコム、化粧品通信販売のファンケル、ニュースキュレーションサービスのGunosyと比べても以下の通りです。

北達1PL


北の達人は自社商品のインターネット広告に力を入れていると分かります。
つまり、売上因数のうち”新規顧客の母数を上げる”戦略をとっていると分かります。

北の達人の広告の何が凄いのか?

北の達人コーポレーションの広告運用は新規顧客の母数を稼ぐだけではない強みがあります。

自社開発した広告運用管理ソフト“アドマネ”を用いて広告出稿管理を行っています。
アドマネを用いて、常時5000本程度の広告出稿をデイリーでCPO(新規顧客獲得単価)を管理しています。

広告メディアごと、広告原稿、キーワードごとはもちろん、時間帯、曜日、年代等、様々な分類に応じて細分化してデイリーでCPOを算出し、採算が合わない広告は配信を停止。
広告原稿、飛び先ページとの整合性、入札金額などの出稿条件をチューニングして再出稿し、採算が合うまでPDCAを回し続け最適化を行っています。

広告運用は2017年2月に代理店委託から自社運用へ転換しており、このタイミングでアドマネを活用した運用を開始しています。

そのため、2017年~2019年にかけての売上の伸びの要因は広告戦略の成功が要因と予測できます。

※余談ですが社長の木下さんのTwitterからも広告運用へのこだわりが伺えます。

優秀層に特化した採用を強化

北の達人は社内制度と報酬で優秀な人材を集めています。2018年には大卒学生の初任給を36%引き上げ、34万に、総合職を対象に給与水準を21.2%底上げするベースアップを実施しました。新卒平均給与が20万6100円と考えると、非常に高い給与が支払われていると分かります。

また、優秀な人材を採用し、少ないリソースながらも売上を上げる、少数精鋭集団を採用の売りにしています。
2019年2月時点で従業員数は87名(正社員)、臨時雇用者を含めても100名弱です。従業員一人あたりの営業利益は約2000万円と、上場企業平均の10倍を誇ります。生産性の高いビジネスを構築できるのも、EC事業を主体とする企業の特徴
です。

まとめ

北の達人コーポレーションはマーケティングが非常に優れている会社です。
広告運用が圧倒的強みですが、4Pの各要素に戦略が練られています。

市場が拡大するECに特化し(Place)、ニーズがブレない商品(Product)を費用対効果が高い広告運用(Promotion)でファネルを広げ、定期購入モデル(サブスクリプションモデル)で(Price)安定して売上を積み上げる戦略は参考になります。

また、昨年の広告運用はアドマネの運用ミスによりROAS(広告費用対効果)が低下した中でも高い利益率を誇っており、今後さらに利益率が高まる可能性が高いです。

今回は以上になります。今後はファイナンスの視点を盛り込みながら#マーケティングトレースを行っていく予定です。多角的視点で興味深い企業を継続して分析していきます。お読みくださり、ありがとうございました!

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参照記事
・株式会社北の達人コーポレーション 有価証券報告書

・株式会社北の達人コーポレーション 決算説明会資料

・株式会社北の達人コーポレーション 採用サイト

・REGIONAL CAREER

・バフェットコード


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