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リハ栄養学による正しい食事方法を理学療法士が解説

こんにちは、TeTeです。

世界でも権威を誇るオックスフォードの論文に非常に面白い内容が記載されていました。今回は、その論文の研究結果をもとに、リハビリ効果を最大限に発揮するための方法についてご紹介してきます。

健康増進の実現するためには、筋肉量の増加と適正な栄養が必要とお伝えしてきました。私もリハ栄養学の理解を深めるために、日本だけの研究資料だけではなく、世界中の論文を読むようにしています。2023年1月に発表された研究結果によれば、「運動後の食事が老化による筋力減少を抑える」という内容でした。

絶食状態のマウスと摂取状態のマウスでは筋肉の増加量が違う

論文に記載された研究の目的をお伝えすると、「老化で減少する筋肉量は栄養状態の影響でどのように変化するのか」という内容です。

生後3ヶ月の若齢マウスと生後24ヶ月の老齢マウスを研究対象にして、一晩絶食状態のマウス2匹と摂食したマウス2匹に電気刺激を与えました。絶食状態では若齢マウスと老齢マウスの筋肉を作り出す筋肉タンパク質合成には変化がありませんでしたが、摂食状態の若齢マウスには、いつも以上に筋肉タンパク質合成が増加していることがわかりました。

参照:加齢は、マウスの高強度筋収縮に対する骨格筋タンパク質合成の食後反応障害と関連している

つまり、「適切な栄養が摂取されていれば、老化による筋力の減少速度を遅らせることができる」ということです。年齢を重ねても健康状態を維持できることがわかった貴重な研究成果でした。

筋肉を作り出す筋タンパク質の合成機能とメカニズム

「タンパク質を摂取すれば、筋肉が太くなる」このことは誰でも知っている内容ですが、そのメカニズムまで理解している人は多くありません。そもそも筋肉には、筋タンパク質の合成機能が大きく関わっていることをご存知でしたでしょうか。

筋タンパク質の合成・分解は24時間行われており、筋肉量が保たれているのは、合成・分解のバランスがとれているからです。合成量が分解量よりも多ければ、筋肉量が増加し、合成量が分解量よりも少なければ、筋肉量が減少する仕組みになっています。

とくに過度なダイエットや病気になると、筋タンパク質の合成量が減少してしまい、筋肉量が著しく減少していきます。筋タンパク質の合成は、血液中のアミノ酸の量により刺激される仕組みです。アミノ酸の量が増えるほど、筋タンパク質の合成が促進されます。

これが「タンパク質(アミノ酸)を摂取すれば筋肉量が増える」と言われる理由です。

タンパク質を3食均等に摂取しないと筋肉量が減少する?

筋肉を合成するために必要なタンパク質の摂取量は、成人男性は1日に65g(65歳以上は60g)、成人女性は50gのタンパク質が必要と言われています。

ちなみに65gのタンパク質を摂取するためには、以下の食事内容が参考になります。

1日にごはん300g(丼1杯)、牛もも肉脂身なし100g(1人前)、紅鮭70g(1切れ)、納豆50g(1パック)、牛乳2杯

注意するべきポイントは、1日の総量を摂取できたとしても、朝40g、昼10g、夜10gのように配分が不均衡になってしまうと、筋肉量が低下するリスクが高くなることです。朝20g、昼20g、夜20gと3食均等にタンパク質を摂取することで、筋肉を合成する働きが促進されていきます。

これからの食事は、1食20gを目安にタンパク質を摂取していってください。

効率よく筋肉量を増やすための食事法

リハビリ(運動)と食事(栄養摂取)が健康状態を保つためには、リハビリと食事の順番も重要になってきます。ここでタンパク質摂取のタイミングを整理していくと、運動は筋タンパクの合成を促進し、食事は筋肉に必要な栄養素を摂取するのが目的です。

運動量の低強度に関わらず、運動を行ってから筋肉の合成速度が高い状態が24時間は続きます。合成速度が高まるピークは運動直後の1〜2時間と言われているので、ピーク時に食事を摂取することがベストなタイミングです。

リハビリ後には、1食20gのタンパク質をしっかり摂取することで、加齢による筋肉量の減少を遅らせることができ、健康寿命も伸ばすことができます。あなたの健康増進のためにも、今回の内容を意識しながら、しっかりと栄養を摂取していきましょう。

次回も健康増進についての記事を投稿していきますので、お楽しみに。


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