作品備忘録#1~私たちは何者になりたいのか~

この大都市東京に生きる私は、1400万分の1の存在。その中で私たちは誰になろうとしているのか。それとももっと大きな中で、なろうとしている人物を探そうとしているのだろうか。

私たちは”何者”になりたいのか。


●直感的な感想「嫉妬」
すごく気持ちがわざわざする映画だった。人の嫉妬が就活というイベントで露わになっていることが、この映画の魅力だと思った。その嫉妬にすごく共感ができてしまい、共感できてしまうことによって自分自身が傷つく。他人に嫉妬してしまう自分自身の汚らわしさに嫌気がさす、でも嫉妬して悪意を示さなければ自分自身を肯定できないのだ。
そりゃ、1400万のいるこの大都市で生きているのだから、人と比べてしまうのは仕方がないことだと思わないか。


●登場するのに登場しない人物
朝井リョウさんの作品は読んだこと・観たことがなかったため、今回が初めて観賞した作品となった。ある人物が客観的でしか登場しないということが、この「何者」という作品の一つの特徴だと思える。烏丸ギンジだ。主人公の拓人の劇団サークル友人である彼は、ほぼ拓人目線やTwitterなどの評価、などでしか登場せず、烏丸自身が誰かと会話したりなどするシーンで登場することはない。私は実際観たこと、読んだことはないが、その作風は「桐島、部活やめるってよ」にどこか似ていると聞いたことがある。重要な人物なのに、あえてその人物との接触シーンを避けることで、よりその人物が不鮮明になり、作品自体の深みを増すと思えた。


嫉妬との向き合い方

人が集まる環境、人と付き合わなければいけない環境に私たちは属している。私以外の人間がいれば、私以外の考え方や性格が存在する。似ていることはあっても、全く同じものは決してない。頭ではわかっているのに、心で理解できないのがわたしたちだ。だから、今もそうやって私以外の誰かになりたがる。私は”何者”なのか。私は私だ。
誰かと比べることで、自分自身の幸福度を測ろうとしている。あの子よりこうだから、私は幸せ。。そんな悲しい測り方はやめたい。
別に幸せぶろうとしなくてもいい。ただ、もっと自分の価値観とか外見とか、体とか、なんていうか自分を知って、大切にして。。したい。
こんなのただの綺麗な戯言にしか聞こえないかもしれない。痛々しい言葉にしか聞こえないかもしれないけど、そういう聞いていて恥ずかしい言葉とか、痛いって思われる言葉とか、考え方をしてしまうのも私なんだなって、受け入れたいと思う。

痛くて何が悪い。欺瞞だらけの言葉で何が悪い。そうやって、私は嫉妬と向き合おうと思う。



おわりに
今回の「何者」はNetflixで観賞しました。やっぱり何か作品に触れることは、自分自身と向き合えるきっかけになると思います。読書や、映画鑑賞などで作品に触れ、もっともっと自分を知っていきたいと思います。そして、自分を知ることでもっと自分を理解することで、私が何を考えているのか、何を思ったのか発信していければいいなって思っています。




追伸
やっぱり足の短い、胴が長くて、顔の丸い猫が可愛すぎますね。


2020.09.20