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読書日記110 【スピリチュアル漫画家!】

 魔夜峰夫さんの作品で、「パタリロ」という漫画の作者。僕は小学生後半で「このアニメなに?」とシュールな笑いがあまりわからなかった。ボーイズラブをメジャーにした作品としても知られている。僕も意味が解らずに「なんで、『やめろ!』と言ったのに、バンコランの言うことをマライヒは聞くの?」と質問して担任を困らせていた。新卒の女性の担任だったので申し訳なく思っている。


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 新潟で生まれ育ち、漫画家になったらしいのだけど、少女漫画に興味をもってしかも描くとなると、浮いた存在だったろうなと思う。ただ、芸術家って浮いているくらいが丁度いいらしく、著者も有名な作家になっていく。ギャグの素質がやはりあるのだろう。内容はとても面白く書かれている。

 違う作家のファンクラブ会長と真剣交際をして結婚をしたり、女性が書けないというので美男子を書きその延長でボーイズラブを書いたというのは、ちょっと笑ったし納得もした。著者はスピリチュアルをもっているというかその「導き」で生活をしていたらしい。流石にスゲーといった内容も書かれていて、奥さんが若い時にコックリさんをした時の名前が実は著者の本名だったとか、背中にビリビリと刺激を受けたりしたとか、読むほどに「すげーな~」とその人生の不可思議さを際立たせるいる。

 漫画全盛期に莫大なお金を稼いで、それを宝石に変えていたらしく、売れない時代が続くとそれを売って生計を立てていたという話は経済的にもあっていて、特に金はすごく高騰したのでびっくりするほどのお金だったらしい。そういうスピリチュアルを信じられない人でも面白可笑しく読めるのも、著者のおもしろさからにじみ出る部分な気がする。

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 僕もそこら辺の話がある。昔、長野の田舎の宝石店で金を売っていたらしいのだけど、キャッチに近い強引な売り方だったらしく会社の同僚が相当買っていた。すると半年ぐらいして同僚が文句を言い始めた。「10万で買った金のネックレスが2万で買い取りだって」同僚がギャンブルで金に困りその店に行くとそう言われたらしい。パチンコと競馬でかっていた僕は何時もお世話になっている同僚だったので、3万で引き取るよというと同僚は快諾した。

 すると、他の同僚も買ってくれと言われしょうがなくトータルで10万円以上の金のブレスレットを買った。その時は調子にのっていたのもあり、そのままそれをしまい込んだままにしておいた。それから結婚をして別れるときに親の借金の保証人にしてしまったのもあって、僕の持っている高級時計2つとその金のブレスレットの固まりを元妻に渡した。彼女は「いらない」と言ったのだけど、なんか渡しておかないとなと思い渡した。

 「これが、いつか役に立つから」と僕が言ったらしい。しかし、そこは言った記憶が僕にはない。元奥さんはフーンと思って聞いてるだけらしかった。それから10年以上経って、今の旦那さんが失業したりして、元奥さんの方でどうしてもお金が足りない時があったらしい。倹約家な人だったのでホントに大変だった時だろう。その時に僕が夢枕にでてというか声だけだったらしいけど、その声が聞こえたらしい。

 アッと思い出し、昔のものをと荷物をひっくり返して探すと僕が渡したものが出てきたらしい。売ると相当な額になったと書いてあった。天の声を出したであろう本人の僕は知らなかった。長いお礼のメールも届いたけど、忙しくて読んだのは週末だった。あわてて、「そんなので、助けられたというのは光栄だ」とメールすると「ありがとう」と返事がきた。こっちにも「知らせ」が欲しいとは思ったけど、ハッピーならそれが一番だと思う。

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 そういう風に「天に身を任す」生き方も面白いだろうなと思う。中国の故事の「邯鄲(かんたん)の夢」というのが話にでてくる。貧しい少年がうたた寝をしていた時にみた「夢」が立身出世して妻を娶(めと)り、子供が生まれそして成長し往生するまでをみるのだけど、それがうたた寝だったという話で、僕の祖母のオジが大型船の甲板から海へ落ちた時同じことがあったらしい。

 著者がいう「冬の時代」から「月曜から夜更かし」での「翔んで埼玉」での人気復活は僕も知っているのだけど、そこまでの経緯はこの本で知った。自分の方向性として著者はこう書いている。

「自分のやり方はこうだ」とか「これしかできない」なんて、決めつけちゃダメですよ。すると昔はよかったとか、今の自分を否定して身動きができなくなってくるから。
「自分の方向性を定める」ということは大切なのだけれども、「我を張る」ということとは、またちょっと違うと思うんですね。

  年を取るとホントにできないことが増える。読まないのに本を買うくせに、「面白いよ」と渡されても「読めないな」と置きっぱなしになってしまう本があったりした。そういう本を拾い上げて掃除をして本を開くとまた発見があったりする。歳をとっても動けるというのに、「天がみている」という意識も信じる信じないは別として必要なのかもなと思った。

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