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ラブアタックは突然に… 25

年が明けて、数日後。
来年度の生徒会役員総選挙が始まった。

〇〇)…立候補者は…和と…黎人か

生徒会長は案の定、和とあの五十嵐黎人の一騎打ちが予想された。

晴也)ま、案の定って感じかな
〇〇)うん。
晴也)で、お前も推薦されてる訳?
〇〇)…まぁね

俺もクラスから副生徒会長に推薦されていた。

晴也)井上さんの応援演説どうするん?お前も推薦されちゃもう無理だろ。
〇〇)…確かに…それもそうか…誰に頼もうかな…

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和)私の応援演説?
〇〇)うん。俺は遥香先輩が良いと思う。
和)…遥香先輩か…確かにありかも
〇〇)なら遥香先輩に頼みに行こ?

黎人)おっとお二人さん。

〇〇)…
和)何よ…

黎人が咲月やその他の男子陣を連れてやってきた

黎人)応援演説誰に頼むんだ?
〇〇)それを話してるんだよ。

黎人)ほーん。ま、俺はもう決まってるから良いんだけどさー…和は、誰に頼むんだ?もしかして、先輩に頼むとか?

すると周りの男子から笑い声が聞こえる

咲月)ちょっと!!

咲月が静止にかかる

黎人)お前、学年中からあまり良い評判聞かないしな。1年の時に皆んなに冷たくしてたから。

〇〇)お前…!

黎人に詰め寄ろうとした俺の袖を和が掴んだ。

〇〇)和…!
和)いいんだよ…私がいけないんだから…
〇〇)でも…!

黎人)あ、もしかして傷に塩を塗ったかな?
〇〇)お前な、まずその余計な口を開かないところから始めろよ。

黎人)余計な口…ね…俺は事実を言ってるんだけど?
〇〇)…なんだと!!!!

和を振り払い、黎人に詰め寄ろうとしたその時…

瞳月)〇〇!!

〇〇)瞳月…
黎人)ん?あ、さらにめんどくい方の山下か〜

瞳月がズカズカと黎人に詰め寄り…

バチン!!!

〇〇)…し…づき?

瞳月が黎人にビンタを喰らわした。

瞳月)さっきからやかましい!!とっとと失せろや!!
黎人)お前…良い度胸してるな〜

黎人が瞳月に詰めかかる

瞳月)…ひっ!!
〇〇)瞳月!!!

2人の間に入り、黎人の腕を掴んだ。

〇〇)もういいだろ。
黎人)…チッ…まぁいい。せいぜい頑張りたまえ井上和君。

黎人は俺たちの脇を通り過ぎていく
そして咲月が残り…

咲月)…私、和の事…応援してるから…黎人に負けずに頑張ってね?

咲月も黎人の後を追う。

〇〇)瞳月、怪我ない?
瞳月)…う、うん…
〇〇)和…行こ?
和)うん…

瞳月)なんなん?!あの五十嵐って奴!
〇〇)前からああいう奴だよ
瞳月)…〇〇怒っとる?
〇〇)…別に
瞳月)嘘や!絶対怒っとる!

〇〇)…当たり前だろ!!!

大声を出すと瞳月が驚く

〇〇)ごめん…
瞳月)…こっちこそ…しー、また変な事言っちゃった…

〇〇)…とりあえず、和…
和)…ん?
〇〇)絶対に黎人に勝とう。
和)…うん

〇〇)…和を当選させるために誰が演説すれば…
瞳月)〇〇でええやん
〇〇)俺は副会長に推薦されてるから除外だよ

和)うーん…やっぱり桜かみっく…
〇〇)…

俺は瞳月を見た

〇〇)瞳月、お前やってみたら?
瞳月)…し、しーが?!
〇〇)うん。
瞳月)で…でもっ!しーそういうの苦手やし…

〇〇)…瞳月が和の応援演説をすればきっと票が集まってくると思う。
和)…それ、男子受け狙いでしょ?

〇〇)それもそうだけどさ…
和)…
〇〇)和?

和)ごめん、私今日帰るね。

和は1人で立ち去っていった。

〇〇)…
瞳月)ねぇ、〇〇?さっき和ちゃんの評判高くないって言ってたけどホンマなん?

〇〇)…俺は噂レベルでしか聞いたことないけど…

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この日、和は俺の家にはおらず自分の家で1人部屋に閉じこもっていた

和)…

和)…私になんか…無理…だよね…。

袖を強く握り締める和。そして目からは光るものがこぼれ落ちていた。

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〇〇)…

和の評判が高くないという理由。
それは俺も噂で聞いた。
それは和が

″1人の女子生徒との確執があるから〝

1年の頃、和には仲の良い親友がいた。
しかし、その親友が次第に荒れていき和が距離を取ろうとした。それをみた和をよく思っていない輩が、和の悪評を流した。

『井上和は、親友を見捨てた最低な女。』

それ以来和の性格がガラリと変わったとか。

和の美貌は高校入学前から有名で、それを妬んだ連中が一定数いるのもおかしくはない。

〇〇)名前は…確か…

〇〇)…村山美羽…。

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