土曜日だけの訪問ヘルパー③

1日ずっと経験の無いことだらけで
感情の整理もできず、どんな言葉が
相応しいのかも分からないまま
帰りの電車には乗らずひたすら歩いた

...あ、そうだ
今日は不在にしている姉に代わり
甥っ子たちに夕飯を作るんだった

材料を買って姉の家に着き
茶の間へ入ると
高校生の甥っ子と目があった

あ、さえこちゃん

いつもと変わらない穏やかな顔と
緊張感の無い声に何かがきれた

あのね今日ね
新しい仕事に行ったの訪問ヘルパー
それでねなんかねすごかったの
おじいちゃんやおばあちゃん
ほとんど動けないんだけど皆いい人でね
先輩もほんとに優しくてね
なんかね、なんて言うんだろう

すごく感動したの

そう言って泣いてしまった

衝撃的な朝に始まり
おじいちゃんやおばあちゃん
そして先輩の姿を見て心が揺れに揺れ
最後に残ったのは感動だった

私の話をすべて聞いて
甥っ子は

それはすごいことだよ
仕事で感動できるって
泣けるってスゴいことだと
俺は思うよ
 
そうかな、そうかな
そんな風に返事をしながら
彼は茶碗を洗い
私は野菜を切った

そしてその日から
自信も経験もない頭のうえに
タマゴの殻をつけたまま歩いているような
訪問ヘルパーが誕生しました

それがわたしです

話を最初に戻すと
それが仕事でも趣味でも
何でも良いのだけれど
心や魂が喜ぶものに触れられたり
出会えるということは
しあわせだと思うというお話です

追伸
訪問ヘルパーのお話は
また近いうちに:-)

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