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【検証】塩で日本酒を飲む。塩専門店「塩屋(まーすやー)」で、日本酒にぴったりの塩を

日本酒を、塩で飲む。
非常に背徳感のある響きです。そして一度はやりたい魅力的なフレーズでもあります。

どうせするならとことん「合う塩」で飲みたいと思い、塩専門店の「塩屋(まーすやー)」へ行きました。

日本酒に合わせるなら「一番塩」がおすすめ

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塩屋(まーすやー)は沖縄発の塩専門店。
店内には国内外の天然塩のほか、さまざまなシーズニングソルトが販売されています。

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(試塩も可能!)

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(シーズニングソルトも多数!)

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そして、スタッフには専門知識を持った「ソルトソムリエ」もいます。塩選びをサポートしてくれる頼れる存在です。

「…日本酒に合う塩がほしいのですが。いえ、料理じゃないのです。その、塩だけで飲むんです」

というしどろもどろなオーダーに見事に応えていただきました。

おすすめ①天然塩、さらに「一番塩」
塩そのものを味わい、お酒に合わせるなら、とにかく塩自体がとびっきり美味しいことが必要。それには海水を煮詰めてつくる「天然塩」が最適。さらに、海水を煮込んで最初に浮かぶ結晶「一番塩」は甘みがあり、苦味も少ないので特におすすめ。

おすすめ②食感が面白い「結晶」
天然塩の「結晶」が残っていると、口のなかでアクセントが生まれて面白い。なかでもインドネシア・バリ島で伝統製法によってつくった塩は、貴重な「ピラミッド型」。じゃりっとした独特の食感が楽しめる。

この2つにまーすやーオリジナルのシーニングソルトを購入しました。

「塩で飲む!」日本酒はこの2種類

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A 菊正宗しぼりたて銀パック
華やか系&ケミカル系代表。紙パックながらやたら美味しいと話題のお酒です。

B 金寳 純米酒(仁井田本家)
しっとり、ナチュラル系代表。自然酒で知られる仁井田本家の純米。おかんばえする、重心低めの万能酒。

実験、日本酒と塩の正解を探す(天然塩編)

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それではまず「天然塩」から。左のやつは普段使っているわりとやすい塩ですが、ベースとして使うことに。

①普通の天然塩
②塩の花…天然塩の一番塩(新潟県・笹川流れ工房)
③ラウト バリ ピラミディオン ※ピラミッド型の結晶(インドネシア・バリ島)

まずは「銀パック」との組み合わせ。

・1(普通塩)×A(銀パック)=△
塩のしょっぱさがあり、次に酒の甘み。交わることなく、別々の味がある印象。塩はすっきり消え、甘みだけが残る。ややえぐみあり。

・2(塩の花)×A(銀パック)=◯
普通の塩よりもとげがなく、たしかに甘みがある。日本酒の甘さともやや合う気が。「甘じょっぱい」という印象そのまま。

・3(ラウトバリ)×A(銀パック)=×
うわ、まずい! 塩由来の旨味などいろいろな味わいが紙パックと合うと思いっきり反発する。舌に残るどくとくの塩味、苦さが、はなやかなお酒にまったくあわない。

続いてじわじわと優しい旨味が魅力の金寳で。

・1(普通塩)×B(金寳)=◯
違和感なし!お酒の旨味がまるっと塩味をまとめます。というか塩が負けてます。お酒の余韻の方が長いので、いやな後味もなし。自然酒すごい!

・2(塩の花)×B(金寳)=◎
これはうまい!!一番塩独特の甘み、複雑な後味が日本酒の余韻と見事にシンクロします。

・3(ラウトバリ)×B(金寳)=◯
これもあり!!じゃりっとした軽い結晶にお酒が入り込む。
相性云々の前に、お酒が万能すぎるだけな気もしてきました。

結果、最も相性がよかったのは2(塩の花)×B(金寳)です。
どうやら、味の方向性の違いではなく、味の「強度」が同じくらいだとマッチするようです。

シーズニングソルトでも検証

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天然塩と一緒に購入したシーズニングソルトセットです。

4・ジェノバ塩
バジル、パセリ 、ガーリックなどのブレンド。トマトスープやグラタンなどにおすすめだそうです。

5・ダイナマイト塩
ピバーチ、島唐辛子、ブラックペッパーなど。ビリっと辛いパンチある塩です。

6・ごはん塩
ハイビスカスのローゼルを使っていますが、これが紫蘇の風味にそっくり。黒ごまもあり「ふりかけ」にぴったりです。

では、シーズニングソルトと「銀パック」。


・4(ジェノバ塩)×A(銀パック)=◯
合う、意外と合う! ジェノバ塩のハーブの軽さとお酒の重心の高さがちょうどいいかもです。

・5(ダイナマイト塩)×A(銀パック)=×
きもちわる!!辛いのとあまいのが、なぜかまったくあわない。飲み終わりのお酒の苦味と塩分に苦味だけがあって、えぐい。

・6(ごはん塩)×A(銀パック)=◯
紫蘇っぽい風味が、お酒の軽さとあう。どうやら「酸味」まわりは合うみたい。ただ、なにかがたりない。なにか料理にこれをかけて、それを飲んだらおいしいかも。

ラストはシーズニングソルトと「金寳」です。

・4(ジェノバ塩)×B(金寳)=×
これは合わない…いや、飲めるのですが、せっかくのハーブがただ邪魔です。

・5(ダイナマイト塩)× B(金寳)=◯
普通によく合います。スパイスの強烈な刺激をお酒のまろやかさが中和してくれます。今回は金寳でしたが、もっと山廃とかのパンチのつよいやつの熱燗とかだとよりいいいかも。

・6(ごはん塩)×B(金寳)=◎
ああ、おいしい! これはもう、お酒ですが「ふりかけごはん」のような相性のよさです。

さまざまな味が組み合わさったシーズニングソルトの場合、加わってくる要素によって相性は変わってくるようです。
個人的なおすすめは6(ごはん塩)×B(金寳)でした。


塩で酒は、飲める。

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(塩屋の岩塩)

塩で日本酒、なかなかいけます。
シンプルな塩ならそこまで外れがないように思えます。
以前、「鎮守の森」の竹口さんとお仕事をした際に「調味料の『さしすせそ』でお酒を合わせたい」と聞いたところ「塩は基本的にあう」と話されていましたが、本当にそうだと実感しました。

なぜなら、◯とか×とかしつつも、気がつけばすいすい杯を重ねていたので。
無意識に酒がすすんでしまう、塩ってすごいです…。

もちろん、お酒を飲みます。