見出し画像

日本酒マリアージュの料理教室。 レストランにはない「体験」の美味しさ

「外」で日本酒を飲むことの魅力は、そのお店の考える「味わい方」にあると思います。最良の保存状態のお酒をいくつも揃え、それらにあう料理を導き出す知識とアプローチ、その技術と手間は、家庭ではなかなか再現できないものです。
(そんなこと全然考えない大衆酒場も好きです)

今回、「日本酒のマリアージュの料理教室」があると聞き、参加してきました。料理はしますが教室は初です。

※また、今回は日本酒メディア「SAKE Street」の取材でお邪魔しました。料理研究家・真野遥さんのインタビューは下記サイトで公開します。

意外とガチ!まずは日本酒の勉強から

教室には参加前の「宿題」があります。まずは真野先生オリジナルの「日本酒講座」を動画で見て、日本酒の最低限の知識を得て臨みます。手作り動画なのですが、これが非常にわかりやすいです。

写真は当日の資料。結構ガチな内容でした。まずお酒を単体でテイスティングし、マリアージュを作るお酒への理解を深めます。

そして調理へ。先生を囲むような形で、作業分担をしながら料理をしていきます。「料理教室」とあって、レシピはどれも家庭で再現できるレベルのもの。参加者の中には「…普段全然料理しないです」という人もいましたが問題なし。基本は先生のお話(コツとか)を聞きながら、わいわい作っていきます。

真野先生の日本酒マリアージュ

それでは、本日味わった(少し作った)料理と、日本酒とのマリアージュを紹介します。

1品目
日本酒:風の森 秋津穂 純米しぼり華
料理:白菜と柿のシーザーサラダ ゆず風味

これは何と言っても「ゆず」が効いています。
サラダそのものが優しい甘みがあるため、風の森とは好相性。その上でゆずの風味が、お酒のチリッとした刺激をぴったりです。すごいおいしい。

2品目
日本酒:月山 芳醇辛口純米
料理:大根の唐揚げ

まず、「大根の唐揚げっておいしい」ということに驚きました。ほくほくでありながら、水分が多くてジューシー。これに月山のシャープな味があわさると、油がきれてさっぱりな印象に。なのに口の中の旨味は逃さず、むしろ増幅させる。
ずっと食べていたいやつです。

3品目
日本酒:出羽桜 貴醸酒 SWeeeeeT
料理:ロシア風水餃子 サワークリーム和え

貴醸酒に餃子!というところにまず驚きましたが、「サワークリーム」の酸味がうまくつないでくれます。そのうえで肉汁がいい仕事をします。餃子に甘いお酒、ありです!

(貴醸酒はこんな感じで氷と柚子を加えて楽しみます)

4品目
日本酒:天狗舞 山廃純米酒
料理:牡蠣と麹豚の土手鍋

天狗舞の熱燗って本当に天才です。「お酒は料理と温度をそろえる」とはいいますが、まさにお鍋のための燗酒。牡蠣のこっくりした旨みと、お酒の熟成感とぴったりあいます。料理は再現できなくても、「こってり味付けの鍋なら天狗舞頼もう」と思えそうです。

レストランとは違う、レッスンのおいしさがある

4品でお酒のマリアージュを体験して、教室はお開き。
満足でした、お腹も頭も。

そしてそれは「飲食店」とはまったく違うタイプの満足でした。

・料理は家庭で再現できる
・日本酒もわりと買えるもの

と、内容だけでいうと、飲食店の方が完成度が高いように感じます。

しかし、しばらくたったあとに「あそこ面白かったなー(重要なのが、おいしいではなくおもしろい)」と思い出すものの中には、きっと今日のような料理教室が入ってくるのです。

ここは教室なので「学ぶ」と「マリアージュを楽しむ」がセットになっている。しかもその幅はサラダからロシア、鍋と遊び心たっぷり。

味の記憶という、よりその日、五感で感じた記憶が、美味しいといったところ。

むろん飲食店とレッスンは別次元のものなので比較できませんが、とある夜の外食体験として見ると、とっても満足度高いです。

ちなみにこの真野さん、月替りでいろいろなテーマ(酵母とか、色とか、地域とか)でマリアージュメニューを考案されています(常連さんの話では「トムヤムクン」と日本酒の組み合わせがすごかったとか)。

予約殺到の人気レッスンですが、ぜひ!

※また、真野さんにお話をお聞きしていたところ「本を出すのが目標」だそうです。応援しています!

もちろん、お酒を飲みます。