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アメリカの日本酒(SAKE)を飲む会。白麹、ハーブ、粕取り焼酎!? 世界のSAKEは楽しい

日本酒は、日本のお酒です。しかし現在、世界で日本酒(という名称は使えないのでSAKE)が造られています。米と麹と水を使う「日本酒」の製法で。しかし、日本で飲む機会はほとんど得られません。

しかし今回、日米で活躍するSAKEジャーナリストの木村咲貴さん主催の「アメリカSAKEを飲む会」に行ってきました。王道あり、スパイス?ありのバラエティあふれるアメリカSAKEをレポートします!

スーツケースで逆輸入したアメリカSAKE!

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こちらが今回のラインナップ、当然のことですが、すべて初めて目にしました。日本の蔵の日本酒がどんなにデザインを工夫してもたどり着けない、逆の本物感が漂ってきます。

今回のSAKEは、木村さんが個人的に現地で入手し、スーツケースに入れて持ち帰り、さらに日本でしばらく常温保存していたもの。そのため「多少味が変になっていても気にしない」というルールです。

もちろんOKです、私は変なSAKEを飲みにきたのです。

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(木村さん作成のアメリカ酒蔵資料)

現在、アメリカでは37(くらい)のSAKE蔵があるそうです。結構多い気もしますし、広さを考えると非常にニッチな存在、という気もしてきます。現地ではいったいどんな存在として認知されているんだろう。

意外と?普通においしいぞアメリカSAKE

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Arizona Sake 非売品ビール

乾杯はやっぱりビール。アリゾナ州の砂漠の街という、絶対に稲作できなさそうなところにある蔵「Arizona Sake」のクラフトビールです。非売品というのは、ホームブルーイングで作ったものだから。日本と違い、比較的自由にお酒作りできるんですね。

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Arizona Sake 火入れ レギュラー酒

いよいよアメリカのSAKEです。いったいどんなアメリカンな味かと飲んでみると……普通においしいです。繊細で和三盆みたいな甘みがあります。参加者の中からは「綿あめ」「ハーブ」という声もあがりました。

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Den Sake Brewery レギュラー酒のバッチ#14/白麹酒

こちらはオークランドのDen Sake Brewery。ちなみにDenは「田」、「田酒造」と書くと急に日本酒蔵っぽさが増します。

お酒は白麹酒とレギュラー酒、なんとカリフォルニア米を使っているそう。日本の米を使うより「アメリカSAKE」感があって期待が高まります。

これもおいしい。「普通に」とかそういうレベルじゃなくって、とてもおいしい。酸味があってキュッとしまります。

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実際に造り手とお会いしてきた木村さんの解説を聞きながらSAKEを味わいます。「蔵元の迫さんは、元ミュージシャンです」など、詳しいエピソードを教えてもらうと、次第に「異国の謎の酒」から「アメリカで挑戦している職人の作品」へとイメージが変わるので不思議です。

アメリカらしいヒネ方がある?変な味を欲しがる不思議

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Sequoia Sake Brewery 白麹酒

サンフランシスコの「Sequoia Sake Brewery」。元起業家のジェイクさんと奥様・紀子さんの2人という、IT業界出身のご夫婦で造っているのだそう。白麹流行っているのでしょうか…もちろんおいしいです。

完全に、アメリカSAKEをなめてました。「どうせ日本の日本酒より劣る変な味だろう」と、具体的に考えていたわけではありませんが、それに近い色眼鏡はありました。でも、おいしいです。普通にうまい。

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(木村さんは、瓶からそのまま香りを取るタイプの人でした)

聞くと、今回木村さんが持ち帰ったのは、日本で酒造りの経験がある人など、いわるゆ「正統派」のラインナップとのこと。

アメリカの蔵は大手とクラフトブームにで誕生した中小蔵が入り混じっており、玉石混交。中には、日本では味わえない、アメリカ独特のひね香(劣化臭)のものもあるのだそうです。いつかそういうのに出会いたい。

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Sequoia Sake Brewery 生酒※別の参加者の持ち込み

一方、水の違いなのか、普段のむ日本酒とは違う舌触りというか、雰囲気というか、そういうのはありました。多分、気のせいです。

スパイス酒、粕取り、個性派SAKEもいい!

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Sequoia Sake Brewery クリスマス仕様 スパイスブレンド酒

きました!スパイス!変なSAKE! 日本酒では飲んだことのないタイプです。飲んだ瞬間に清涼感がのぼってきて「なんだこれ!」となりました。これはこれでおいしい。

日本の日本酒の枠の中での「変」なのであって、世界のSAKEとしてはまったく自然な形なのかもしれません。こういう、固定観念が揺れるのが楽しいです。

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St.George Spirits 粕取り焼酎

アメリカの蒸留所がつくる「粕取り焼酎」。これもおもしろいです。SAKEをつくるだけでも珍しいのに、日本酒造りで取れる酒粕を蒸留してつくる「粕取り」もあるとは…。そしてこれが本当においしかったです。

「飲み会」って、やっぱり楽しい

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(参加者が持ち込んだ中国のSAKE。いけました)

アメリカSAKEをテーマに、数名でいろいろ話しながら味わいました。
そして、やっぱり飲み会って、楽しいです。

参加したメンバーの中には、お酒の味に詳しい人がいれば、製法に詳しい人、蒸留酒に強い人、世界のお酒に詳しい人などがいて、そんな人たちの感想や話を聞きながら味わうのは、自分ひとりで飲むよりも何倍もの情報を聞くことができます。そしていろいろな視点があると、SAKEは何倍もおもしろくおいしく感じられます。

あと単純に、わいわい飲むって楽しいものです。

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はじめまして、の20代の若者たち。皆お酒に携わるプロフェッショナルで、話の半分も理解できませんでした。でもわからない話を聞きながら飲むのも楽しい。

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酒ジャーナリストであり、同時にシンプルにSAKEが好きという雰囲気が写真から見える木村さん。貴重な機会、そして楽しい飲み会ありがとうございました!

私も日本で変なお酒がないか、探しておきます。

※木村さんのプロフィールには、木村さんがライターとして参画しているSAKE Streetのものを、各酒造の紹介記事は木村さんが海外版のディレクターを務めるSAKE TIMESのリンクをそれぞれ貼っています。

もちろん、お酒を飲みます。