見出し画像

捨てたらスッキリするけぇね。

 今月に入って両親が断捨離に目覚めている。

 母がいわゆる捨てられない人なので家に大量の服やカバン、靴がある。
 
 いきなりすべて処分するのも、もったいないのでまだ使えそうなものやフリマサイトで価値が付きそうなものを見繕いに実家に行ってきた。

 家に入るとちょうど作業の真っ最中で家の中は空き巣でも入ったかのように物が散乱していた。

 ひゃあ大変だねぇと母に声をかけると、あらいらっしゃいと疲れた声で返事が返ってきた。

 今出しているものはもう使わないから気になるものがあったらどんどん持って帰りなさいと言う。

 ではお言葉に甘えてと答えてさっそく不用品の山に立ち向かった。
 
 ざっと見た限りで二十や三十ではきかないくらいカバンが積み上げられていたのでカビが生えておらず型崩れもしていないものを集中してより分けていった。

 私が物色している間にもどんどん物が増えていった。
 
 一体いつから捨てていないの?と母に尋ねるとお母さんはね子どもの頃から貧しかったから捨てられない身体なのよと言いつつ、掘り出した服を懐かし気に眺めていた。

 おっと、これに付き合っているといくら時間があっても足りないと思ったので別の場所で作業をしている父のもとに向かった。
 
 父は思い切りのいい人でいらないと思ったものはバシバシ処分するので身軽である。

 昨日は私の部屋の本棚と箪笥の中身をバッサバッサと捨てていた。

 事前にいるものが無ければお前の部屋の片づけはワシがやるぞと言われていたのでいいよと伝えていたので問題はなかった。

 私が高校生の頃まで使っていた部屋なので時間はその時で止まっていた。

 古いマンガやプラモ、プロレス雑誌が段ボールにパンパンに詰まっていた。

 その中にはちょっとエッチな本もあったはずだがそれについては父が何も言わなかったのは武士の情けだろう。
 
 あらかた片付いたみたいで本棚はスッカラカンになっていた。

 本の入った重い段ボールを抱えて一階に降ろす作業は手伝った。

 その間にも母の使っているクローゼットからどうやってこれだけしまっていたの?と思う量の服やカバンが出てきた。

 さすがに父も呆れて、キリがないから今日はもう終わるぞと言い出した。

 母も疲れていたらしくそうねと答えて作業の手を止めた。

 部屋に散乱しているものをとりあえず畳んだりして簡単に片づけた。

 残りは後日という事になった。
 
 戦利品を手に帰ろうとしたら父がお前の部屋の押し入れも片付けたいと言っていたのでまた顔を出すことになった。

 帰宅して妻に母の荷物を見せたらあらこれはいいわと言って赤い皮のポーチを発掘していた。

 やれやれ、これじゃミイラ取りがミイラだと思いつつ肩をコキコキ鳴らした。

 そんな事があったので昨日の晩御飯は簡単なものにした。

 時間が無いときのお助けメニューと言えばカレーである。

 鶏の胸肉が冷凍庫にあったので解凍する。

 溶けたらザクザクと薄切りにする。

 入れる野菜は新玉ねぎ、新ジャガイモ、もやし、キャベツ。

 もやし以外の野菜は細切りにする。

 フライパンに油を敷いてニンニクを入れたら火を点ける。
 
 ニンニクの香りが立ったら鶏肉を入れる。

 ある程度火が通ったらそこに野菜を加えて炒めていく。

 全体がしんなりしたら水を入れて沸騰させる。

 アクが出てくるので丁寧にとる。

 具に火が通ったらそこに叩いた梅干しを三個入れてコンソメを振り入れる。

 そこにカレールーを入れて火を弱めてよく溶かす。

 五分くらいとろ火で煮込んだらフライパンカレーの出来上がり。

 お次は少し手順を増やしたナンを作る。

 小麦粉に砂糖と塩を混ぜてお湯を何回かにわけて入れて捏ねる。

 全体がまとまったらぴっちりとラップをして三十分寝かせる。

 この寝かせる工程が改良版である。

 その間に副菜を作る。

 マヨネーズに味噌とすりおろしたニンニクを加えてニンニク味噌マヨネーズを作る。

 キュウリをスティック状に切って冷蔵庫で冷やす。

 ナンの生地を休ませている間にサッとシャワーを浴びる。

 お風呂上りに早速生地を四等分に分けて麺棒で平たく伸ばす。

 これを油を敷いたフライパンで焼いていく。

 薄く伸ばしていればすぐに火が通るので両面をこんがり焼く。

 これで時短カレーの晩御飯の出来上がり。

 お酒はやっぱりビール。
 
 パッシュとプルタブを起こしてグラスにトクリトクリと注ぐ。

 妻と乾杯してまずはゴブゴブとお酒を飲む。

 クヒーッ美味いと声が漏れる。

 つまみはキュウリで決まり。

 今年初のキュウリだがマヨネーズをつけてポリポリ齧ると瑞々しくて美味しい。

 つまみにはこれ位軽いものが良いなと思いながらビールをゴクッ。

 ではカレーを食べよう。

 改良版ナンを千切ると生地がふんわりしていて硬くない。

 おっ、と思ってカレーをつけて食べてみるとこれはパンに近いなと思った。

 これまでの生地を寝かさないバージョンに比べて食べやすさが格段に向上していた。

 妻もこのナン作り方変えたの?とすぐに違いに気づいた。

 私はもったいぶって生地を寝かせてみたんだと言って胸を張った。
 
 後で調べてみると私が作ったのはナンというよりはチャパティに近いらしい。

 ナンは生地を発酵させるが、チャパティは無発酵というのが大きな違いである。

 お手軽なのはチャパティの方なので私はこれからもそっちの製法で作ると思う。

 いずれにしても美味しい生地に即席のカレーがよく合っていてたのしい晩御飯だった。

 カレーは冷凍したのでお休みの日のお昼などに食べたい。

 今日は何を食べようかな。

 毎日おなかが減るのは健康の印ですよね。

 お酒もちょっとだけ飲んじゃおうかなぁ…。

 てへっ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?