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受け入れの方法とスキル 第1段階 その7

⑥給食の様子

 給食の時間です。給食は、通常学級で食べています。
 「給食の準備は、遊びだ」と思っているのか、好きなようです。特に、お盆配りが好きで、いつもやらせてもらっています。

先生「じゃ、いつものようにお盆を配ってください。これくらいできるか
   な?」

 伊藤先生が渡した十枚くらいを持って、配っていきます。置き方は、まだ、乱暴です。投げるように置いていきます。ひょっとしたら、その音を楽しんでいるのかもしれません。

先生「みーちゃん。ちょっと下手だわ(「共感」)。みーちゃんは音が楽し
  いのかな(「想像」)?でも、お盆を配るとき、音を立てたらだめだ 
  よ。先生を見てて。ほら、そーっと置いて、音がしないでしょう。こ
  れが上手よ(「覚えて」)。」

 みーちゃんは、ちらっと先生の方を見て、ややお盆を置くのがていねいになりました。

先生「そう、少し良くなったね。だんだん、音がしないように丁寧に置きま
   しょうね。いろいろ、教えてあげる先生は、いい先生でしょう?
   (「愛着」)。」

給食の時間です

 好き嫌いの多いみーちゃんですが、はじめの導入で「全部食べないとだめよ」と指導したのがよかったのか「学校給食は、全部食べないといけない」と思っているようです。
 ただ、量があまり食べられないので、食べきれる量を決めるのに時間がかかりました。最近やっと、みーちゃんの食べる量が伊藤先生には、分かってきました。
 でもまだ、牛乳が苦手でいつも3分の一くらいしか飲みません。どうやら、臭いが嫌らしいと気づいて、ストローで飲む練習を最近始めました。

先生「どう?みーちゃん。おかずはこれくらいでいい?多くない?」

みーちゃんは、先生を見ている。

先生「よかったら、『はい』といってください。(「覚えて」)。」

みー「は。」
   注)少しでも、それらしく言えていたら「伝わったよ」と
     いう気持ちを込めて褒めます。

先生「『はい』言えたね(「共感」)。じゃ、全部残さないで食べてね。そ
   れが小学校のルールよ。ほら、いただきますが始まりますよ。みんな
   と一緒に合わせて言いましょう。」
   注)ASD傾向の子どもは、リズムがちがうので、あいさつが
     早くなったり遅くなったりしますが、共感関係の形成の
     ためにもいちいちそれを指摘しない方がいいでしょう。

学校用牛乳

  給食はほとんど食べたのですが、やはり牛乳が残っています。

先生「牛乳が残っているね(「共感」)。あまり好きじゃないのかな(「想
  像」)。でもね、ほら、ストローを使ってもいいことにしたでしょう。  
  それ、それがストローよ。チュッと吸ってみて。ビンに口をつけて飲む
  のと、臭いが全然違うよ(「覚えて」)。」

みーちゃんが、ちょっと飲んでみました。

先生「どう?全然違うでしょう(「共感」)。においが、あまりしないでし
  ょう。だから、頑張って飲みましょう。…だいぶ飲んだね。偉いね。頑
  張るみーちゃん、先生は大好きよ…そうそう…がんばれ(愛着)!!」

かなり励まして、今日は半分ほどのめました。

先生「もうそれでおしまい?ギブアップかな(「想像」)?じゃ仕方ないん
  ので、いつものように手を合わせて『すみません』してから残してくだ
  さい。いくよ『牛乳を残して、すみません』…そうそれでいいよ。段々
  全部飲めるように頑張りましょうね。じゃ給食を先生と一緒に片付けま
  しょう。」


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