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第121回MMS(2016/01/24対談) 「富山の金型工場から、メタルアートのミュージアムを!」 株式会社フジタ 代表取締役 梶川貴子さん

本記事は2016年に対談したものです。情報はその当時のものですので、ご了承ください。

●アルミ削り出しで、「欄間」作っちゃいました

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enmono 第121回マイクロモノづくりストリーミング、本日も始まりました。本日は2016年1月24日、富山県高岡市から吹雪の中、株式会社フジタさんへお邪魔して、梶川社長と一緒にお送りいたします。よろしくお願いします。

梶川 よろしくお願いします

enmono 今日はあいにくの猛吹雪ということで、大寒波が来る中でお時間いただきまして本当にありがとうございます。それでは最初に株式会社フジタさんがどういったお仕事をされているのかというのを簡単にご紹介いただければと思います。

梶川 株式会社フジタは富山県高岡市西部の福岡町にある福岡金属工業団地の一角にございます。1975年が設立で、今年42期目です。

enmono では設立されたのはお父様?

梶川 そうです。私の父親です。

enmono すごいですね。40年以上もやられていて。元々金型屋さんなんですか?

梶川 元々はアルミサッシ関係のお手伝い、外注先で始まって、車のホイールメーカーさんとかが地元にあるので、鋳造の金型や切削を始めて、ほとんどは自動車業界で養ってもらっていました。

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enmono 今、従業員は何名ですか?

梶川 パート含め15名です。

enmono 具体的なお仕事内容は?

梶川 アルミ鋳造の金型の設計・製造と、プレスの金型の設計・製造、あとは部品加工だったり、その場で頼まれたことをやったりと。

enmono 結構サイズ的には大きなものを?

梶川 そうですね。機械に乗るものまでは受け入れるので、X軸で言ったら1500くらいは大丈夫ですね。

enmono なるほど。梶川さんと我々の出会いは昨年の2月に世界コマ大戦というところでお会いしたんですね。で、アヤシイ二人組が来て握手を求められて握手してしまったと。

梶川 それ以前からFacebookでは繋がっていて、お二人のことを存じ上げてはいたんですけど、直接お話したことがなくて。

enmono どんな印象でしたか?

梶川 「なんかやってるなー」という感じで。

enmono 「自分には関係ないなぁ」という感じでしたか?

梶川 最初の頃は関係ないなと思ってたんですけど、たまたまコマ大戦の時にあの人、行司の――。

enmono 落合さん。

梶川 落合さんのブースでスケール(定規)を見てたら小山君が説明しだして、インターンシップでzenmonoさんにいるって言うから紹介してもらいました。

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enmono 我々にコンタクトをとっていただけたということは、なにか会社としての課題があったんでしょうか?

梶川 課題はたくさんあるんですけど、決まり切った行儀のいいセミナーはもう一通り行って、なんかつまんないし、かといって自分の中で次の展開が見えなかったので、まぁ一つの経験だと。そこでダメでもいいじゃないかということで「参加します」と。

enmono 我々のzenschoolは自社商品開発のセミナーですが、ご参加の前から自社商品を開発したいという考えはあったんですか?

梶川 私が代表になってから会社をPRする時に製品がないので、製品がないのにどうやってPRしようかなーって。

enmono そうですね。なかなか難しいですよね。

梶川 金型やってますって言っても一般の人には関係ないですし、展示会に出ても、「じゃあ何の金型なんですか?」って言われて、「いや、プレスもあるし、鋳造もあるし、鍛造もあるし」って言ったら、「じゃ何屋さんなんですか?」って。フジタとしてバーンと打ち出すものが見えてこない。自社製品も考えたんですけど、最終的な商品にしなければならなくて、なかなかハードルが高いので、「商品じゃないかな」と思ったんです。

enmono でも何かは取り出したかった。

梶川 そうです。「フジタは○○」っていうイコールで繋がるものが欲しかったんです。

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enmono なるほど。それで講座に入っていただいて、我々と一緒に悩んだわけですけど、いかがだったでしょうか?

梶川 なんて言うんですかね~。身体は大丈夫なんですけど、すっごい脳みそが疲れましたよね。

enmono あはははっ(笑)。

梶川 脳疲労っていうヤツですか(笑)。なんかココ(頭)でグルグルグルグル色々考えるので、脳が疲労しましたよね。要は使ってなかったんでしょうね。

enmono 普段使っている場所とは違うところを使ったんでしょうね。

enmono 4日間ある中で何日目くらいが一番つらかったですか?

梶川 2日目ですね。

enmono 瞑想した日ですね。

梶川 散歩したのって2日目でしたっけ?

enmono 3日目ですね。

梶川 あの時も詰まってましたね。

enmono 何に詰まってたんですか?

梶川 なんですかね~。それを言葉にしろって言われるとなかなか厳しいんですけど。

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enmono 我々のセミナーは経営者が心からやりたいことを見つけるというセミナーなので、梶川さんが本当にやりたいことを取り出していただこうとしたんです。で、取り出したやりたいことと自社の持てる技術を組み合わせることで何か製品やサービスに繋げていくことができればと考えています。
enmono せっかくパネルに出していただいたので、説明していただいていいですか?

梶川 これは去年の11月に地元の銀行が主催したビジネスアワードがありまして、その時に発表した資料なんですけど、結局町工場っていうもののイメージが暗かったり地味だったり汚かったり。

enmono (パネルに)「町工場のおやじ役は最後に必ず借金苦で病死するか自殺する」って、すごい(笑)。

梶川 もうもうもう、出てくるドラマとか必ず町工場は崖っぷちで、しかも逃げるんだったらいいけど、お父さんが死体で見つかったとか悲惨なイメージがあって、子どもの頃は「ウチも製造業やってるから最後、親は自殺するのかなぁ」とか一瞬ヒュッと思ったりしてる時期もありましたね。

enmono こういうイメージを払拭したいという想いがあったんですね。

梶川 そうですね。決まったイメージがあるので、そうじゃなくて町工場っていうのは楽しいんだと。色んなモノを作れるんだと。そういういいイメージを探したかったです。ということで、金属が綺麗なんですよ。これ私が作ったオブジェなんですけど、コンテナにアルミの切削したカスが山のようになってて、焦点絞るとすごく綺麗なんですよね。キラキラ光って。
ゴミなんだけど、これなんか使えるんじゃないかっていうのは前からずっと思ってました。

enmono 金属の削りカスと「何か綺麗」ということで、次の展開はどうなったんでしょうか?

梶川 zenschoolさんの時から、アルミの綺麗なところを表現して何か作れるものはないのかなというのを頭の片隅にはずっとありました。schoolが終わった後、なにか作らなきゃということで色々試行錯誤して、このオブジェが出てきました。

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ここに行き着くまでには2回失敗して、作ってグシャグシャとして、作ってグシャグシャとして、3回目でやっと形になりました。

enmono どのくらいかかりました?

梶川 10日間くらいですかね。

enmono これは削りカスを接着剤かなにかで?

梶川 そうです。ピンセットでつまんで接着剤で丁寧につけていきました。

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enmono この写真がFacebookのグループに上がってきた時、「お、なんかすごいのが来た」って結構みんな大騒ぎだったんですよね。

梶川 あ、そうなんですか?

enmono ええ、(zenschoolの)同期生が。いよいよ来たかみたいな。この作品を生みだしたことがきっかけで、その先の展開が。

梶川 このモデルが一つできることによって人に説明する時にすごくやりやすくなったんです。こんな綺麗なものが作れるんだから、こういうのを飾る場所を会社の中に作りたいとか。これは社員とか、銀行さんとか、出入りしている方たちに説得力が出てきて。

enmono 銀行さんはどのような反応でしたか?

梶川 「ああ、いいですね~」って。

enmono なかなか金融機関の方って直接の売上に繋がらないようなことには反応していただけないのが通常だと思うんですが、

梶川 皆さん1回目はミュージアムを作るんですよとか言ったら「ハァ?」「梶川さん何を言ってるんですか?」っていう風に1回は言うんです。

enmono (笑)。

梶川 「それどうやって売上あげるんですか?」「本業と何が関係あるんですか?」って一度言われて帰られるんですけど、次に会う時は「やっぱりあれ、いいですね」って。で、「何がいいんですか?」って言ったら「製造業だけじゃない人も呼べるし、デザイナーとかクリエイターももしかしたら寄せられるし、いいと思いますよ」っていうのがチラチラ聞こえてきて、あたしもそこで「ああ、そうか」「すごいすごい」と思って。

enmono 最初は半信半疑でしたか?

梶川 そうそう。半信半疑。最初は自分でも大丈夫なのかなーっていうのはありましたね。

enmono 僕らにやらされた感があったりとか。

梶川 ちょっと乗せられたかなぁっていうのはありました(笑)。

●世界で一つのファクトリーアートミュージアムを作る!

梶川 私が何にワクワクするかというと、アンバランスな印象……工場って先ほど言ったように暗い汚いって印象なんだけど、実は扉を開けるとすごい綺麗だと。そういう驚き?

enmono 外は普通の工場なんだけど、入ってみるとすごいアーティスティックな。

梶川 なんか工場じゃないみたいっていうようなアンバランスな驚きと、静寂の中の博物館とか美術館とかそういうアート的な異空間が好きで……そういった空間を自社の中に作ったらなんか楽しいだろうなというのが出来ました。

enmono 工場の中にミュージアム的なものを作ると。出てきたのが――。

梶川 富山ファクトリーアートミュージアムです。

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enmono このロゴが出てきた時に「あ、こういうのが本当にできるんだ」みたいな。

梶川 ロゴできると本当に建物とかブランド的なちょっとランクアップしたように感じます。

enmono ミュージアムの中の模様がこの下の部分ですね。建築士さんが描いた想定図ですけども、今ある工場の天井をぶち抜くみたいな形ですか?

梶川 今の天井は低いので、本当はぶち抜いて真ん中に螺旋階段作ってとか言ってたんですけど、構造上ぶち抜けないって言われて。上の天井をまず外して、コンクリとか鉄筋を見せればもっと天井高くなるから、それで塗装とかすればイメージ変わるというのを色々アドバイス受けて。

enmono 第1弾の作品として、先ほどのオブジェを作って、第2弾として今後ろにある作品を作られた。

梶川 本当はこれ第3弾なんですけど、このミニチュアサイズがあって、それで試作をして、それを見て1:1のスケールを作りました。

enmono 巨大ですね。これだけのものを削り出すというのはすごい。片面だけでなく裏からも削ってますね。

enmono これのオリジナルデザインというのはどこから?

梶川 アルミの欄間を削るっていう案がウチの社員からポンと飛び出してきたんですけど、どうも社員のお爺さんが井波彫刻(富山県南砺市の伝統産業)の欄間の彫り師だと。お爺ちゃんの家に行ったら欄間とかたくさんあるから、それをウチのスキャニングで読み取って、マシニングで加工できるんじゃないかなという案が出たんですね。

enmono 素人が考えると簡単に思えるけど、これだけ大きいものをデータとして取るとものすごい巨大なデータになりますよね。

梶川 その辺はウチとしては未知のエリアでしたね。

enmono そういう経験値も今後本業の方へ活かされていく。

梶川 活きますよね。これできたんだからなんでもできるって。

enmono ちょっとこれ寄って撮っていただけますか? 非常に微細なものなんですが、これ最後に手加工をしてるんですか?

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梶川 全部機械で削りっぱなしのものです。磨きも入れていないので。

enmono 木彫りのテイストもそのままですか?

梶川 そのままですね。

enmono 普通の金型だと磨きますよね。

梶川 普通は磨くんですけど、これに関しては削りっぱなしです。カッター目とかもあったり、逆にそれを活かそうかなと。

enmono これを作られて、このあいだ展示会で展示をされたんですよね。東京ビッグサイトで。お客様の反応はいかがでしたか?

梶川 ちょっとドン引かれるかなと思ったんですけど、予想以上に通っていく人が「あ、すげー」とか「わ、なんだこれ?」ってポソッと言いますよね。そういうのが聞こえてきて、意外にみんな反応いいなぁと思って。
梶川 パッと見は「モノ(鋳物)なんですか?(鋳造なんですか?)」って言われる方もいたし、やっぱりわかんないらしいんですよね。「これ削り出しなんですよ」って言ったら、またそこでさらに「これ削ったんですか!」みたいな人も何人かいらっしゃいましたね。

enmono 日本の伝統的な技術からデザインをお借りして最先端の3DスキャナーとNC機械で非常に細かく削り出しているというのが印象的です。伝統と革新が一緒になっているアート作品だと思います。外国のお客様にも関心を持っていただいたとか? どのような方なんですか?

梶川 私は詳しく存じ上げないんですけど、非常に日本語が上手な方で、一応名刺交換して。「これ素晴らしいですね」っていうことで「是非富山へ行きたい」と連絡が入って来週本当にいらっしゃるんですよ。

enmono 繋がればいいですね。

梶川 ええ、繋がればいいですよね。

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enmono こういった作品を御社で作るだけではなくて日本中の町工場が作ったものが多分あるはずだと、そういうものをこの富山ファクトリーアートミュージアムに持ちこんでいただいて、日本中から来る方に見ていただこうというのが、この富山ファクトリーアートミュージアムのコンセプトです。

●活性化の伝播をさせたい

enmono 後半もミュージアムのお話は引き続き伺っていきたいんですけど、梶川さんのお考えではミュージアムを作ることでフジタさんが活性化するだけではなくて、高岡周辺の工場や町を大きく変えていきたいという想いがあると。

梶川 富山県高岡市というと皆さん「鋳物・銅器の町ですね」って言われて――これも伝統産業なんですけど――、普通の工業製品作っている会社っていうのは全然出てこないんですよ。みんな「あーあー、銅器の町ですね」って言われて、私たちはどちらかというと業界が違うところにいるので、「そうそうそう、銅器の町なんですよ。でも私たちは違うことをしてますよ」ということをいちいち説明しているのが結構めんどくさいなぁっていうところがあるので(笑)。

梶川 それだったら「モノづくり」は同じなので銅器の協会なんかでも、例えば銅像なんかを造るのに原型を作る原型師さんがいるんですよね、そういう方たちはどちらかというと芸術家タイプで、そういう方たちがすぐそこにいるんだから、デジタルのスキャナーとかマシニングセンターを使って組み合わせることは可能だと思うんですよね。なので、ウチらは業界が違うっていうんじゃなくて、お互い持っているもの同士を使い合えば、また新たなものが作れるんじゃないかなっていう可能性はあると思います。

enmono 地元の人たちとよりコラボレーションしていって、アナログとデジタルの融合をしていきたいということと、「交流」という意味でもこのミュージアムができることで、分断されていたわけではないと思うんですが、交流のなかった人たちと交流を広げていこうと。メタルアートというのがちゃんとした芸術作品になるということを知っていただくことで、まわりの工場さんの意識も少しずつ変わっていくと思うんですよね。なにかウチにもできるかもしれないとか。作ったものをここへ持ちこんでいただくということができるといいなと。あと、こういうのができるとモノづくりと観光の関係っていうのも変わっていくんじゃないかと思うんですけど。

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梶川 実際、高岡市の福岡町っていうのはバスが停まるような観光地が一つもなくて、高岡市から直接インターに乗って五箇山とか能登とか……素通りの場所になってしまうんですね。せっかく北陸新幹線も開通したのに「人増えたかな?」っていったらよくわからない。全然変わっていないので、ぜひ「富山のどっかに金属のアート作品を作っているミュージアムがあるらしいよ」とか「できたらしいよ」というのをきっかけに一人でも足を運んでいただけたら。

enmono ちょっとこちらの画面を映していただきたいんですけども、これは都道府県別に見た人口1万人あたりの美術館数のグラフで、富山県が全国で一番多いんですよね(数値は4.86。2015年8月アートスケープミュージアム参照)。これはどういうことなんですかね。

梶川 どういうことなのかは私にはわからないですけど(笑)。

enmono やっぱり美しいものとかを皆さん求めてらっしゃるんでしょうか。

梶川 そういう文化が根付いているんだと思いますね。

enmono そういうものが求められている中で、今までは捨てられていたような金属の削りカスですとか、あるいは工場のものっていうのは(芸術的な面で)評価されていなかったと思うんですが、それを敢えてファクトリーアートという形で取り出すことで、ここにミュージアムを作って日本中からたくさんの人に来ていただく形になると、もしかしたら1年後ここに観光バスが停まって、たくさんのお客さんも入ってきて、もしかしたらその中に観光客なんだけど、いつもはメーカーで働いているエンジニアの方とかいらっしゃったりして、「なんかこの技術すごいね」と、それがまた本業の方にも繋がっていく、というような流れができるといいと思います。

梶川 自分は作れないんだけど案はあるとか。例えばスキャナっていうのはプラスティックでも紙粘土でも普通の土の粘土でも木でも何でもいいので、そういったものを持ちこんでいただけたら、製作は出来るんですよね。

梶川 ウチは設備があるので、そういう作りたくても作れない人の希望を具現化できる場所にしたり、あとはもっと希望を言えば今回ウチがこの欄間を削ったのは入社4年目の26歳の社員なんですけど、いつもの会社の仕事の中では決められた寸法通りに加工するしかないんですけど、自分の発想プラス最終的には正解がないじゃないですか。「これでよし」というのは自分が決める。自分のコントロールでこういうものができるっていうのは結構重要だと思うので、ウチみたいな町工場の現場に立っている人たちがぜひそういう機会を得てほしいなと思います。

enmono 社長さんとしては社員さんがアイデアを出すことや自立的に動くことを望んでいるんですか?

梶川 その方が発想力が豊かになるので。

enmono 以前からそういう働きかけをしていたんですか?

梶川 ゼロからアイデアを採りだしたのは今回が初めてですけど、従来の加工方法を変えようよというのはいつも言っています。

enmono こういうものを作ることによって社内の雰囲気は変わってきましたか?

梶川 まず業務内のものじゃないですか。これを作ったことによって、ウチの売上がすぐどうこうなるわけじゃなくて、目の前の納期とかやっている中で合間を作って加工を始めるっていうことが、普通なら「できない」って言うんですけど、できるにはどうするか。じゃあ計画を立てようか。カレンダーを広げて、ココとココとココに入れるっていうのを社員同士で打ち合わせし出した。私は一切口を出してないんですよ。

enmono それはすごいですね。

梶川 「やる!」っていうだけ言って。

enmono 丸投げじゃないですか(笑)。

梶川 丸投げですよ(笑)。

enmono 今までは社員の中で調整というのはあまりなかったんですか?

梶川 協力し合うというのはもちろんあるんですけど、もっと濃くなったと思いますね。コレはココまでに終わらないと次のコレが入らないよとか、中身も濃い話をし出すようになりました。

enmono じゃあ、社員さんもジャンプ(ステップアップ)しているわけですね。

梶川 したと思います。本人たちはわからないと思うけど、「あれ? あれも自分たちで決めて進めてる」っていうものが2~3あるので。

enmono それってすごい変化ですね。

●ミュージアムのクラウドファンディング、協賛者様募集中!

enmono クラウドファンディングに対して梶川さんはどんなイメージをお持ちですか?

梶川 準備がすごい大変で。想像以上でしたね。

enmono 優秀な社員さんがいないと一人では……?

梶川 そうそう、この(ファンディングの)WEBページだって私はほとんど入ってません。ウチの優秀な社員が全部作ってくれました。

enmono 丸投げじゃないですか(笑)。

梶川 丸投げです(笑)。

enmono いかがでしたか?

WEB担当社員 自由にやらせていただきました。

enmono それはいい表現(笑)。

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一同 (笑)

enmono すごくスムーズにできあがりましたよね。

梶川 私が入ってないからなんじゃ(笑)。

一同 (笑)。

梶川 最後の「この日じゃないとダメ」っていうのが何回か続いて、自分でも「ああ、ギリギリで、瀬戸際でなんとかうまく行くもんだ」って。

enmono その日その日を。

梶川 やってましたね。

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(2016年3月18日(金)まで支援受付中)

enmono こちらは具体的にどういう対価があるのか説明していただいてもよろしいですか?

梶川 まず\1,000支援していただくと、WEBサイトにお名前を掲載、ミュージアム入場券をおお渡しします。
梶川 \2,000ですと、ミュージアムのオリジナルステッカーと入場券をお渡しします。
梶川 \5,000はアルミ製ミニミニ欄間を。サイズは名刺からハガキの間くらいで作りたいと思います。これはまだできていなくて、今から作ります。

enmono ミニミニ欄間は限定割引パッケージで10名様枠のうち現在3名様ご応募のため残り7個です(収録時)。

梶川 加えてWEBサイト上に協賛者としてリンクを張らせていただきます。
梶川 \8,000はプロジェクトが成功するという前提で、オープン前にレセプションパーティを開きたいと思いますのでそれにご招待いたします(8月予定)。こちらもミニミニ欄間で、先ほどのが個数限定の割引パッケージで、こちらが通常価格となります。
梶川 \10,000はワークショップを今後考えていきたいと思いますので、そちらにご招待いたします。

enmono さらにその上が……。

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梶川 これはプレートにお名前をマシニングで加工して、それを入口の方に協賛者という形で展示したいと思います。

enmono これはずっと残るものですから、ぜひ皆様\10,000ですのでお安いと思います。

enmono 限定20です。今3名様がご応募してくださっています。残り17です。\30,000になるとプレートが大きくなるんですね。

梶川 なります。プレート1枚に1名様です。

梶川 \100,000だとさらに大きいサイズのプレート、あとレセプションパーティにもご招待いたします。

enmono \300,000支援すると――

梶川 この欄間のミニサイズ(横幅約40cm)を削り出しで。これはお得だと思います。

enmono 置物としても魅力的ですね。海外の方も見ていらしたらぜひお願いいたします。ということで、非常にグッズ系が今回充実していますね。このページからも梶川さんの想いがきっちり伝わってくるいいページになっていると思います。

梶川 ありがとうございます。丸投げです(笑)。

●日本の製造業の未来

enmono 最後に皆さんにお伺いしている質問があります。梶川さんが考える日本の金型の未来、日本のモノづくりの未来、町工場の未来でもいいです。そういったことに想いがあればお聞かせください。

梶川 未来に関しては今ウチの会社のホームページにも載せてあるんですけど、製造業では多能工っていう言葉があるんですけど、その「能」をもじって脳みその脳に変えてあるんですよ。なんでその「脳」に変えたかといったら、結局能力だけじゃなくて考えましょうという。

梶川 発想もその一つだし、同じ事を同じようにやるんだったらロボットの方が絶対速くて正確で大量生産もできるので、ロボットにできないことをやりましょうっていうのをコンセプトにホームページも作っています。なので、製造業に関わる方たちはロボットとかコンピュータができないような手仕事だったり匂いだったり音だったり、そういった人間しかできないような環境で仕事を進めていっていただきたいなと。

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enmono 人間の本来持っている色々な感覚を研ぎ澄まして、そこから機械ができないようなものを生みだすと。
それはアートにもかかってきているんでしょうか?

梶川 アートはやっぱり創造なので、共通するところはあると思います。

enmono そうですね、このアルミ欄間はまさにアートですからね。

enmono そういう場があって、作品が集まって、人も集まって。

梶川 ということです。

enmono うまくまとまりましたね。

梶川 我ながら。

一同 (笑)。

enmono 「型にはまらない金型」「町工場の逆襲」とか色々なキャッチフレーズがおもしろいですね。

梶川 知らない人が聞いたら「大丈夫なの? その会社」って。私も最初「題名は崖っぷち町工場の逆襲です」って言われた時、「これってウチのイメージいいのか悪いのかよくわからないなぁって一瞬ドキッとしたんですけど、よくよく考えてみたら崖っぷちっていうのは、売上が下がったからとか、そういう崖っぷちじゃなくて、先ほどから言っている人間の考えがフリーズしちゃうのが私は一番崖っぷちだと思うんですよ。

enmono そうですね。

梶川 例えば昔はもっと売上がよかったのに、今ほど幸福感ってなかったんですよ。

enmono 今の方が幸福感が高い?

梶川 今の方が、なかったものができたり、売上は今度の話で。

enmono 未来に繋がる――。

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梶川 そうそうそう。これから「じゃあ、どうしていこうか」っていう先の話ができるんですけど、バブルの頃はやれ納期がどうだ、単価がどうだと言われることしかなかったので、どちらかというと今の方がのびのびと。

enmono 未来に対して希望が出てきたんですね。

梶川 私だけかもしれない(笑)。

enmono いや、社長が変わることが重要です。社長の意識が変わると社員も変わってきますから。

梶川 それこそ「型にはまらない金型」で、「はまらないぞ」という意識でまず一歩進めたかなと。

enmono 最近、慶応大学の前野先生という方と一緒に、モノづくりをすると幸福度があがるんじゃないかというテーマで共同研究をしているんですけど、まさにその一つの事例だと思います。
enmono はい、ということでお話は色々尽きないんですけども、お時間となりました。本日はありがとうございました。

梶川 ありがとうございました。

▶対談続編(2018年)

▶対談動画

▶梶川貴子さん

https://www.facebook.com/takako.kajikawa

▶株式会社フジタWEBSITE


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