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憲法改正のたたき台となる2012年案を読むと見えてくるもの。まずは前文を読み比べ!

憲法改正熱がモンモンモヤモヤとくすぶり続けております。来年2022年7月の参院選と合わせて憲法改正の国民投票をしたいなんておっしゃっる方も現れましたね。

私的には国民投票のシステム今から作れるの?(実はもうできてるのか?)とか、民主主義的な手続きを持って公正な話し合いと合意がなされるの?などの懸念もあります。

ここのところは意志決定の場のジェンダーバランスすら整えられない状態でこんなに大切なことを決めようとしているのか?などとも考えてしまいます。

さて、自民党が独自に作成した憲法改正草案を初めて発表したのが2012年。こちらには前文から始まり、多くの条文の改正案が現行憲法と共に記されています。(いきなり読むと頭がパンクするかもしれないのでご無理のないように!)

これらの項目がこのままの形ですぐに変えられるという訳ではないのですが、目を通しておくことで、この草案がどんな方向性で作られたものなのか、そして憲法を改正することによって、この国がどこに向かっていこうとしているのかが見えてきます。

ちなみに2018年から憲法改正の優先項目として挙げられているのが
●「自衛隊」の明記と「自衛の措置」の言及
●大地震が発生した時などの緊急事態対応を強化
●参議院の合区解消
●教育環境の充実 

ですが、こちらは追々お伝えしますね。


■まずは基本のおさらい!

さてさて、それでは条文を紹介していこうと思いますが、まずはおさらいから!!

憲法で権力を縛る「立憲主義」


日本国憲法は「個人の尊厳を守るため」にある。


これらを頭に入れたうえで、まずは現行憲法の前文をみていきましょう。

キーワードになりそうなところは黄色くしておいたので、だいたいこんな感じってわかっていただければ大丈夫です。

ちょっと長いけど少しの間頑張って!ファイティン!!


■現行憲法の前文を読んでみる

と、こんな感じです。

日本国民の誓いと言ったところでしょうか。
世界に向けて、日本という国はこんな国を目指していると宣言しています。


■改正草案の前文を見てみよー!

では次に自民党の改正草案をみてみますよ。

前文を読み比べるに当たっての注目ポイントは「主語」と「締めの部分」(その他の部分も色々あるけれど…)かと思います。

現行憲法を思い浮かべながら読んでみてくださいね。

あ、それからこっちは何だかキーワードを黄色くする気が失せてしまったので、まぁちょっと読んでみてくださいませ…。

Let's Go~!!


2012年発表の自民党による憲法改正草案(前文)

こちら「日本国は」で始まります
現行憲法とは大きく違うと思いませんか?
「日本すごい!」的な国家主義臭を感じるのは私だけ?
そして👇

ここで「日本国民は」という主語が出てきましたが、この「日本国民」がすることといえば…

国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り
・(お互いに)基本的人権を尊重し(👈憲法において本来基本的人権を尊重しないといけないのは国)
・和を尊び
・家族や社会が互いに助け合って国家を形成する。
・自由と規律を重んじ美しい国土と自然環境を守りつつ、
・教育や科学技術を振興し、
・活力ある経済活動を通じて国を成長させる。

あぁ、結局ほとんど書き出してしまった(;´Д`)


国と郷土を誇りと気概を持って自ら守りって。。。何か起きたら自分たちでどうにかしろよと。お国のために。。。

そして和を尊ぶとか、家族や社会が互いに助け合ってって、国に言われることでも押し付けられることでもないですよね。

そうだったら理想的かもしれないけれど、そんなことばかりでは全然ない社会において、いかに個を尊重するかということが大切なのです。

ちなみに「個を尊重」=「個人主義」=「わがまま・利己的」みたいに思われがちですが、個人主義とは「社会・国家などの集団より個人の意義と価値を尊重し、その自由と権利を重視しようとする立場。」(反義語は全体主義)[明鏡国語辞典第2版]です。

そしてこの「和を尊ぶ」とか、「互いに助け合って」というのは国による「社会福祉しません何かあったら自己責任ですよ、絆で乗り切ってください宣言」とも言えます。

あれ?何か聞いたことある?
自助>共助>公助

憲法の前文で規律ってどうなの!??というのもあるし、美しい国土と自然環境を守りって、今も原発に意欲的だったり辺野古の埋め立てを勧めたり、沖縄の離島に次々と自衛隊の基地を作ったり、他にも色々と壊し続けているものがありますね。

教育や科学技術を振興するという割には世界の国の「公的教育費」ランキングで日本は113位、なんていうこともあったりします。

2012年から言っていてこの現状はどうなんでしょうね~。

そしてそして、この前文改正草案のラストを飾るのはこちら👇👇👇


■前文読み比べを振り返る

現行憲法と改正草案の前文を読み比べてみるだけでも、その違いや方向性をわかっていただけたのではないかと思います。

現行憲法では個人を尊重することが大切にされ、そのために必要な三原則「基本的人権の尊重」「主権在民」「平和主義」について丁寧に書かれています。

われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

というところも改正草案とは大きく違います。

そして、自国のみならず世界の平和のために尽力することが国家の名誉であって、その目的を達成することを誓うというように締めています。

一方で改正草案を見てみると、国家が重んじられ、そこに個人の姿が見えてきません。

締めの部分は、

日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する。

となっています。

そもそもの憲法の制定目標の違いがはっきりと書かれていますね。

前文読み比べは以上です。

今度は他の条文も紹介ししていきますね! 

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こちらも合わせてお読みいただければ~。

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