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ツウな旅人は、まずスーパーへ⁉【福井県若狭町を発掘!】

※こちらの記事は、福井県独自の緊急事態宣言前に取材を行ったものです。

WAKASA発掘調査隊、初めての発掘調査は若狭町が舞台となります。
この発掘プロジェクトは、あえて細かい計画を立てず、現場で地域の方と会話しながら、アポなしで探検的に調査をすすめていくことで、地域の新しい魅力発掘を目指すものです。

若狭町といえば熊川宿やレインボーライン山頂公園などが有名ですが、今回は「あなたの、この町のオススメ、お気に入りは何ですか?」を合言葉に、隊員や町で出会った地元の方々から情報をいただき、ちょっと(だいぶ?)ニッチなスポットを発掘してきました!

スクリーンショット (64)

ここで最初にちょっとだけネタばらし!!
今回は、「旅行・観光でまずスーパーマーケットに行ってみる」という新しい旅の楽しみ方を発掘しちゃいました!

旅行・観光でスーパーに行くってどういうこと⁉と思うかもしれません。
でも、スーパーは町のリアルな文化・生活を映す鏡!
他の土地では見られない食材や商品があったり、地元の人の雰囲気が感じられたりと、結構見どころがあるんです。
海外旅行の場合は、必ずスーパーに立ち寄るという方も結構いるのでは??
その若狭町バージョンを楽しんできました!

どんな流れでスーパーにたどり着いたのか、
スーパーでどんな出来事があったのか、
なども含めて、今回の発掘調査の様子をご覧ください!

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出発進行~!

若狭町民の台所⁉【三方ショッピングセンターレピア】

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今回のサポートメンバーである堀裕貴さん(地域おこし協力隊)と、栗本裕史さん(若狭町役場)も交えてやってきたのは、若狭町にあるショッピングセンター『レピア』。
スーパーだけでなく、お肉屋さん、パン屋さん、ホームセンター、文具店など、さまざまなテナントが入っている施設です。
『プラント』という施設ができるまでは若狭町唯一のショッピングセンターだったそうで、若狭町出身メンバーは「昔は10円入れると遊べるファミコンがあって、小銭を握りしめた小学生が並んでたんだよ。僕もよく遊んだな~」と思い出話で盛り上がっていました。

でもそもそもどうしてここに来たの!?と思いますよね(笑)
今回のスタート地点は全国で最近注目が高まっている『福井県年縞博物館』(『縄文ロマンパーク』内)だったのですが、建物の後ろ側には『三方湖』という湖があるんです。

若狭には、『三方五湖』といって三方湖を含む5つの湖があり、淡水の湖が近くにあることから、このあたりではコイやフナなどを食べる習慣があるんだとか。
嶺南振興局の小林局長によると、「スーパーでコイやフナが売っていることもあるんですよ!」とのこと。
それはちょっと…見てみたい!
ということで、こちらにやってきたんです。

まずはスーパーのお魚コーナーへ…と思ったのですが、入って早々、気になるものが目に入ってしまいました!

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「めいろ」「メイロ」…迷路??

誘われるように店内に入ってみると、子ども用の迷路が!

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お店のお母さんにお話を聞いてみると、この迷路は旦那さんが作られたとのこと。
とっても優しいお母さんで、わざわざ旦那さんを呼んでくださいました。

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店内には迷路のほかにもゴルフや将棋など、さまざまな遊びがありましたが、全て旦那さんが手作りされたものだそう。
特に土日は子供たちが遊んでいくそうです。

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ガンダムもありました!

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(足がゴミ箱のフタだって気が付きました⁉)

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優しいお父さんお母さんとのお話も盛り上がり、大満足でお店を後に。
…って、あれ?
ここって何のお店だったんだっけ⁉

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迷路やお話を楽しんですっかり満足してしまいましたが、こちらのお店は『五井八書店』という、本と文具などを取り扱っているお店。

若狭町生まれ若狭町育ちだというお母さんは「このショッピングセンターもずいぶん寂しくなったわよ」とおっしゃっていましたが、お店には小学生くらいの子供も数人いて、地元の子供たちに愛されているお店なんだなあと感じました。

さて、お店を出ると、足元に何やら怪しい線が目に入ってきました!

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???
もしかして…!!

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年縞だ!!!

年縞ねんこう(年縞堆積物)についてはこの記事の最後のほうでもご紹介しますが、湖や沼に積もった泥などの層によってできた縞模様の湖底堆積物のことを言います。
つまり、湖の中の地層ですね!
実は三方五湖のひとつである水月湖の年縞は、世界で最も有名な年縞なんです。

年縞は春夏には黒、秋冬には白い色の層ができ、2色1セットで1年とカウントできるため、どの層がどの年にできたものなのか知るのが比較的簡単です。
ここではその仕組みを利用して、西暦と歴史的な出来事を示しているんですね!

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ず~っと先まで続いています!

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こんなところで思いがけず、歴史に思いを馳せることができました。

(※こちらの年縞展示はイベント的に実施したもので、現在は撤去されているらしい><
またやってくれないかな~。)

…と感動しているメンバーがいる一方で、寺井隊長と隊員のはるなちゃんは何やら楽しそう!

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ジャンプを読んだり、

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ピアノを弾いたり(笑)

ここは休憩スペースのような場所になっていました。
学校の机といすが懐かしくて何とも言えません!
この時は誰もいませんでしたが、いつもは地元の子供たちやお年寄りが使ったりしているのかな?

…と、そこに残念なお知らせが。
なんと、この日のスーパーのお魚売り場にコイやフナはない!とのこと。
日によるのかもしれませんね。

ということで気を取り直して、ここからは買い物に来ているお客さんに、若狭町のおすすめやお気に入りを聞いていくことに!
いよいよ発掘調査っぽくなってきましたね~。

「あなたの、この町のオススメ、お気に入りは何ですか?」

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数人に聞いてみると、「レインボーライン」(女性客)や「水族館(福井県海浜自然センター)」(親子)といった意見が出てきました。

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レピアはJR三方駅近くの市街地にあるのに対し、レインボーラインはレピアから見て北西の中に、福井県海浜自然センターは西の若狭湾沿いにあります。
若狭町に限らず、1つの町で山も海も楽しめるのが嶺南の魅力の1つかもしれません。

さて、思った以上にいろいろな意見が出てきて絞れないので、相談しつつ、他のお店にも入ってみることに。

まずはスーパーの前にあるパン屋さん『クローバーとスピカ』さんへ。

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福井梅(紅映梅べにさしうめ)を使った『梅あんぱん』がとってもおいしそうだったので買ってみました!

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実は福井県は日本海側最大の梅の産地。
特に紅映梅の産地はほぼ100%福井県で、そのほとんどが若狭町で栽培されています。
栽培が難しく収穫量も少ない、加工途中で破れやすいといった理由から、流通量は梅全体の1%ほどしかない希少品種なんですが、地元ではこんな風に紅映梅が入ったパンやスイーツを見かけることが結構あるんです!

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中には紅映梅、白あん、柚子?のような柑橘系のピールが入っています。
「白あんだからかあっさりした甘さで食べやすい!おいしい~」とはるなちゃん。

続いては、お隣にある『肉のたかだ』さんへ。
お肉だけでなくお惣菜もいろいろ売っています。

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中でも気になったのが『扇ソーセージ』。
大きな扇型が目を引きますが、いろいろ質問していたら、美味しい食べ方を教えていただくことができました。

「ソーセージにご飯をのせて、マヨネーズをかけてソーセージで巻くんです」とのこと。
それはおいしそう!!
地元のケーブルテレビでも紹介されたことがあって、話題になったそうですよ。

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店員のお兄さんは、「卯の花がとにかく売れる」と教えてくれました。

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このあたりは県外からの釣り客も多いそうで、そういったお客さんに大人気だとのこと。
みんな「これがないと帰れんわ~」と言って買っていくそうですよ。

「そういえば、若狭では卯の花を食べる機会が多い気がするよ!ばあちゃんちでよく出てきた記憶がある」と、若狭町出身の寺井隊長。
卯の花は全国的に見かけるものですが、福井県の郷土料理だとか、福井県と何か関係があるのでしょうか?
知っている方、情報求む!!

ちなみに福井県といえば、ブランド牛の『若狭牛』も有名ですが、こちらのお店にはいつも置いてあるというわけではないそう。
「お正月などの特別な時に販売することが多いですね」とのこと。

やっぱり若狭牛は貴重なお肉なんですね~!!

するとサポートメンバーの堀さんから「嶺南れいなん牧場に行ってみませんか?僕も行ったことがないので行ってみたいです!」との案が!

なんでも、若狭牛に会えるとか会えないとか…。

地元の方から教えてもらった『福井県海浜自然センター』などは次回以降行くとして、今回は『嶺南牧場』に行ってみることに!

いや~それにしても、お話を聞く方聞く方みなさん気さくで優しい!
急な突撃にも笑顔でいろいろなお話をしてくださって、とても楽しかったです。
若狭の方の優しさ、あたたかさを感じたひとときでした。

三方ショッピングセンターレピア
福井県三方上中郡若狭町鳥浜60-1

福井のブランド牛『若狭牛』のふるさと【嶺南牧場】

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レピアから南に車を走らせること15分ほど。
山々に囲まれた緑豊かな場所に、“若狭牛の里”『嶺南牧場』はあります。

敷地内に入ると、まず目に入ってくるのが広大な放牧地。

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ここでいきなり若狭牛とご対面です!

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この距離!近すぎないですか⁉

放牧地にいるのは全て妊娠している若狭牛で、5~10月頃は運動もかねて放牧地にいるんだそう。
人間と同じで、牛も妊娠中は適度に運動するといいみたいです。

さらに、放牧地の中に迷い込んできたらしき鹿も発見!

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颯爽と走って行ってしまいましたが、すぐそこに野生の動物たちが暮らしていることを実感しました。

そして、堀さんによると「冬に雪が積もると、この放牧地でソリすべりができるんですよね。結構有名で、やってみたいな~って思っているんです」とのこと。
それは楽しそう!!
冬になったらまた来たいんですけど!!!

そんな話をしながらもう少し歩いていくと、今度はやぎ舎が!

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なんともいえない愛らしさです♡

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この距離の近さもいいですよね。

若狭牛やヤギに触れたり、大自然を満喫したりしながら歩いていると、いよいよ牛舎に到着!
案内をしてくれるというスタッフの武長さんが出迎えてくれました。

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アポなしなのに笑顔で出迎えてくださってありがとうございます!

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現在、嶺南牧場には親牛が70頭ほど、仔牛が40~50頭ほどいるそうで、牧場内は牛舎も含めて随時見学可能。
事前に連絡しておけば、エサやりや牛の手入れ体験もできるんです。

今回は牛さんを眺めるだけでしたが、それでも「かわいい~」が止まらなくて大満足でした。

ほらほら、とってもかわいいから見て!

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ちょうどご飯を食べ終えた牛さんたちが、水を飲みにお外に出てきました。

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お母さん牛に続いて仔牛たちも出てきました。

お母さん牛同士で舐め合っている牛もいれば、一人(?)堂々と座り込んでいる牛がいたり、仔牛にお乳を飲ませている牛がいたり、同じ若狭牛でも、過ごし方や性格はさまざまなよう。

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武長さんによると「子育ての仕方もそれぞれ違って、自分の子供にもお乳を飲ませたがらない牛もいれば、他の仔牛に自分のお乳を飲ませる牛もいるんです」とのこと。
いろんな牛さんがいますが、どの牛さんもかわいい~。

ところで、そもそもこの嶺南牧場って何をする牧場なんでしょうか?

実はここは若狭牛のふるさとともいうべき場所なんです。
嶺南牧場は、人工授精によって産まれた仔牛や、受精卵を繁殖農家や酪農家などに供給するための拠点となっています。
つまり、ここで産まれた仔牛がさまざまな施設に送られて、さらに子孫を増やしたりしているというわけなんです。

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おいしい若狭牛が食卓に上るまでには、嶺南牧場から始まり、本当にたくさんの人が関わっていることがわかりました。
今度若狭牛にお目にかかったら、心して食べねば!と改めて心に刻み、嶺南牧場を後にしました。

嶺南牧場
福井県三方上中郡若狭町安賀里77-1
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/reinabok/index.html

年縞博物館もいいけど、縄文文化に触れるのも面白い!【縄文ロマンパーク周辺】

年縞博物館外観(正面)(軽)

さて、冒頭で省いてしまったのですが、集合場所となった年縞博物館や縄文ロマンパーク周辺でも楽しい発見があったので、最後にご紹介します。

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年縞は湖の中の地層だとご紹介しましたが、年縞を調べることで過去の気候や自然災害など、さまざまな事柄がわかります。
福井県にある水月湖年縞はあらゆる好条件に恵まれている“奇跡の年縞”であることから、地質学的年代決定での事実上の世界標準となっているのです。
ちょっと難しいですが、とにかく福井県の年縞が世界の基準になっているんです!

年縞博物館では、世界一の長さを誇る7万年分、45mの実物の年縞を見ることができます。

ステンドグラスギャラリー2(軽)

とってもおしゃれな建物で館内の雰囲気もいい感じなので、地質学や歴史系に興味があるカップルのデートスポットとしてもおすすめです!

筆者は館内の『cafe 縞』で食べられる『年縞SAND』が大好き!

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(食べたことないけど、見た目がかわいい&ある仕掛けが面白いんだもん!きっと味も最高なはず!)

福井県年縞博物館
福井県三方上中郡若狭町鳥浜122-12-1 縄文ロマンパーク内
http://varve-museum.pref.fukui.lg.jp/

そして建物の後ろ側にあるのが、最初にちょこっと紹介した三方五湖のひとつ、三方湖です。

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三方五湖は国指定の名勝かつ、ラムサール条約湿地に登録されています。
それぞれの湖で海水、淡水、汽水…と水質や水深が異なることで、水の色が少しずつ違うのも特徴。
三方湖は三方五湖唯一の淡水の湖です。

湖の手前にあるステージでは、音楽イベントが行われることもあるんだそう。
すごいロケーション!

縄文ロマンパーク内にある『三方青年の家』では結婚式を行うカップルもいるそうですが、このステージでガーデンウェディングとかもできそうではないですか⁉

さて、すっかり年縞と三方五湖の説明が長くなってしまいましたが、ここは“縄文ロマンパーク”ですよね。
年縞博物館と三方五湖はかなり有名ですが、「新たな魅力を発掘したい」私たちとしては、ここではあえて、福井県民でも知る人ぞ知る“縄文”のほうを楽しんでほしいと思います!

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▲外観は土偶のお腹をイメージしているらしい!

そもそも何故ここで縄文なのかというと、1962年にこの近くで縄文時代初期の遺跡『鳥浜貝塚』が発見されたからなんです。

パークの奥には竪穴式住居もありました!

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入って写真を撮るだけでも楽しかったので、年縞博物館だけでなく、ぜひこちらにも立ち寄ってみてください!

若狭三方縄文博物館
福井県三方上中郡若狭町鳥浜122-12-1 縄文ロマンパーク内
https://www.town.fukui-wakasa.lg.jp/jomon/

そして、寺井隊長が「おすすめ!」と言って聞かない(笑)ので、『縄文太郎』にも行ってきました。

三方五湖スマートICを降りて縄文ロマンパークに向かう際にも、道路からはっきり見ることができます。
というか、見ようとしなくても目に入ってくる大きさです!!

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ここ『鳥浜貝塚公園』のシンボルオブジェなんだとか。
でかい!!!!!

寺井隊長みたいに、同じポーズで写真を撮ってみては⁉
ちょっとシュールですが(笑)

「以前はここで『縄文まつり』が開催されていて、小さいころはよく貝汁を飲んだりウナギ取りをしたりしたんだよね~」と寺井隊長。

ビニールシートをかぶっていましたが、寺井隊長曰く「貝汁づくりに使っていた鍋かも⁉」というお鍋もありました。

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鳥浜貝塚の説明なども掲示されており、お勉強もばっちり!

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そしてそして…
ご当地マンホールも発見!

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梅丈岳と梅(若狭町は日本海側最大の梅の産地‼)、三方五湖、コイなどが描かれています。
レピアでコイが売られているところは見られませんでしたが、やっぱりコイは若狭町では特徴的な文化なんですね!

鳥浜貝塚公園
福井県三方郡若狭町鳥浜65号

地域密着のスーパーで新しい旅の楽しみ方を発見!

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今回の発掘調査では、「あなたの、この町のオススメ、お気に入りは何ですか?」を合言葉に、普通の観光では行くことがなさそうなニッチな場所に行ってみました。

特に、旅行・観光でショッピングセンターに行くってアリ⁉と思った方もいるかもしれませんが、その町のリアルな生活を知ることができるって、結構面白いと思いませんか?

今回はコイやフナには出会えませんでしたが、ご当地食品などに出会えるかもしれないので、面白いのではないでしょうか?
宿泊施設での晩酌のお供も見つかったりして…。

そしてレピアでは特に、インタビューに応じてくれた皆さんの温かさに感激しました。
計画は立てず、今回のように地元の方にお話を聞きながら旅をすることで、リアルな町の魅力に触れることができるかも!

「ツウな旅人は、まずスーパーへ!」
そんな、新たな旅の楽しみ方を発見した、初回発掘調査なのでした。



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