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東京都の入院患者急減 900人未満は昨年7月以来

 新型コロナウイルス感染症の第5波がピークアウトして全国的に陽性者が減少する中、東京都は10月4日、入院患者数は854人、と発表した。ピークだった9月4日の4351人の約5分の1に減少した。入院患者が900人未満となったのは、第2波の昨年7月18日以来、約1年2ヶ月ぶり。
 都の発表によると、中等症以下の病床使用率は13%になった。

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 都基準の重症者(人工呼吸器またはECMO管理)は77人で、ピークの297人(8月28日)から大幅に減少した。
 国基準の重症者は314人(ICUまたはHCUで管理を含む、10月3日時点)。病床使用率は一時100%寸前までいったが(ピークは8月30日の1205人、99%)、26%まで低下した。

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陽性率は昨年6月以来の水準

 新規陽性者数の7日間移動平均は196.7人で、200人未満となったのは昨年11月以来。

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 陽性率の7日間移動平均も2.2%、昨年6月以来の低水準となった。検査数はピーク時より半分以下に減っているが、24%(8月15日)だった陽性率が大幅に低下しているため、陽性者が急減しているとみて間違いない。

 新型コロナコールセンターの相談件数も、8月中旬ころは2000件を超えていたが、現在は100件台。100件台になったのは、昨年2月以来のことだ。

陽性者数の減少幅 若年者の方が大きい

 年代別にみると、高齢世代より、若年世代の方が減少幅が大きい。

 30代以下の新規陽性者(7日間移動平均)を調べると、ピークの3114.1人(8月22日)から117.1人に低下していたことがわかった。10代以下も、ピーク時の742.6人(8月24日)から28.1人になった。
 若年層はピーク時の20分の1以下に減ったことになる。

 一方、65歳以上は、ピークの203.4人から24.7人に低下した。高齢層の減少幅はピーク時の8分の1程度だった

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(9月30日放送・日本テレビNEWSゼロより)

 このように第5波の収束は顕著だが、東京都の専門家で構成されるモニタリング会議は、感染状況の評価をレベル4からレベル3に1段階引き下げたが、医療提供体制の逼迫状況については最も高いレベル4の「医療提供体制は逼迫している」との評価を維持した9月30日)。
 「医療提供体制は逼迫している」との評価を変えると、飲食店の営業時間規制などの自粛政策を継続する正当性が失われると危惧しているのかもしれない。
 いずれにせよ、東京都は、こうしたレベル評価を行う際に、客観的な数値の目安を全く設けておらず、自粛政策を維持するために恣意的な運用をしている疑いがある(参照=緊急事態宣言再延長? 東京都、解除目標達成も最悪「ステージ4」維持 数値の目安設けず)。

 だが、国の指標では、以下のように、すでに医療体制の逼迫が解消されたことは明確になっている。

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(内閣官房・新型コロナ特設ページより)

 10月4日発足した岸田新政権となり、田村憲久厚生労働大臣(2020年9月〜)や、西村康稔コロナ担当大臣(2020年3月〜)は交代となった。
 担当閣僚を刷新することで、従来の自粛政策を転換するのかどうか注目される。

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