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いい加減『ガチ勢』と『エンジョイ勢』とで答えの無い不毛な議論するの止めにしませんか?

 私は日頃、Twitterで『モンスターハンター』というゲームに関する情報を収集しながら空き時間を過ごすことが多い。そうしていると、体感で約2〜3ヶ月ごとに話題に上がったり炎上するものがある。
 それが、『ガチ勢』と『エンジェイ勢』同士の意見の対立である。
 そして、それを見る度に私が思うのは、「相手がどんな考えを持っているのか知ろうとせずに、どうして折り合いがつくはずのない議論をし続けるのだろうか」ということだ。

 この記事では、頻発する不毛で時間の無駄でしかない議論に終止符を打つべく、『ガチ勢』『エンジョイ勢』の定義と、自分とは異なる考え方を持つ人々との付き合い方についての私見を記していく。


言葉の定義なしに議論することの恐ろしさ

 『ガチ勢』と『エンジョイ勢』とがSNS上などで突然フリースタイルな言葉の殴り合いを始める光景は、もはや珍しいものではない。しかし、そういった場のほとんどにおいて、致命的に欠けているものが存在する。
 それが、言葉の定義である。

 言葉の定義とは、ざっくり言えば、『ある言葉が指し示す物事を、どこからどこまでの範囲とするか』を互いに確認することである。
 議論を行う人どうしでこれをしないと、ほとんどの場合に話が噛み合わなかったり、意見の食い違いといった面倒事が発生し、余計な言葉の殴り合いが発生する原因になる。
 これはものすごく極端な例で例えるならば、「1+1」という言葉の定義を「3」としている人と、「5」としている人とが「1+1」+「1+1」の答えについて議論したところで折り合いがつくはずがない、ということである(そもそもどちらの定義も間違っているが、あくまでも例え話だ)。

 そして、冒頭のように形振り構わず言葉で殴り合う『ガチ勢』と『エンジョイ勢』との議論において欠けているものこそ、『ガチ勢』『エンジョイ勢』という言葉の定義なのである。

 ご存知でない方向けに軽く触れておくと、これらの言葉はとあるゲーム内の用語から派生して誕生したとされるスラングであり、国語辞典などの信頼のおける書籍等によって明確な意味が定義されていない言葉である。そのため、この言葉を用いる当事者達はこれらの言葉を自分にとって都合のいいように(彼ら自身の脳内でのみ)定義しながら用いていることがある。
 もちろん、その状態で議論をすることがどれだけ実りのない事であるかは前述の通りである。


プレイスタイルから『ガチ勢』『エンジョイ勢』を考える

 突然だが、1人で完結しないゲーム(※1)の多くにおいては、2種類のプレイヤーが存在すると私は考えている。

(※1) 1人で完結しないゲーム:いわゆるオンラインゲームだけでなく、協力プレイやランキングのようなゲーム内機能によって『他人との関わりが生まれる可能性があるゲーム』とこの記事内では定義する。

1.ゲームの内容よりも、それによって自分や他人に起きた物事(いい事も悪い事もどちらとも)に対して楽しさを見出しているプレイヤー。
2.ゲームの内容、特にその背景や仕様をとことん突き詰めたり暴き出したりしつつ最適解を導き出す、またはその最適解を実証・再現し続けることに楽しさを見出しているプレイヤー。

 1と2のそれぞれについて、具体的にどんな遊び方をしている人が該当するか具体例を挙げる。1に該当するのは以下のようなプレイヤーだろう。

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 一方で、以下に当てはまるプレイヤーは2だと言える。

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 読者の中には薄々感づいている方もいらっしゃるだろうが、ここで示した1を『エンジョイ勢』、2を『ガチ勢』と定義したい。

 読者の中には『1と2のどちらにも当てはまる』という方がいらっしゃるかもしれない。その場合は、自分の周りが全員極端な『エンジョイ勢』『ガチ勢』だったとして、自身がどちらの集団に所属していたほうが気楽に過ごせるかについて考えてみてほしい。

 この定義については詰めが甘い部分もあるだろうが、『本記事内や本記事を用いた議論』においては上記のように定義するものとしたい。重ね重ねの説明になってしまうが、あくまでもこれは筆者の考えであり、世間一般ではまだこの定義は通らないものと考えるべきだ。実際に他人と議論する際は、『相手が言葉をどのように定義しているか』を確認することをくれぐれも忘れないで頂きたい。
 本記事で『エンジョイ勢』『ガチ勢』の2つに分けたのは、それが現在最も一般的だからである。
 一部の界隈では『楽しさ重視』『斬新さ重視』『結果重視』の3つに分けることでより良い棲み分けを目指しているものもある。実際そのほうが良いのかもしれないが、そもそもガチ勢エンジョイ勢の定義すら明確にせずに議論しているところに新しい議論の種を投げたところで焚き火の燃料にしかならないと感じたため、本記事ではガチ勢エンジョイ勢という既存の分け方を採用している。


どうしても違う考えの人と遊ぶ必要がある時は

 ここまで『ガチ勢』『エンジョイ勢』という言葉の(筆者にとっての)定義を紹介してきたが、実際に他人と遊ぶ時に面倒事に巻き込まれないためにはどんな事に気をつけるべきかについても考察しよう。

 手っ取り早く、確実に面倒事を避けられる方法は『自分と違う考えの人とは関わらない』ことだ。よっぽど自分と異なる考えを持つ人に興味(嫌悪的なものではない)があるわけでもない限り、似た考えの人同士でゲームを遊ぶほうが安心できるだろう。

 自分と違う考えの他人が居るからといって、すぐに喧嘩腰で相手に噛み付いたり晒しにかかろうとするのは止めよう。自分と考えが違うならどうせ『言葉の定義』が自分と違うのだから、議論を始めたとしても、何度も説明しているように無駄な時間にしかならない。そんな暇があるなら、それこそ好きなゲームを続けているほうが生産的な時間を過ごせるはずだ。

 しかし、主に人付き合いのような理由で、自分と異なる考えの人と一緒に遊ばざるを得ない場は往々にして存在する。そんな時に備えて、『ガチ勢』から見た『エンジョイ勢』、もしくは『エンジョイ勢』から見た『ガチ勢』に対する傾向と対策を考えておこう。

『ガチ勢』が『エンジョイ勢』を傷つけないためには

 『ガチ勢』のあなたは、好きなゲームに関しての最適解を理解している。それは裏を返せば、最適ではない解についての知識があるとも言うことができるだろう。その一方で『エンジョイ勢』に属する相手は最適解を知らないうえに、ほとんどの場合は最適解を知りたいとも思っていないのだ。
 ここで大事なのは、そういった相手があなたと遊ぶ理由は『あなたの知識を自分にも教えてほしい』ではなくあなたと遊びたい』からである、ということだ。

 これは言い換えれば、相手の脳内にある相手にとっての『楽しさ』という花畑を相手の許可なしに、あなたにとっての『楽しさ』=『最適解』という農薬で無理やり汚して回るのは全くオススメできない、ということを意味する。相手が持っているのは『世界に一つだけの花』であり、相手はNo1になりたい訳ではなく相手にとってのオンリーワンで十分満足できているのだ。

 もちろん、効率的な行いをしない相手に効率的な方法を覚えてほしいという気持ちは私にも十分に理解できる。しかし、こういった状況ではあくまでも『聞かれたら答える』に留めたほうが良いのだ。むしろ、あなたが常日頃から息をするように行っているスーパープレイをさりげなく披露することで、『それどうやってるの!?』と聞いてもらうことができるか挑戦するのもまた一興だ。

 また、相手はあなたに合わせることはできないが、あなたが相手に合わせることはできる。たまには肩の力を抜いて最適解以外を試してみるのもいい気分転換になるかもしれない。『急がば回れ』という言葉もある。

『エンジョイ勢』が『ガチ勢』と無難に交流するためには

 『エンジョイ勢』のあなたは殆どの場合、『ガチ勢』な相手並みのモチベーションや技術を持ち合わせていないだろう。そうなると、相手に合わせるといったことはできないのでどうしても申し訳なさや不満といったところからストレスを感じてしまう機会が多くなってしまうだろう。

 一方で、『ガチ勢』の相手からすると、『どのぐらいの実力があるのか』『ゲームの中のどんな部分に楽しさを感じているのか』といった点について普段のあなたから読み取るのは案外難しいことが多い。それどころか、どうしたらあなたに楽しんでもらえるか、満足してもらえるか思い悩んでいることすらあり得る。
 たとえあなたが『一緒に遊んでもらえるだけで満足』と思っていたとしても、相手はそれを知らないか、知っていたとしても社交辞令だと思ってしまうことがあるだろう。本心がわからないからこそ、相手はとりあえず自分の最も得意な事をあなたに押し付けるか、極端に相手自身からあなたに合わせに行こうとして、結果的にあなたを困らせたり悩ませたりしまうのだ。

 これを回避するためには、普段からゲームを遊んでいる自分にとっての『嫌なこと』『嬉しいこと』という言葉の定義を明確にしておき、実際に他人と遊ぶことが決まったら、勇気を出してすぐに『嫌なこと』『嬉しいこと』を伝えると良いのではないだろうか。何でもかんでも指示されるのは嫌とか、ゲームと関係ないことを喋りながら遊ぶほうが好きとか、そういった類の事である。

 伝えた相手には変な人だと思われるかもしれないが、あなたが最も楽しみを感じるゲーム体験を台無しにされてしまうぐらいならそれ以外のことで苦労するほうがまだ良いだろう。気の利く相手ならあなたの考えに合わせてくれるだろうし、そうでないなら相手から敬遠し離れていくはずだ。
 万が一、それを伝えたにも関わらず相手があなたの考えを無視するような行いをしたとしても、あなたには『自分の考えを伝えた』という事実が残る。相手から晒されるような事態になろうとも、そういった事実が残る限りは有利に事を運べるはずだ。

 SNSなどを使っているなら、普段から自己紹介欄などに『嫌なこと』『嬉しいこと』を書いておくのも良いだろう。そうしておくことで、あなたと同じ考えを持つ人からアプローチが来るかもしれない。自分と同じ考えの人と遊ぶのが一番楽しいのだから、勇気を出してそういう仲間を募ったほうがきっとゲームは楽しくなる。


最後に

 今回は『言葉の定義』の大切さと、考えが異なる相手との付き合い方について紹介させて頂いた。
 議論するなら『言葉の定義』を相手と共有し、共通認識を得てからでなければ、まともな議論が成立しないことが多々ある。
 相手と考えが違うなら、面倒事に巻き込まれる前に自衛することも大切だ。『ガチ勢』は自分の考えを他人に押し付けたり他人を下に見たり蔑んだりしないようにする、『エンジョイ勢』は自分がされたくないこととしてほしいことを積極的に伝える努力をする、といったことだ。

 本記事で書いたことを実践するのが面倒なら、ずっと同じ考えを持つ者同士だけで交流してるほうが周りに気を配る必要がないし、気楽でいられる。しかし、そうだとしても、違う考えを持つ人と交流することでしか得られない経験があることは知っておくといいだろう。

(記事内画像作成協力:Kuaty)

暇ですが暇ではないので不定期投稿になってしまいますが、皆さんに納得して頂けるような記事を作成できるように日々精進していきます。