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魂を削る創作活動と、そうじゃない創作活動について

魂を削るようにして生み出す創作活動と、削らずに気楽にできる創作活動がある。
人によって違うけど、私にとっては

・削り系(孤独Bに対峙して作るもの)……小説、エッセイ、ポエトリーのライヴ
・削らない系(孤独Bに対峙せずに作れるもの)……歌詞、文体模写とか、fbに書いてるような気楽な文章、絵を描く……

だ。

「削り系」は、作ってる時、しんどい(当然だ、心の地下室まで降りて冷たく深い闇に触れる行為だから)。
あと、作ったものを見せることは、丸腰の魂をさらけ出すことであり、けっこう危ない。
けなされたり無視されるのは割とどうでもいいんだけど、褒められた時(大体の褒め言葉は作者の意図とは違うから)、むしろ孤独感が強まったりする。(※補足あり)
そして、誰かと一緒に作る場合は、相手をかなり選ばないといけない。

ちなみに、私は、ツイート1本でも小一時間かけたり、魂を削っている場合がある。Twitterに本気。

■魂を削る行為を仕事にすると

あろうことか私は、「削り系」を職業にしたいと思ったことがあった(つまり、小説家とかエッセイストとか)。
魂削って作ってる分、それが社会的に認められて生業にできたら、めちゃめちゃ嬉しいから。
そしてそれに賛同してくれるさらなる創作仲間が得られたら、超スーパー
嬉しいから。

でも、まあ、ちょっと無謀だったな、と、今になれば思う。
生業にするためには、ある程度の人数に読まれないといけない。
そうしたら、あらぬ勘違い、的はずれな批判、ピントのずれた褒め言葉、神格化……を食らうことになる。
それに、スランプが来た時に、精神と財布がダブルでダメージを追うことにある。
そもそも私は「削る系」を量産できない(昔はできたんだけど、急にできなくなった)。
つまり、食うに足るほどコンスタントに作るのは無理。

量産できて、かつ「私にはこれしかない」って天命をうけちゃった人は、削る系のアーティストになるんだと思う(し、私は実際そういう人に何度も励まされてきた)。
しかし彼らはすごくしんどそうだ。全然、なりたいと思わない笑

もしかしたら私は、今削って作っている創作物を、今後そこまで削らなくても作れるようになるかもしれない。
というのも、先輩の創作家たちが「若い頃は『削る感』があったけど、今はそうでもない」と言ってたからだ。
だから私の人生において「削る系のアーティストになるのは完全にナシ」とも思ってないけど、今のところはナシ寄りの保留だなと思っている。

■楽しく量産できて、やればやるほど健康になることを仕事に

で、削らない方。

普通に考えて、「削らずに作れるもの」を仕事にしたほうがいい。
気楽に量産できて、精神が削れないどころか、やればやるほど健康になっていくもの。

私は、気楽な文章なら量産できる(ただし、心にもないことや、他サイトのコピペばかりの嘘くさい文章を書くと、別な意味で魂が削れるので無理)。
あと歌詞とかキャッチコピーとか韻を踏んだ文章とかは割と永遠に書ける。

文体模写とかも遊び感覚でできる。

無邪気にひょうひょうとできるこれらの創作活動を、もし社会に認められて食い扶持にできたら、私はどんどん健康になっていくと思う。そして、仮にけなされたり誤解されても、特に心は傷まない。魂を晒していないので。

■才能の置き所を分析しまくる

「自分は書くのが好き!書くことに才能がある!→小説家になりたい」
これは、あまりに素朴な自己分析だった。

「書く」を細分化すると、多方面に仕事のクチがある。
また、書くことの周辺分野にも才能が分布している。
例えば私の場合は、教えること、言葉をつかって系統立ててまとめること(パワポ作りとか)も得意。

現職(日本語教師とライター)は、まあ向いてるんだけど、まだ細分化が足りない気がしてる。
「まあまあ向いてはいる」んだけど、私が超得意な作業だけに特化してない。
「私がそこそこ得意な作業(そして、他の人もそこそこできる)」作業がまとわりついている。私の超得意技だけを連打しているわけではない。だからそこまで稼げないし、そこまで気楽でもない。

もっと、フィットした職業があるはずだ。

たとえばライターにしても「この分野/この文体/この尺……なら永遠に楽しく気楽に書けます!」という発見ができるはずだ。
そうしたら私は得意技連発状態になって気楽に楽しくたくさん稼げるし、社会も幸せになる。

誰しもそうだけど、才能って置きどころなんだよね。
サブカルクソバンドマンの知り合いがいるのだが、語彙も多いし教養もセンスもそこそこあるのだが、歌詞を書かせると、自意識過剰さ、ひとりよがりさが鼻についちゃって、私は好きじゃなかった。
でも彼が突然「お料理Youtube」を始めた。
お料理レシピのおまけとして挟まれる、彼の自意識過剰な一人語りテロップは、絶妙に「丁度いい」。
あ、この人、テロップを書く才能はあるんだ、と思った。

本当、才能って置きどころ。

「削らない系」を仕事にして、気楽に楽しくたくさん稼ぐ。
「削る系」は、コアファンにだけ、ひっそり売って、小銭貰えれば上等。
こんな感じだったら、社会を嫌いにならず健康的に生きられる気がする。




「要らない感情しか売らないから 消費されたって消えはしない」
2番のAメロのこの歌詞だけわからなかったけど、今日やっと意味がわかった。


渋澤怜(@RayShibusawa

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2021.11追記
「魂を削らず、楽しく量産できて、やればやるほど健康になることを仕事に」という仮設に立ち、有料マガジン「創造神社『レヴェリー・レイレイ』」を作り始めました。

クリエイター、創作者、アーティスト、あるいは創作したいけどできないのが対象。励まし、やる気を高め、自由に気楽にたくさん作れるような呪文を奉納しまくるマガジン。かなり量産していますが月額333円でお得。

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※『魂を削る創作を褒められた時(大体の褒め言葉は作者の意図とは違うから)、むしろ孤独感が強まったりする。』について補足

友人から問い合わせありましたが、そもそも創作の感想が異なるのは当然なので、意図しない褒め言葉が来ても大丈夫です。困るのは、全然知らない人が「あなたの創作は素晴らしい!」と、大して理解してないのに言ってくる、その実はお友達を作りたいだけ、つまり、孤独Aと孤独Bを混同させて近寄ってくる人が無理です。


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