ここ最近のフェミニズムと反出生主義について

最近、フェミニストのツイートに「反出生主義」が散見されます。ツイートを見ていて、かなり誤解されているな…と思ったので、簡単ですが4B運動との違いなどを説明しようと思います。素人なので、間違っている箇所があればできるだけ早く指摘してください。恥を晒す前に直します。

反出生主義とはざっくり言うと「子供を産むべきではないとする思想」です。
反出生主義は様々なアプローチがあり、動物保護からの反出生主義や、環境保護としての反出生主義など、ひとえに定義付けられるものではありません。

ここでは、ツイッターで「反出生フェミ」と位置付けられた人々の発言から推測して、倫理・哲学的観点からの反出生主義を説明をさせて頂きます。

・倫理的観点からの反出生主義

子供を産むことは倫理的でないとし、目指すべき道は人類滅亡な思想です。(ここにも派閥があるけど、散らかるので無視します。)

フェミニズムとは全く別の思想として存在していました。女性差別的観点からの反出生主義は、私の知る限り最近盛り上がったものです。産児制限フェミニズムは古くからありますが、子供を産む事自体に否定的だった訳では無いので、反出生主義の中に含めていません。

・主張の内容

基本的に生きることには苦痛が伴う。
死ぬことや苦痛を伴う人生を歩むことに同意を取らず子供を産むことは、倫理的でない。

わかりにくいと思うので例えを出してみます。

「痛覚のあるロボット」を作ることは、倫理的に正しいでしょうか。痛覚を搭載されたロボットは、いずれ破棄される時、体に強い痛みを感じます。もしそんなロボットを作ろうとしている研究者がいれば、止める人が出てくるでしょう。それが反出生主義です。

人間には痛みを感じる機能が搭載されているし、いずれ苦痛を感じて死ぬのがわかっているのに新たに作り出すのは、倫理的に良くない行いではないでしょうか。

こんな感じの主張です。産まれなければ死ぬことは無いのに、産む。それに対する批判ですね。これが主張の全てではありませんが、大体掴んでいただければと思います。

フェミニズムの話に戻ります。

フェミニズムの主役は「女性」ですが、倫理的観点からの反出生主義の主役は、基本的に「まだ産まれてない人間」です。

韓国の4B運動(非出生・非恋愛・非結婚・非性交)は主役が「女性」です。

この部分が混ざっているのかな?と思います。

韓国の4B運動は家父長制から脱却するための手段として「子供を産むべきでない」と主張しています。
対して、倫理的観点からの反出生主義は、子供に同意を取らず出産することを倫理的でないとして「子供を産むべきでない」と主張しています。


どちらも「子供を産むべきでない」と、結論が同じなので混ざってしまいますが、分けないと話が噛み合わなくて泥沼になります。

韓国の4B運動は出産を家父長制への加担と見ていますが「まだ産まれてない人間」に対しての加害行為という認識はないように感じます。
倫理的観点からの反出生主義者が望んでいる人類滅亡も、4B運動からは読み取れませんでした。

反出生主義が「子供を産まず、人口を減らし、いずれは人類滅亡」なのに対して、4B運動は「家父長制に加担しない形の出生」は容認していると見ています。

4B運動を輸入した「家父長制からの脱却のための反出生主義」は、チャイルドフリーに近い、個人の選択を尊重する思想なのではないかと思います。
4B運動由来の反出生主義は、出産ボイコットとかの方がしっくりきますね。誤解を避けるために、反出生主義とは別の言い方を考えた方がいい気がします。

※主張を掴みきれてないので間違っていたら訂正のコメントをください。


4B運動と倫理的観点からの反出生主義にはもうひとつ大きな違いがあり、それは子宮の使用権です。

倫理的観点からの反出生主義は、子宮の使用権が「女性」から「まだ産まれてない人間」に移動します。
自らの意思で子供を産むことは倫理的に許されません。何故なら、産まれる側の同意が取れない以上、それは加害行為だからです。子宮を自由に使う権利が「まだ産まれてない人間」の権利と対立します。(女性に限らず、当然男性にも子供を作る権利はありません。)
これは「子宮の使用権は政府になく、女性にのみある」としてきたフェミニズムと対立します。

それに対して、4B運動は子宮の使用権が女性にあります。家父長制の再生産に抵抗することが目的であり、「まだ産まれてない人間」の人権問題では無いので、出生の同意を無視して産むことができます。


それと、ここを勘違いしている方が多かったのですが、反出生主義はチャイルドフリーとは違います。

チャイルドフリーはライフスタイルのひとつで「子供を持たないで人生を楽しむ」という考えですが、反出生主義は「誰もが子供を産むべきでは無い」とする思想です。

チャイルドフリーが自分の人生だけで完結している一方で、反出生主義は他者のライフスタイルに干渉します。何故なら、(倫理的観点からの)反出生主義者にとって、出生は加害行為だからです。


誤解が解ければという思いで書きましたが、私自身、反出生主義の主張を完全に理解出来ていないのと、主観が込められているため、このブログを鵜呑みにはしないでください。

反出生主義について議論したい方は、デイヴィッド・ベネター著『生まれてこないほうが良かった 存在してしまうことの害悪』の購入をオススメします。

読んでいただきありがとうございました。


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