見出し画像

3Dの会社をやっていたら、少年ジャンプの新連載にガッツリ関われた話

こんにちは、秋葉原で3Dデータ制作と3Dプリントのサービスをやっている株式会社メルタです。社員の顔で3Dオブジェを作ったりするのが仕事です。

画像9

メルタは大体20~30代前半のメンバーで構成される若めの会社でして、それゆえ大体のメンバーが「週刊少年ジャンプ」を読んでいます。

記憶に新しい『鬼滅の刃』の大ヒットは言うに及ばず、ついに1000話を超えた『ONE PIECE』、映画も控えて人気急上昇中の『呪術廻戦』など、いつだって時代の最先端を走る少年ジャンプ。

パワフルな連載陣と同じくらい読者の心をワクワクさせるのは、完結する作品と入れ替わりで始まる「新連載」の数々です。新人・ベテランが入り混じる2021年の新連載は、こんな漫画でスタートしました。


君はもう 『逃げ上手の若君』 を読んだか

画像1

画像出展:松井優征『逃げ上手の若君』(週刊少年ジャンプ2021年8号)
「魔人探偵脳噛ネウロ」「暗殺教室」の松井優征が少年ジャンプに帰還!
最新作は史実を描く逃亡譚!鎌倉と室町の歴史の狭間で、誰にも物語られたことのない逃げる英雄がいた――。その名は北条時行。足利高氏によって鎌倉幕府を打倒され、家族も地位も失った少年は、地の果てまで逃げ延び復讐を遂げられるか! (集英社 少年ジャンプ公式ページより引用)

はい、松井優征先生による『逃げ上手の若君』です。主人公は北条家の末裔・北条時行、ジャンプでも異色な史実モノということで、大注目どころの騒ぎではありません。もし万が一読んでいないなんて人がいたら、今すぐ下のリンクから読んで下さい。3話目まで無料の大盤振る舞いだから!ほら! 

>>  ジャンプ+で試し読みする  <<

尊氏

画像出展:松井優征『逃げ上手の若君』(週刊少年ジャンプ2021年8号)

読んだ? 読みましたよね? 1話目から怒涛の展開を見せるストーリーはもちろんのこと、程よく挿入されるコメディ、狂気すら感じるキャラクターのヤバい表情、そして凛々しくも可愛らしい主人公の時行に早くも夢中でございます。で、ここでちょっと注目してみたいのが、、、

画像3

画像出展:松井優征『逃げ上手の若君』(週刊少年ジャンプ2021年8号)

この甲冑の書き込みっぷり!ひとことで言って、ヤバくないですか? とんでもない重厚感が歴史モノのリアリティを増しています。何ブロックあるのか数えようとしましたが、私は100を超えたあたりで挫折しました。


お問い合わせは突然に

細部までみなぎる松井先生パワーに感激していたのですが、さすがに作画はかなり大変らしく、ある日こんな感じの連絡をいただきました。

メルタって3Dの会社なんですよね? 松井先生が武具や馬具をCGとして導入して作画コストを下げたいそうなのですが、どうにかなりませんか?
from  週刊少年ジャンプ編集部 東(『逃げ上手の若君』担当)

....? ジャ、ジャンプ編集部の人からのお問い合わせ...!? ウワァー!!! なんでもやります!やらせていただきますとも!!!

取り急ぎメールをお返しし、憧れのジャンプ編集部にお邪魔して打ち合わせ(メルタと集英社は徒歩30分の距離)。歴史の重みによだれを垂らしつつ、メルタとして正式にお仕事をさせていただくことになりました。

今回のご相談、つまりはこういうことになります。

アセット 6

我々メルタは松井先生から資料やリクエストをいただき、それらを基にして3Dのデータを制作。複雑なオブジェクトでも向きや位置を選ばず、自由に配置できる3Dデータの強みを生かし、緻密な作画のコストを少しでも下げようというわけです。

やると決まれば善は急げ。メルタの抱える精鋭3Dモデラーを緊急招集し、3Dデータの制作に取り掛かりました(作業はほぼ100%オンライン)。


3Dモデルを使った作画はこんな感じ!

くるくる

ドゥオリャーー!っと一気に完成形を見せてしまいましたが、こんな具合の3Dモデルが完成!いただいた資料がかなり精巧だったおかげで、複雑なデータもスムーズに制作することができました(作業時間は合計1週間程度)。

制作したデータは松井先生にチェックしてもらい、さらに修正を繰り返していきます。今回は漫画の下絵に使うため、パーツごとの取り回しやすさや、部位ごとのディテールを詰めていきました。複雑な3Dモデルの制作では、こうした改良のプロセスを踏んでから納品することが一般的です。

胴丸微調整

こちらは松井先生からの貴重な"生" 指示ファイル!

こうして完成した3Dモデルは作画ソフト(CLIP STUDIO)に取り込まれ、まずは線画として表示。それをベースに加筆や修正していくことで、3Dモデルを活用した原稿が完成します。

クリスタ読み込み

CLIP STUDIO に3Dモデルを取り込み、線画として表示した様子。

画像10

他にも矢や刀など、メルタ制作の3Dモデルを松井先生にお届けさせていただきました。今回の3Dモデルから生まれたイラストは、既にジャンプ本誌で掲載されているとのこと!よかったら探してみてくださいね!

※ 21/05/24 20:25 追記 本記事の公開時に「〜イラストが、ジャンプ本誌に乗る日もそう遠くないはず!」と記述していましたが、既に3Dモデルを活用いただいた原稿を掲載いただいておりました。修正してお詫びいたします。


松井先生からのコメント/やってて良かった3D

とっても貴重な体験をさせていただき、本当に嬉しい限りです。最後になりますが、松井先生からいただいたコメントをお裾分けいたします!

時代考証や漫画の作業での取り回しのしやすさを追求し、
何度も繰り返し追加修正をお願いし、
その度丁寧にアップデートして頂きました。

世界史上随一描くのが面倒くさい鎧が出て来るこの時代は、
メルタさんのご協力なしでは漫画にできませんでした。
by 松井優征
生きててよかった〜
by メルタ一同

公式_告知画像

いやぁ、こういう仕事をしていて良かったなぁ...としみじみ感じる今日この頃。メルタにとっても大切な作品となった『逃げ上手の若君』、コミックス第1巻は7月2日、第2巻は8月4日発売と2ヶ月連続刊行とのことです!皆さんも要チェックですよ!


プレゼントのお知らせ

ここまでお読みいただき、ありがとうございました! 

株式会社メルタは、全ての人に「やさしいものづくり」を掲げ、標準3日の3Dプリントサービス「3Dayプリンター」や、あらゆる用途・形式に対応した3Dモデル制作サービス「モデリー」を運営しています。

画像7

この記事で紹介したような漫画用3Dモデルの制作も請け負っていますので、興味が湧いた方は是非お気軽にご相談ください!

また今回は特別に、漫画用3Dモデルの参考資料として、『逃げ上手の若君』のために制作した矢の3Dデータを公開いたします! こちらのページにアクセスし、グリグリ回してイメージを膨らませてみてください。

それでは、また!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?