見出し画像

属人性の排除か、作家性の発揮か

仕事の属人化は問題の本質ではなく、事業の継続性こそが経営の取り組む問題で、標準化し尽くした先に、個人の作家性が残り、それこそが競争優位性の源泉となるのではないか、という気付きを得られたという話。

仕事の属人化は良くないと言われるし、確かにそうだと思うところもあるけど、モヤっとしていた。

現代の仕事は、マニュアルやルーチンでやる仕事はほぼなくて、どれも毎回にアイデアや仮説検証が求められる。

たとえば企画や設計の仕事は、全員が同じことをするわけではないし、毎日を同じことをするわけではない。

そうした再現性の低い仕事、それをクリエイティブな仕事と呼ぶが、その重要性と比率が増えてきている。

属人化を排除したオペレーショナルな仕事はアウトソースしたり、コンピュータで自動化したりできる。

だけど、その人ならではの成果が差別化になり、価値になるとしたら、属人性は排除すべきではないのでは。

その人だけに依存することへのリスクヘッジは取り組むべきかもしれないが、属人性=悪とするのは短絡的。

つまり良い属人性と悪い属人性があるのだとして、良い属人性のことを「作家性」と考えてみれば良い気がした。

仕事に作家性が求められる時代になり、誰もが作家性を発揮できるようになれば、仕事が楽しくなりそう。

***

・・・という投稿を、Facebookでしたら、思った以上に反響がありました。知見のあるコメントもたくさん頂いて、有益な議論ができました。

https://www.facebook.com/kuranuki/posts/10213984721206578

そこで得られた気付きを、自分なりにまとめておきます。

気付き、その1。「属人性の排除」=標準化というのは手段の話であり問題ではない。継続性をどう確保するのか、ということが問題の本質である。であれば、標準化ではない方法で継続性を確保すればよいのではないか。

ソニックガーデンでは継続性の問題に対して作家性を残しつつ解決する方法を、システム開発の世界をメタファにして「単一障害点をつくらない」という考えで取り組んでいます。詳しくは以下の記事を。

気付き、その2。属人性の問題と捉えるのではなく、継続性の問題として捉えることができれば、それに対する手段の選択肢は増やすことができる。かつ、継続性には「いつまで」という期限も付ければ、よりクリアになる。

気付き、その3。属人化の問題が起きるのは、「ルーチン的なオペレーション」がブラックボックス化されてしまうこと。そもそも、そういった「作業う」は標準化されてるのだからオープンに共有してしまった方がよい。

ソニックガーデンでは、人海戦術を良しとせず、あらゆる雑務は標準化していって、かつ、プログラミングして自動化し、コード化されて共有しています。コード化してgithubで共有は、ある意味で形式知化と言えそう。

気付き、その4。そう考えると、私の言う属人性というのは、あらゆる標準化とコード化(オープン化)がされた後の世界での話をしているのだけど、多くの人は、その手前の標準化されてない世界の話をしている可能性。

私のスタンスとしては、事業の継続性を経営の問題と捉えて、徹底的な標準化をし尽くした後には、仕事には個人の作家性が残って、それこそが競争優位性の源泉になるのだと考えています。だからこそ人が大事だと言える。

そうだとしたら、議論しようとしても噛み合わないのは確かにそうだな、ということが最大の気付きでした。継続性と作家性を排他的に扱う気がないのに、どちらか選ぶような議論だと噛み合わなくて当然でした。

これがモヤモヤしていた最大の原因で、皆さんのおかげでスッキリしました。SNSってすごいね。

***

この記事はここで完結してます。スキとかシェアしてくれると嬉しいです!

ここから先は、気兼ねなく書くために有料にしています。個人的な日記や、考えてる途中のこと、おおっぴらに言えない話などを書いています。
(新着記事のチェックだけで良いなら私をフォローしてくださいね)

今週のあとがき(日記)

ここから先は

1,518字
毎月4本程度の有料ノートをお届けします。ソフトウェア会社を経営する日々で考えていることを届けます。

ソニックガーデン代表の倉貫義人が、ソフトウェア会社を経営する日々で考えていることを届けていくマガジンです。ソフトウェアを扱うエンジニアの思…

良かった!参考になった!と思ったらサポートして頂けると嬉しいです。他のnoteユーザへのサポートに使いたいと思います。