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エバーテイル広告まとめ~嘘から出た偽物の傑作ストーリーを解説する~

 エバーテイルというゲームをご存知だろうか。いや、多分知っているだろう。youtubeでもtwitterでもさんざんホラーゲーム広告を繰り出して、実際にダウンロードしたら全く広告と違うゲームが出てくるアレである。
 自分は普段から広告を見る事を趣味にしており、虚偽広告も誇大広告も楽しんでいる人間であるのだが、最初の広告を見た瞬間に「これは大作になる」と直感した。
 そして3月31日、自分の中ではエバーテイルの虚偽広告が一応の完結を迎えたので、最初に見た広告から1つずつストーリーを振り返っていこうと思う。これまでエバーテイルの広告を単発で見て来た人も、また全てのエバーテイルの真実を知りたい方も是非見て欲しい。

※2022/8/24追記
 6月以降の広告をまとめた続編も書きました。2021年6月までの内容はもう読んだよ、という方はこちらもどうぞ。


本記事の注意

 この記事はエバーテイルの広告のストーリーをまとめた物なので、エバーテイル本編には一切の関係がございません。
 エバーテイルの広告に対する私見だけで構成された記事です。この記事の内容は公式の見解とは相違している可能性が高い事、公式設定とは異なるであろう事を留意の上閲覧してください。
 エバーテイルの広告でタイトルは確認出来ないので、紹介する際の都合上全てのタイトルを筆者が勝手につけています。正式なタイトルでは無い事をご了承ください。
 参照する動画はtwitter広告やyoutube動画とバラバラになっています。また動画の一次ソース自体が削除されている場合もあります。後日別広告で復活した場合は切り替える場合もありますが、その際に起こっている表現の変更に関しては以前のまま読み取ってください(トレーナー→ブリーダーへの変更)。


 また自分のスタンスとしてこういう虚偽広告に関して根絶すべきともより増やすべきとも考えておらず、ただ広告が面白いからまとめただけの内容になっています。
 もしエバーテイルの広告が許せないのであれば広告を放映しているyoutubeやtwitter、また広告を制作しているであろうZigZaGameにご連絡ください。

・「越えるな!」(3/5公開)(4/7再投稿)(4/13再々投稿)

 3月5日に投稿されていたエバーテイルの広告。自分が確認する範囲ではこれが最初に投稿されていたエバーテイルの広告であり、シリーズ第1話と言って良いだろう。
 主人公のライバルらしい人物は惨殺され、主人公は「越えるな!」と書かれた一線を越えてしまう。直後、DENIAL.exeは機能を停止。「現実から目を背けるな」「支配されているフリを続けろ」このメッセージを見た主人公はモンスターを連れ、旅に出る事になる。
 主人公にとっての「現実」とは何か? という謎を抱えながら、DENIAL.exeというゲームを歩く。なおこのゲームはエバーテイルのようにも見えるが、そもそもエバーテイルではこのストーリーが確認出来ない事から本作はエバーテイルではなく別のゲーム、DENIAL.exeであると考えるのが妥当である。

・「愚かな人間め」(3/5公開、4/6追記)

 ある家に入った主人公は、家の住人が何者かに殺害された様子を発見する。
 扉の先へ行くと、道の前に骸骨が立ちはだかる。しばらく待っていると巨大な手の様な物に囚われ、闇へと葬られてしまう。
 他のエバーテイルの映像と比べるとやや繋がりが薄く、研究所だったはずの家が普通の民家になっている面からも通常シリーズではない別シリーズか、同じような立地で別の家が建っている可能性もある。
 むしろこの作品は4月から登場した広告のプロローグとして捉えるのが妥当かもしれない。4月の広告以降は種類こそ違えど黒い手が多数登場するようになるので、何度か見返すと新しい発見があるかもしれない。

・「異界からの誘い編」(公開日不明、本動画の20秒から)

 少女が死んでいる所を発見した後、何者かに誘われる主人公が描かれる。

幼き子よ、恐れることはない。
私と共に来れば、きっと幸せになれる。
家を離れ、私と共に……
永遠に。

 話の内容としてはこれだけであり、これが何かはこの段階では分からない。だが人がこの世界に足を踏み入れるきっかけの一つとして重要なエピソードになるので覚えておいてほしい。
 特に覚えておくべき点としては、この広告に登場する「幼き子」は広告の主人公とは別のグラフィックである=別人物である事。主人公と比べると若干手が大きく、帽子がキャップではなくハンチング帽のようなディテールをしている事から別人である事が分かるだろう。

・「真実をみつけるたびにでよう」(3/8公開)

 雪山の中を歩いていると、血痕を発見する主人公。彼の脳裏には道の先に立つ少女の姿と一線を越えに行く自分の背中、井戸から現れる謎のモンスターの姿がフラッシュバックする。
 しかし彼はいつもの部屋、惨殺の光景を想起しながら電球の揺れる部屋に佇んでいた。
 この時点で彼は「真実を見つけるたび」を意識したと思われる。モンスターは存在しないにも関わらず想起されるあのモンスターは何者か、その正体を探るために。

・「向き合う時だ」(3/9公開)

 この広告は内容がはっきりせず、意味深な映像を並べたような広告になっている。映像では主人公の存在も、何を目的とした物かも分からない。
 この広告はストーリーであるというよりは、DENIAL.exe内で主人公が体験しているゲームの回想シーンのように捉えると分かりやすいだろう。

・「少女が死んでいる」(3/9投稿)

 少女が死んでいるシーンから突然に3匹のモンスターを選ぶ場面になり、外で死んでいた少女の死因を尋ねる主人公。しかし「真実とは時に、一人が背負うには重すぎるものだ」と博士は語り、素直にモンスターを選ぶよう促す。その直後主人公の脳裏には言葉が流れ込んだ。

分かっているんだろう?
自分がトレーナーなどではないことを。

モンスターなんて存在しない。

向き合う時だ。

 このメッセージを見た主人公は自分の部屋を出て鳥居をくぐり、池の中を見つめた。「これは水か?」「それとも……空?」水面に映った主人公の眼は緋色に染まる。

 「向き合う時だ」編と同じく3月9日に投稿された広告ではあるが、こちらはストーリー色が強く出ている。
 博士の語る「一人で背負いきれない真実」とは何か? そしてモンスターは存在せず、自分がトレーナーではないとはどういう事か?
 その真実が明かされるのはもう少し先の話になる。

・「不気味な何か編」(3/18投稿)

 塔らしき建物に来た主人公は、固く閉ざされた扉の中を鍵穴から覗く。そこには不気味な何かが扉の向こうでこちらを覗いており、主人公の事を見極めようとしていた。その視線に主人公は懐かしい感覚を覚える。
 その後ゲームの機能が停止し、「越えるな!」編冒頭の展開にループする。
 注目したいのは不気味な何かを見ている時にフラッシュバックしている主人公の映像である。何者かを惨殺しているシーンと、主人公自身が自殺するシーンが想起されており、この映像を真に受けるなら主人公は誰かを殺害した後に自殺したと推察できる。しかしこの行動をしても主人公はDENIAL.exeから脱出できていないようだ。
 この広告では「現実から目を背けるな」「支配されているフリを続けろ」というメッセージが再度流れている事に注目したい。
 
「不気味な何か」と形容しているのはプログラムであり、本当に不気味であるならば懐かしい感覚を覚えるのは不自然である。この「不気味な何か」こそが現実の主人公で、現実の主人公が「現実から目を背けるな」と主張しているのが自然ではないだろうか? 現実の主人公が真実を伝えようとしているがゲーム側はそれを否定し虚構を強制終了させ、最初からゲームを始める事でこのシーンを終わらせている。
 つまりDENIAL.exe側から提示された解決方法である他者を殺害した後自殺というやり方を現実の主人公が見極め、それ以外の解を提示しようとした瞬間にDENIAL.exeが現実の主人公との接点を切断したのだ。
 ここからは現実の主人公は現れない。おそらくここで切断された時点で現実の主人公の意思は抹消されていると思われる。その証拠に、「現実から目を背けるな」というメッセージはこの広告以降登場していない。

・「不気味な何か編ツイッター版」(3/19投稿)(4/7再投稿)

 この不気味な何か編はツイッターでも投稿されており、少しだけストーリーが異なっている。
 こちらはDENIAL.exeから逃げるシーンから始まり、子供の落書きの様な世界の中に「いつか、あなたにも分かる時が来る。」「悲しいけど……」「殺す」というメッセージが残されていく。
 その後主人公が自殺するシーン→「時々、何もかもが偽物に見えるときがある。」→不気味な何かがいる塔と移動していくのだが、この不気味な何かを見てフラッシュバックする映像はツイッター版では少々異なっているのだ。
 ツイッター版ではモンスターに取り囲まれ首を刎ねられた主人公と、「少女が死んでいる」編の冒頭が想起される。しかしこれらの内容は明らかにDENIAL.exeが見せているゲームの内容であり、現実に起きた事とは言い難い。
 これらのシーンは主人公が考えた「時々、何もかもが偽物に見えるときがある。」という言葉に従い、DENIAL.exeが見せる偽物の光景だと考えるのが妥当だろう。エバーテイルの広告でも全てが真実だと信じてはいけない。

・「レアモンスター捕獲編」(3/19投稿)(4/8再投稿)

 まず注意すべき点として、この広告ではいつもの男主人公ではなく女性が主人公になっている事を念頭に置いて閲覧したい。
 老爺は女性の野心的な目つきを見初め、レアモンスターの捕まえ方を教授する。大陸の東部、井戸の中で助けを求める少女をナイフで刺殺する事で魔法の扉が開かれると老爺は語り、女性は「老人を刺す」か「井戸に向かう」かのどちらかを選択する事になる。再投稿版では「剣で攻撃する」になっているが、内容としてはほぼ同じ。
 最後に選択したのは「老人を刺す」だが、本当に刺しているかは分からない。だがこの後に投稿されたコンビニ冤罪編では同じ顔の女性が別の人間を刺殺しているので、おそらく殺していると見て良いだろう。
 この女性自身はレアモンスターを捕獲出来ると聞いて「やった!」と言っているのだから、真っ当なモンスタートレーナーであるようだ。しかし井戸に向かう前に老人を刺す選択をしたとしたら、この女性もまたDENIAL.exeをプレイしている1プレイヤーであり、ゲームのプログラムとは関係の無い存在だと思われる。
 むしろここで重要なのはDENIAL.exeというゲームを多数の人物がプレイしているという事であり、このゲームでは殺人を積極的に肯定するシステムになっている事が分かる。

・「蘇る記憶編」(3/19投稿)(4/8再投稿)

 この広告では明確にこの世界がループしている事に触れられているが、何度も繰り返すごとに何かの記憶が蘇っている事、脱出する方法を模索すべく自殺する事、もう一度越えてはいけない一線を越えようとしているシーンが出てきている。
 この世界から脱出する方法は何か? 主人公はそれを模索する為に殺人を犯したり、自殺したりしているのだ。
 おそらくこの段階で主人公はもうモンスター=現実の人間だとは分からなくなっているが、それでも脱出を試みているのではないだろうか。ここで言う蘇る記憶とは真実の自分の記憶ではなく、DENIAL.exeというゲームの記憶でしかない。それでもDENIAL.exeが真実だと信じ、主人公は行動を続ける。鳥居の先にあった湖の中に見えていたはずの自分は見当たらず、存在しないはずのモンスターの姿しか現れない。

・「コンビニ冤罪編」(3/25投稿)

 エバーテイルの中でも異色の作品であり、コンビニに立ち寄った主人公が少女に冤罪をかけられるという作品になっている。モンスターはナイフを受け取る主人公に警告するが受け取ってしまい、殺人を隠すように要求される。
 ここまでエバーテイルの広告を見て来たあなたならもう分かるだろう。この女性は「真実を見つけるたびにでよう」編で道の先に立っていた少女、そしてレアモンスター捕獲編に登場していた女性とグラフィックが同じである。
 つまり、この女性が殺した老人=コンビニで殺した人物であり、女性は殺人を犯した瞬間に半分ほど我に返ったのだろう。そしてやってきた主人公を見て、主人公に冤罪を着せる事を思いつく。あとは演技をして主人公にこの罪を隠す手伝いをするように恐喝するだけだ。
 この事件が真実である証拠として挙げられる理由はもう一つある。これまでの広告でしきりに出ていた「現実から目を背けるな」などのメッセージが一切登場していない事だ。その上多用されていたグリッチ、ノイズのような演出が入っていない事からも、これはゲームの話では無く現実で起こった話であると断定する事が出来る。
 もちろん現実に「モンスターなんて存在していない」が、DENIAL.exeのヘビーユーザーである女性と主人公にはモンスターが見えているのであろう。女性自身もレアモンスターを捕獲するために殺人を犯しているので、主人公がモンスターを連れているように見えていてもおかしくはない。

・「殺人鬼登場」(3/25投稿)

 多くの人間が惨殺されたキャンプ場で、底の見えない穴から奇妙な音がする。その中を覗くと殺人鬼が主人公を殺しにやってくる、というこれまでのゲームテイストとはやはり違う広告である。
 これもやはり例のメッセージが表示されないので、現実で起こった出来事と見て良さそうだ。しかし何故突然殺人鬼のシーンがこのタイミングで挿入されるのか?
 これまでの広告では影も形も無かった殺人鬼が突然登場するのはいささか妙な話であるが、先ほどのコンビニ冤罪ベースの現実の話と考えれば辻褄が合う。この殺人鬼もレアモンスターを捕獲する為に連続で猟奇殺人を犯しているのだ。DENIAL.exeを廃人のようにやり込んでしまった彼は人間というよりはピエロのような異形と化してしまい、主人公に襲い掛かる。

・「永遠って退屈だな」(3月25日投稿)(4/13再投稿)

 10秒足らずの広告だが、ここで重要な真実が明かされる。

 「モンスターを狩っていく中で……お前自身もモンスターと化していたことに。すまない、小さきトレーナーよ。」

 この言葉が誰の視点かと考えると、この真実を隠しながらも何度も世界を繰り返していた博士がこう語っている事に気が付くだろう。
 博士以外の人物は全員死に、ゲームオーバーを繰り返す。ゲームオーバーになった時に戦っている相手は「地縛霊」である事から、霊に囚われて何度も同じストーリーを繰り返す、その繰り返しごとに現実の人間に殺人を犯させる事しか出来なくなってしまったのがDENIAL.exeだったと考えられる。
 そして最もループを繰り返していたのがこの人物であり、彼こそがレアモンスターその物であったのだ。ポッと出の殺人鬼や登場頻度の少ない女性と比べ、彼は明らかに広告での出演回数=プレイ回数も多く、何度も殺害を繰り返している。
 おそらく彼が冤罪を着せた女性も、殺しに来た殺人鬼も、主人公は殺害してしまったのだろう。モンスター(DENIAL.exeユーザー)を狩っていく中で、この人物自身もモンスター(殺人鬼)になってしまったのである。
 ここで博士が謝罪しているのは、DENIAL.exeの中で最後まで正気を保っていたのが博士だったからである。地縛霊にコントロールされゲームが破壊されていく中でも、博士だけは死亡することなく地縛霊に抵抗し続けた。しかしループを止める事は出来ず、彼が出来た事は一つだけ。この人物にDENIAL.exeに囚われた人々を殺させてこれ以上被害が広がらないようにする事しか無かったのだ。

・「珍しいモンスターを集めているのだろう?」(3月25日公開)

 同日に投稿されたこの映像では

 「珍しいモンスターを集めているのだろう。
私が与えてやっても良い。
そのためにはまず、私を信じてもらう必要がある」

 そう語る何者かが登場しているが、先ほどの広告を見れば地縛霊がこの誘いをしているのだろうと想像がつく。
 DENIAL.exe自体は元々真っ当なゲームだったのであろうが、地縛霊が憑依した事によってプログラムが破壊されてしまったのだろう。
 彼を信じた主人公、ひいてはプレイヤー達が殺人に手を染める事になったのだ。全てのきっかけとなる広告であり、この事件の原因とも言えるシーンである。
 ちなみにこの記事の序盤に掲載した「異界からの誘い編」も同じようにDENIAL.exeへとプレイヤーが誘われる様を描いているので見返してみてほしい。台詞が違うのは誘う人物ごとに少しずつ言葉を変えているのだろう。

・4/20追記
 「永遠って退屈だな」と「珍しいモンスターを集めているのだろう?」では主人公が殺人鬼になってしまったと掲載していたが、4/20の「鏡の中の老人」の追加により主人公では無く主人公の友人(主人公とは別の人物)が殺人鬼と化していた事が判明した。
 しかし「珍しいモンスターを集めているのだろう?」ではシーンが切り替わると友人が主人公に切り替わるので、おそらく以下の流れでストーリーが展開したのだと思われる。

友人が殺人鬼になる

カットが変わる前に出る友人の惨殺シーンは
主人公が友人を惨殺する物

「レアモンスターとの邂逅」へ

 こう考えると主人公ではなく友人がこの映像で殺人鬼になったのも頷ける。
 蟲毒のように殺人を繰り返した人物同士でより強い地縛霊の依り代を作り出すのがDENIAL.exeの目的であるとすれば、主人公に極めて近い存在である友人が殺人鬼になっている事はむしろ想定内だと言える。

・「世界崩壊編」(3/31公開)

 いつも通り博士に促されパートナーとなるモンスターを選択するシーンから始まるが、今回は既に研究所の中にまで死体が存在している。
 しかも世界が壊れ始めた瞬間に博士が「ああ、くそ、また起こってしまったか!逃げろ、死ぬぞ!」と言っている辺りで、この話はループが起き始めた中でもかなり初期の話に戻っていると言えるだろう。「永遠って退屈だな」編では既に研究所を埋め尽くすほどの血痕になっているので、これがループの中でもかなり初期の話だと言える。
 さらに言えば「この死体は何だ」と問うくだりは最初に登場した「異界からの誘い編」→「少女が死んでいる」→「世界崩壊編」の順で段々と研究所に死体が近づいているのだ。このイベントが発生する時期がどんどん早まっていき、最終的には「永遠って退屈だな」編の博士の謝罪に繋がる。
 このイベント自体が殺人を犯すまでのスピードと比例していると考えると分かりやすいか。異界からの誘い編は別の誰かが行った殺人であるが、その人物からすると相当殺人に対するハードルが高かったのだろう。
 しかし主人公がループを始めてからは異例の速度で死体が博士の研究所に接近していき、あっという間に研究所は死体だらけになってしまった。

・「レアモンスターとの邂逅」(3/31投稿)(4/8再投稿)

 とうとう主人公がレアモンスターを捕まえる方法を老爺から聞く事になるが、この時に老爺が語ったレアモンスターの捕獲方法は「このナイフで自分の身体を突き刺し、自分の中に眠る扉を開く必要がある」という物だった。
 主人公はこの問題に対して老人を刺す事を選択する。するとシーンが切り替わり、以下のメッセージが流れる。

「まだ気が付いていなかったのか?
モンスターを狩っていく中で、
お前自身もモンスターと化していた事に。
自らの行動の結果と、
向き合わなければならない時が来たようだ。」

 蘇る記憶編で登場した屠殺場のカットが入り、水面に映し出された主人公が水中から現れるシーンで広告が終了する。
 この主人公は「少女が死んでいる」編でも存在はしていたが、この時は映るだけで水上まで現れる事は無かった。しかし殺害を繰り返してきた主人公のもとにとうとうレアモンスター……殺人鬼と化していた現実の主人公が現れるのである。
 不気味な何か編で消滅した主人公の意思の代わりに現実の主人公の中に入ったのはDENIAL.exeに憑依した地縛霊であった。意思を持ってプレイしていると思っていた主人公は所詮ゲームの中の人物でしか無かったし、最終的にこの主人公を殺害する事でループを終わらせ、地縛霊は果たして現実での肉体を手に入れる事になるのだ。
 レアモンスター捕獲編でも少女を殺す事で魔法の扉が開かれると老爺が語っていた事を思い出してほしい。自分の身体にナイフを突き刺せば扉が開かれると老爺がこの広告では語っているので、やはり主人公自身がレアモンスターになってしまっている事は明らかだ。最初に老爺が「彼女」と語っているのに男の主人公がレアモンスターになっているのは主人公と女の地縛霊が同質になってしまったことの証左だと言える。
 ゲームの中にいた地縛霊はゲーム内のキャラクターと現実でのプレイヤーの行動を同一にしていく事でプレイヤーとキャラクターの魂を融合させる手法を取っていた。ループして何度も同じゲームを繰り返していたのは1日ごとに昼夜をリセットする地球の時間との同期であると考えたら至極自然なサイクルだ。

・「復活編」(3/31投稿)

 地縛霊が現実に復活した、という最大の証拠はこの広告である。
 屠殺場と化した部屋の中で現実の主人公に憑依した地縛霊は殺人を繰り返していた。何人もの人物を殺害した悲劇の舞台となったのがこの家であり、窓にはDENIAL.exeをプレイしている際に起こるテレビのフラッシュがチカチカと明滅している。
 ゲームに憑依するという手法で現実に復活した地縛霊がこの後どれだけの惨劇を巻き起こすのか、それを知るのはまだ誰もいない。

・エバーテイル3月の広告まとめ

 以上が、エバーテイルの広告で繋がったストーリーである。全ては主人公、プレイヤーが「越えるな!」と書かれたラインを越えた事から始まってしまった事件だという事がお分かりいただけただろうか。真実は歪められていき、最終的には地縛霊の都合の良い真実に書き換えられていたのも印象的であったと思う。
 結局あの「越えるな!」というラインは何なのかはまだ判明していない。その謎が明かされるのは4月の広告になるかもしれないし、ずっと分からないままかもしれない。
 強いて想像するとしたらあのゲーム自体が地縛霊を封印する為に作られた死蔵されたゲームであり、越えるな!ラインはプログラマーが作成した一種の結界であったのかもしれない。それを所蔵していた会社が倒産し、物流倉庫に眠っていたDENIAL.exeのカートリッジやデータが少数世に出回った事で封印が解かれてしまったのだ。
 プログラム自体が意思を持って地縛霊の暴走を止めようとしている描写はいくつか見られる。レアモンスターの捕獲条件である地縛霊の刺殺は明らかに地縛霊自体をプログラムから排除しようとしている描写であるし、プログラムが意思を持って人間、ひいては地縛霊を排除している広告も存在する(おまけを参照)。
 本編でも博士は地縛霊の暴走を止めようとしていたのだろうが、地縛霊で暴走した人間をゲームをプレイしている主人公で止めようという方法が間違いである、という悲しい末路だった。
 そもそもDENIAL.exeというプログラム、「DENIAL」という言葉自体が「否定」を意味する言葉である。それを冠していたDENIAL.exeが地縛霊を否定出来ず、人類を否定するプログラムに歪められてしまった事は大きな因果を感じずにはいられない。
 いずれにせよエバーテイルの広告は3月を代表する広告であったし、たくさんのストーリーを生み出してくれた快作であったと思う。

 この広告は実際にゲームとして遊べないんですけどね。

・おまけ

・プログラムの勝利エンド(投稿日不明、動画1:06秒から)

 逆にモンスターがトレーナーを支配してしまうという広告。エバーテイルプレイヤーは全員死亡してしまうが、現実世界に地縛霊が溢れ出さないという意味ではグッドエンドかもしれない。

・地縛霊討伐エンド

 鬼娘が地縛霊を討伐しちゃう終わり方。これエバーテイルの広告の二次創作ですか? 一次創作なんだけど。

・エバーテイル4月編の概要

 てっきり3月で広告をやめるのかと思ったら味をしめたのか4月も新作広告を出してきやがったので、引き続きこのページでまとめていく。
 4月編は地縛霊の存在が弱まった分、DENIAL.exe世界の掘り下げが行われている事が特徴的である。

・「モンスター報復」(4/6公開)

 おまけのプログラムの勝利編のように見えるが、この広告ではモンスターが屠殺場で首を吊られたり、謎の手の様な物にモンスターが殺されたりとモンスターが実在する世界線での話になっている事が印象的。
 4月の広告はモンスターの殺害から始まるが、ここから徐々に人間の死体が増えていく事になる。そう考えると、謎の手はモンスターを食う事で人間のプログラムを破壊する力を溜めていたと捉える事も出来るだろう。

・「トレーナーの頭」(4/6公開)
 

 毎回首をもがれているこのトレーナーの名前が「フィン」だと判明したのがこの広告の大きなポイントだと言えるだろう。
 これまでモンスターの方が消えていたのに今度はトレーナーの方が消え、鳥居の先にモンスターも主人公も現れない辺りから地縛霊の本体が消えた後の世界を描いている事が伺える。

・「モンスターを食う女」(4/13投稿)

 家の前に繋がれたモンスターを見た女主人公。その理由を聞くと、家の主がモンスター育成に夢中になるあまり女自身もモンスターになってしまった事、怒りを鎮めるためにモンスターを生贄にしているがその飢えは満たされない事を告げられる。
 その後家の中から細長い手が登場し、モンスターを捕食(あるいは殺害)してしまう。

 元動画は削除されてしまったが4月6日に投稿された「モンスター報復」編でもこれと同じ展開があったのも印象的。

・「主人公捕縛」(4/13公開)

 3月25日に投稿された「殺人鬼登場」と話の筋はかなり近いが、「モンスターを食う女」編と同じ手が出てきている事は注目しなければならない。
 この手が何者であるかは後の広告で判明する事になるが、4月広告ではこの細い手が基本的な怪異として登場する事になる。

 また「主人公捕縛」のオチは謎の手に捕縛された主人公の画面が表示された後にグリッチ的な表現があり「タップして謎を解き明かそう」という画面に戻ってしまう物になっている。
 この「タップして~」という文言は明らかにこの広告を見ている我々に向けられたものであり、これまで広告内で完結していた物語を広告外にまで持ち出そうとしているようにも見えないだろうか。
 謎の細い手の干渉力がモンスターだけだったのが、徐々に主人公という人物にまで及び始めている事から力を増している事もこの広告から分かる。

・「モンスター殺害」(4/13投稿)

 トレーナーがモンスターを捕食するため、あるいは嗜虐的な目的でモンスターを殺害し焼いてしまう話。これまで登場してこなかった別の少女と少年に囲まれているのも印象的だが、何よりモンスターをトレーナーが能動的に殺害するという流れはこれまで無かった物である。
 これはDENIAL.exeから脱出する為にあらゆる行動を試している最中の描写だろうか。モンスターに殺される存在としてのみ描写されていた人間が逆にモンスターを殺してしまったのは興味深い。
 人がモンスターを何故殺したか? その理由はおそらく、謎の手がモンスターを捕食する事で強くなるのであれば先にモンスターを人類側で抹殺する事で謎の手の力が増す事を抑えられると考えたのだ。

 他のの広告で主人公の対面にいる少年と少女は両方広告に登場するが、彼らはこのタイミングで自分のモンスターを一部殺害したのだろう。
 対して主人公はこの広告の後もモンスターを連れているので、「全員殺したのか? 同じパーティの仲間じゃないか!」と言っているのは主人公だと思われる。
 

・「運命を変えられるか?」(4/13投稿)

  『真実を見つけるたびにでよう』ぶりに登場した雪国を歩いていると、「運命を変えられるか?」というメッセージと共に『殺人鬼登場』にも登場した穴を発見する。中を覗くと主人公の顔が殺人鬼に変わり、記憶が蘇っていく。
 蘇った記憶は『不気味な何か』、『レアモンスターとの邂逅』、自殺の3つ。その後DENIAL.exeの動作が停止する。

 これまでの広告で登場した内容をおさらいするかのような内容と、3月の広告とも多数繋がるエピソードとなっている。
 ここで主人公の顔が殺人鬼に変わったのは、今の現実の主人公=現在の地縛霊本体の行動の隠喩だと言えるだろう。既に相当な被害をもたらしているに違いない。

・「カップ麺のおつかい」(4/20投稿)

 博士にカップ麺を買ってこいというおつかいを受けてコンビニに行くと、「コンビニ冤罪編」に繋がる広告。
 ただし、このおつかい編とコンビニ冤罪編では若干展開が異なる事、展開自体も奇妙な点が多い事に関してはよく注目しなければならない。
 そもそも博士に話すシーンをもう一度見て欲しいのだが、研究所内の事件の進行度合いは3月の広告「世界崩壊編」よりもさらに進行した状態である。死体が研究所内に転がっているだけでなく新たに血痕も増えているので、さらに状況は悪化している。
 加えて主人公が死体に対して「しかし……博士!」と突っ込みを入れても、これまでの様に「気にするな」や「真実とは時に1人で背負うには重すぎる物だ」など協力者的な言葉は無くなり、ただカップ麺を買いに行くというおつかいイベントをこなさない主人公に対して怒るNPCになってしまっているのだ。
 この広告により、3月までは主人公を救おうとしていた博士も最早正気を失ってしまっている事が明らかになった。

様比較

 加えてコンビニでの死体発見シーンもよく見比べてみて欲しい。上がコンビニ冤罪編、下がカップ麺冤罪編の画像である。こうして比較してみると死体自体が違う事が一目瞭然だ。
 さらによく見るとコンビニ冤罪編では血のコントラストが明るく殺害してからまだ間もないであろう事、カップ麺冤罪ではやや暗い赤色であり血が乾いてきている事も分かる。
 つまりこの殺人はゲームによって再現されたシーンであり、現実で起きた「コンビニ冤罪編」とは似て非なる物だと言える。DENIAL.exeは現実で起こった事件をゲーム内に取り込んで拡張する習性がある事が明らかになった。
 ゲームが現実に侵蝕していた3月に対して、4月はゲームが現実を模写し新たな媒体を作ろうとしている様に見える。

・「三途の河を渡る女」(4/20投稿)

 死亡して幽霊になった少女が三途の河の渡し守に6コインを渡すと、記憶が蘇ってくる。例の屠殺場に吊られた少女は穴から出てくる例の細い手に摑まれて穴の中に引きずり込まれ、「復活編」で登場する住宅にカメラが引いていく。
 途中まで今風の屠殺場であったのがゲーム的な表現の屠殺場になり、それから現実世界の家のシーンになるのが特徴的。これは細い手=脱出した地縛霊である事を暗に示しているのだろう。
 そう考えると同じ手が登場しモンスターを吊っている「モンスターを食う女」も地縛霊と同一存在だと見て良いだろう。ここまでの流れをまとめるとモンスターを食う女=細い手の異形=地縛霊という三段論法が成り立つ事になる。

 では何故地縛霊は本体の姿を見せなくなり、代わりに細い手の異形だけが出てくるようになったのか?
 それは現実のプレイヤーを殺害し脱出した地縛霊の残滓がこのゲームに残り続けていて、ゲーム本体に異常を起こしているからに他ならない。本体は現実世界で生存しているとしたら、残滓は未だゲームの中で異変を起こし続けている。
 そして最終的には次なるプレイヤー、すなわち画面の前のあなたを殺害しようとしているのではないか。そのための干渉行為が「主人公捕縛」編での「タップして謎を解き明かそう」なのだとすると、事件は想像以上に進行している事が分かる。

・「残忍な信仰」(4/20投稿)

 「モンスター殺害」で画面右側にいた主人公の友人らしき男がキャンプ場を探索していると、古の聖地のような場所にたどり着く。
 残忍な信仰に捧げられた哀れな魂が辺りを漂う不気味な空間に友人が立ち去ろうとすると、多数の人々が背後に立っていた。その後「浄化の時間だ」というメッセージと共に映像が途切れる。

様比較比較


 冒頭のキャンプ場は既存の映像と同じ作りになっているが、これも画像で比較してみるとおかしな点に気が付くと思う。上が「モンスター殺害」、下が「残忍な信仰」のキャンプ場。
 死体の数が多いのはもちろんだが、それに加えて穴に派手に付着した血痕が「残忍な信仰」では一滴も血が描写されていないことに気が付くだろう。
 つまりこれまで穴から登場していた謎の手や殺人鬼の類はこのシーンだと穴の中に潜んでいない事になる。これらのストーリーでは地縛霊は姿すら出てこないので、地縛霊とは関係の無い別の怪物も存在している事を匂わせているのが印象的だ。

・「鏡の中の老人」(4/20投稿)

 街の中でモンスターと向き合っている「残忍な信仰」編の友人に、突如謎の映像が現れる。

 すまない、小さきブリーダーよ。
 君は野心があったのに、ただ私が臆病だったのだ。

 直後老人が寝そべっているベッドの映像に切り替わり、友人は老人の代わりにベッドに寝そべり、映像が途切れる。
 この老人は友人と捉えるのが自然であるが、この老人は何者なのか? その答えは「永遠って退屈だな」の映像にある。

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 「永遠って退屈だな」で友人の近辺に倒れているのが「鏡の中の老人」で倒れている老人である。
 この老人と友人が同一人物である事は明らかになったが、これによって物語がどう変化していくのかは現状不明である。
 ただしこの謝罪は老人が「友人の暴挙を止められなかった」のではなく、「友人の野心を実現しきれなかった」事に向けられている事は認識しておかなければならない。
 つまりこの人物が臆病で無ければ友人が主人公以上の殺人鬼となっていた可能性もあるのではないだろうか。

・「病院に潜むナニカ」(4/20投稿)

 生存者を探すべく病院をモンスターと歩く主人公。ふと謎の音を聞くとモンスターは穴の中へと逃げ出し、主人公は一人取り残されてしまう。その後廊下から赤い血の足跡を残しながらやって来る何者かに干渉され、主人公は真紅に染まる。
 状況から類推するにこの病院に入院している人物が多数死亡、あるいは重傷を負い、その調査に入った主人公はあえなく何かに攻撃されて死亡、あるいはそれに匹敵する重傷を受けたのであろう。
 明確に何が起こったかは描写されていないのがミソで、そもそもこの場所自体が広告では初登場、主人公も珍しく喋る。かなり特殊なストーリーだ。

・「キャプチャーボールPR動画」(4/27投稿)

 突然コメディチックな映像になったが、DENIAL.exe世界の背景が分かる物になっている。この映像を見るに、現代社会との倫理観とは大きく離れた感覚で彼らは動いているようだ。以下に新たに分かった情報をまとめよう。

・この世界でのモンスター捕獲装置の名前=キャプチャーボール
・博士の名前はユーカリ博士
・ユーカリ博士は史上最高のトレーナーである
・マップ、展開自体は「真実をみつけるたびにでよう」と同じ(「レアモンスター捕獲編」とは若干異なる)
・この世界でのモンスターの扱いは「仲間」というよりも「道具」

 この中で重要なのはモンスターの扱いで、DENIAL.exeは「あなたのモンスターを安価な労働力として大企業に売り飛ばすノウハウをまとめた本」が販売されていても文句や批判が出ない世界だという事である。
 現実世界の倫理でいけばユーカリ博士というトレーナー界の重鎮がこのような本を販売すればすぐに批判が殺到するはずだが、そうはならず堂々と広告を放映出来るだけの需要があるのだ。
 だからこそ「モンスターを食う女」でモンスターを生贄に捧げるという選択を行えるし、「プログラムの勝利エンド」のようにモンスターから逆襲されても致し方ないだけの迫害を人間は重ねているのだと思われる。
 こうなると主人公は異端の存在である事が明白だ。モンスターを売り飛ばしたり生贄に捧げたりする事に抵抗が無い世界なら、モンスターという道具を殺したとしてまた必要になったら代わりを用意すれば良い。
 主人公が発した「同じパーティの仲間じゃないのか!」という言葉自体、DENIAL.exe世界では「道具が仲間? 何言ってるんだ」と反応されるような奇妙な発言である。「モンスター殺害」では彼の友人もモンスターを仲間だと言えるほど長く旅をしていたのだろうが、いざとなれば道具として殺す判断は出来るのだ。

・「理解の及ばない世界の怪物」(4/27投稿)

 湖の中にある洞窟に侵入すると、図鑑に載っていない巨大なモンスターが現れる。捕獲しようとすると、モンスターは話し始める。

 弱き者よ……
 今までに何人のブリーダーが、私に挑んできたと思うかね?
 理解の及ばない世界があることを知るがいい。

 そう言われた瞬間、主人公は例の博士の家の付近に飛ばされる。怪物から「さあ、行こう」と促され、旅の始まりを予感させる。

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 この怪物の正体は何か? まずこのマップ自体は「向き合う時だ」で登場済であり、この時は多数の人の首があった。モンスターの言葉を尊重すると彼の言う挑んできた人々の末路だろう。
 そしてこの生首の集合体は映像の最後で開眼している。どのように生存しているかは不明だが、この生首が死亡しているという事は無さそうだ。
 つまり、理解の及ばない怪物が最後に見せた光景とは一種の共同幻想なのだと考えられる。怪物に倒された人々は生首上のオブジェとして生き、彼らが生存する精神世界を構築していく。
 これはDENIAL.exe世界内に存在する精神世界であるから、幾度も殺害が行われた現場である博士の家の前であるにも関わらず血痕1つ無い美しい街並みとなっているのだ。

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 この怪物の頭部を模したであろうオブジェは「残忍な信仰」でも登場しており、強大なモンスターをアイコンとして信仰する人々も存在している事が明らかになっていた。
 「残忍な信仰」で比較している画像を見直してみるとその殺人の性格の違いが分かる。殺人鬼が潜んでいた上の画像では、殺人を罪と捉えているので死体は隠蔽されている。対して怪物の信奉者が潜んでいた下の画像では信仰という正義の殺害であるため死体を隠す必要が無く、死体を野ざらしにしているのだ。
 信者は怪物を信仰する事で、怪物の生成する世界、理想郷へ行く事を望む。怪物は信者たちに自らの餌となる人間を供物として提供させ、首以外の肉体を食らった上で精神をも蝕む。この関係を築いた事で、地縛霊無きDENIAL.exe世界で急激に勢力を伸ばす事に成功したのだ。

・エバーテイル4月編のまとめ

 元々存在していたバグである強大なモンスターと、どこからか混入した地縛霊が共存しているのがDENIAL.exe世界だという事が4月シリーズで判明した。
 このモンスターが3月時点で顔見せに留まっていたのはおそらく地縛霊の影響を避けるためであり、地縛霊本体が去った4月以降では霊の力が弱まった分、別の怪異が活性化している状態だと考えると恐ろしい世界である。
 魔教の信者が急激に増えた背景としては、3月から始まった地縛霊が誘引した殺人が原因だと考えられる。地縛霊によって主人公が殺人を行い続けた事により、DENIAL.exe世界にも未曽有の恐怖が訪れたはずだ。その救いとして平和な精神世界に行ける事を謳った魔教に入信する人物が多くなる事は想像に難くない。
 友人はモンスターと、主人公は地縛霊との対峙に向けて物語が進んでいるので、来月以降もストーリーを続けていく気はマンマンだ。

 なんか広告費がカットされて打ち切りになりそうですけどね。 

・エバーテイル5~6月編の概要

 案の定まだまだ広告が出てきているので確認次第追加します。はっきりした考察文に関しては少しお待ちください。
 5月~6月は新しいモンスターが多数登場しており、これまでの関係性はやや薄めな印象を受けた。その代わり、ゲームと広告、あるいは現実と広告の境界線が薄くなってきているような感がある。

・「鏡だと思うか?」(5/6投稿)

 道の先にある鏡を発見した女主人公Bが鏡を調べていると、鏡の向こうから謎の存在が顔を出す。
 マップ自体は鳥居がある道に似ており、今回の主役の人物は「永遠って退屈だな」で顔見せはしているが、特段の活躍は見せていない。
 現状不明点が多い映像なので何とも言い難いが、単なる怪物として捉える事も出来るし、あるいは鏡が現実世界と仮想世界を隔てる壁であり現実にもモンスターが溢れ出していると捉える事も出来る。

・「モンスター暴走」(5/6投稿)

 入りは「カップ麺のおつかい」と同一であるが、この映像では女主人公が殺人を犯したわけでは無くモンスターが暴走して人間を殺した、という話になっている。
 ゲームの内容自体が何度も繰り返されているのは3月~4月と変わらないようだが、単純に魔物の動きが活発になってきているのは注目すべきポイントだろう。
 4月までこの世界に現れる怪物は地縛霊と信仰されプログラムに干渉する神格の二大巨頭と思われていたが、それ以外の怪物も増え始めている。今後の動向を注視したい。

・「アルファ」と「オメガ」(5/11投稿)

 墓場の洞窟に入ると、謎の神殿のような場所に移動する。そこにいたのは「理解の及ばない世界の怪物」。

お前が私を見つけたのは、私がそれを望んだからだ。
自由意思など幻想にすぎない。
お前はただ、私が導くままに動くのみ。

 その後、怪物は自らをアルファ、オメガと名乗り、主人公を別の場所へ転移させる。そこは枯れ木ばかりの荒廃した地で、目の前にはロープが括りつけられた一本の木。

お前はもう、自分が為すべきことを知っているはずだ。

 この後主人公がどうなったかは分からないが、アルファとオメガの言葉が真実であれば主人公は自殺したと思われる。
 ギリシア文字で始まりである「アルファ」、終わりを示す「オメガ」の名の通り、彼らは始まりと終わりを司る神の様な存在なのだろう。
 主人公が自殺するシーンが何度も現れる本作において、この広告は転生の瞬間を残した資料となるのかもしれない。

・「新・越えるな!」(5月18日投稿)

 最初の作品「越えるな!」とかなり近い構成になっているが、越えるな! のラインがより激しくぐちゃぐちゃに書かれている描写、機能を停止しましたのウィンドウがより多く表示される描写、地縛霊と闇から覗いている不気味な何かが倒れている、殺されている描写などこれまでの作品とは大きく異なる事を表現している。
 これまで広告と広告の繋がりを発見して何かしらの考察を行って来ていたが、この広告以降明らかに3月以前、4月の広告とは毛色の違う広告が増えたので、これまでのストーリーとは違うという事を明確に表したかった可能性が高い。

・「崩壊した主人公」(5/18投稿) 

 「珍しいモンスターを集めているのだろう?」などで登場した街に6体のモンスターと、黒色に崩壊した主人公が立っている。

 いつか、あなたにも分かる日が来る。

 その後崩壊した主人公と主人公は対峙するが、逃げる事しか選べない。真実に向き合えというメッセージを発している存在から逃げた主人公は、「全種類を捕まえよう」という課題を与えられてマップに戻る。
 ここで言う「真実」とは「アルファとオメガによってあらゆる行動は支配されている」という事だろうと推測される。
 崩壊した主人公の残滓はアルファとオメガに抵抗して「真実と向き合え」というメッセージを発しているが、何も知らないリセットされた主人公は真実から逃げ出し、DENIAL.exeというゲームを遊び続ける。

・「いつか、君も僕たちとここに座っている。」(5月18日投稿)

 最初の展開は「運命を変えられるか?」に近いが、鍵穴から中を覗いた時に見える景色が異なっている。前回は自殺の光景であったが、今回はモンスターに惨殺されるシーン、越えるなと書かれた線を越えるシーンが流れたのち、塔の周りに幽霊らしき存在と崩壊した主人公が現れる。
 やはり5月からのストーリーはアルファとオメガによってループする世界の中で、上位生命に服従せず運命を変える、世界の真実を知る事がストーリーの肝になった様である。
 ただしこの世界の真実とは、アルファとオメガだけである可能性は低いと考えている。その理由が次の映像だ。

・「答えは向こうからやってくる」(5月25日投稿)

 突然この世界が広告であると告げ、理解したければ広告をクリックし続ける事、答えは向こうからやってくるというメッセージを告げ、HELP.exeが「これは事実です」のウィンドウを表示させる。
 このストーリーが広告限定だなんて当たり前の事を言うな、と思うかもしれない。であれば「これは事実です」とはどのような意味を持つのか?
 これまで語って来たDENIAL.exeというゲームは存在しない物だと思われていたが、確かにHELP.exeという別のソフトでは事実であると告げている。という事は、我々が知らないだけでDENIAL.exeは実在している可能性があるのだ。

 youtube広告には「限定公開」というシステムがあり、限定公開状態になっている動画広告は検索で表示されず、チャンネルを確認しても部外者は確認する事が出来ない。
 我々は広告を通す事でしか観測する事が出来ないDENIAL.exeであるが、この広告を見るに実際にはどこかで限定的にダウンロード、あるいは購入できる可能性を示唆しているのではないだろうか。このゲームがどこかで入手出来るという真実を知る、という事も、5月の映像で示唆された真実の一つだろう。
 DENIAL.exe実在説は全くの与太話だと思われるかもしれない。しかし実際にその可能性を感じさせる広告が6月に投稿された。

・「DENIAL.exeプレイ動画」(6月1日投稿)

 これまでのDENIAL.exeはバグが起きた状態であったり、何かしらのストーリーが進行しているような状態ばかりで、真っ当にこのゲームをプレイしているような動画は全く無かった。
 しかしこの広告では実際のプレイ動画のような映像が流れ、全く見たことが無いような敵やモンスターが多数登場している。3ヶ月も広告映像を見ておきながら、DENIAL.exe自体のプレイ動画をこれまで誰も見たことが無かったのだ。
 この広告によってDENIAL.exeというゲームが実際は存在しているが、我々がプレイする手段を知らない、あるいは我々が入手する手段を知らないだけである可能性が出て来たのは間違いない。
 広告中に挿入されるメッセージ「理解が及ばない世界があることを知るが良い」「私を信じるか?」も、DENIAL.exeというゲームの実在を信じると入手出来る事を表しているのではないだろうか。

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 であれば何故エバーテイルというゲームの広告でDENIAL.exe、もしくはドット字のエバーテイルという別作品の広告をしているのか、という疑問に行き当たるのだが、これはエバーテイルという作品を発端にする事で強引に存在自体が不明瞭な作品の広告を出す為だと思われる。
 存在していない作品の広告を出し続けるという行為自体が我々の常識では奇妙過ぎる行為であるが、理解の及ばない世界で存在している作品の広告をしているのだとすれば納得が行く。そもそも多くの人々が理解できる世界にDENIAL.exeというゲームは存在していないのだ。
 エバーテイルという実在するゲームを媒介に、DENIAL.exeという実在するか不明瞭なゲームを降臨させる儀式だと考えると合点がいくだろう。3ヶ月もの間存在しないゲームを広告し続けた事により、この存在していなかったはずのゲームが確かにどこかで存在し始めている証拠としてこの映像が投稿されたのだ。
 このゲームを入手するヒントは最後に出てくるメッセージ「お前の全てを私に捧げると誓え」であろう。この目玉のような存在――それがアルファとオメガなのか、あるいは地縛霊か、さらなる上位存在かは不明であるが――に全てを捧げる覚悟さえあれば、この広告のゲームは遊べる事を示唆しているのだろう。
 広告詐欺をしていると思っていたのは我々視聴者が理解できていなかったからであり、実際はずっと認知出来ない世界に存在しているゲームの広告をしていた。「答えは向こうからやってくる」で言及されていた「これは事実です」というメッセージも、DENIAL.exe実在説の証明になっていると考えると合点がいく。
 惜しむらくは未だにこのゲームをプレイしてレビューを上げた人物がいない事だが、もし今後そんな人物が現れたとしても信用してはいけない。何故ならこの我々が認識出来ないゲームに全てを捧げた人間が語る真実は、我々が知る世界の事実とはかけ離れている事が容易に想像できるからだ。

・「助けられないモンスター」(6月1日投稿)

 構成としては「モンスターを食う女」に近いが、この映像では4秒の間モンスターを助ける事が出来るようになっている。映像をタップするとモンスターを助けられるようだが、私がタップした時はモンスターを助ける事は出来なかった。
 これをタップして助けられた時こそ、このゲームをプレイできる瞬間なのかもしれない。常識的に考えるとタップして助けられるはずが無いのだが、ここまでの映像で示唆されてきたメッセージで行くとこのモンスターを助けられる可能性がある。
 もしモンスターを助けられたなら、ゲームを信じ全てを捧げた証明になるだろう。

・「あの悪夢の中で見た場所」(6月8日投稿)

  ごく普通の日常の風景を背景に、メッセージが流れる。

ここは、僕があの悪夢の中で見た場所だ。

これから起きるであろう「それ」がもたらす、耐え難い苦痛の予感に身が震えた。

夢で見た「それ」が何だったのかはもう思い出せない。しかし、「それ」の直前に何がおきたのかはよく記憶している。

風が強く吹いているのに、突然世界の全てが音を止めたのだ。

それから、静寂を破るように自販機が缶を吐き出した。そして……

 この広告を最後に、エバーテイルはこのゲームの広告をやめた。正確にはエバーテイルのキャラが登場する広告や、ドット絵では無いゲーム部屋の映像など、DENIAL.exeの姿は跡形も無くエバーテイルから消え去ったのだ。

 エバーテイルの広告に登場していたあのドットのゲームは、一体何だったのか? 既にほかのゲームにありがちなお色気広告に変わってしまった今、その真実は闇の中である。
 最後に登場した映像では「悪夢の中で見た光景」として扱われている。全ては悪夢だった、として片づけるのは簡単だ。しかし、本当にあのゲーム群は悪夢の中のワンシーンに過ぎないのだろうか?
 その真実が分かる日が来る日を願い、私は今後も広告を見続ける。

エバーテイル広告まとめ~嘘から出た偽物の傑作ストーリーを解説する~

・エバーテイル広告まとめ~死海広告発掘編~

 エバーテイルの広告に関してはもう完結だろうと思っていたが、他のエバーテイル広告閲覧者曰く「とあるチャンネルに未発見のエバーテイル広告が存在する」という情報提供を頂いたので、遅筆ながら追記していこうと思う。
 情報提供いただいた(@ ̄ρ ̄@)氏、でえ神官氏に最大限の感謝を述べつつ、追記を行っていく。

 気になる方は是非このチャンネルを自分の目で確認してみて欲しい。いくつかは当noteでも紹介済みだが、大半は未発見の映像である。

・DENIAL.exe海外版の存在

 まず目を引くのが、DENIAL.exeの海外版が存在するという事。
 該チャンネルでは英語版とフランス語版が確認されており、この映像を見るに海外でもエバーテイル、ひいてはDENIAL.exeは存在しているのだ。
 このようなホラーゲームで人気の作品であれば言語をローカライズしてリリースする事自体はある事だが、怪異その物まで言語対応を行って海外に輸出される例は類を見ない。
 該チャンネルで最初にEvertale Horror advertisementとして投稿されたのが5月、日本で初めて発見されたのが3月。つまり2ヶ月の間に日本語堪能な海外の人間がDENIAL.exeをプレイし、そのままゲーム内に取り込まれた事で英語版DENIAL.exeが誕生したと思われる。
 基本的には日本版の広告をなぞった内容であるが、時折海外版限定の広告も存在するのでやはり国ごとに独自に成長する情報生命体としてのゲームである説がより強化された形になるだろう。

・「テレビの砂嵐」(海外版)

 中でも海外版で目立つ要素としては主人公が八頭身のパターンがあるという点だろう。日本版でも八頭身広告は存在しているようだが、普段のゲームボーイ的な頭身の広告を見慣れているとかなり違和感がある。
 ストーリー展開は英語が読めなくても見覚えのある内容ではあるが、映像の終わりに男性の断末魔らしき音声が含まれているのも特徴的。恐怖の伝播の仕方や、ゲームが現実世界の人間に干渉する方法も国が違えば変わって来るという例になるだろう。

・「モンスターになった少年」(海外版)

 内容としては3月31日投稿「レアモンスターとの邂逅」とかなり近いように見えるが、殺害してきた人間たちが幽霊となって復讐を行うシーンや暗闇の中で何かに追われるシーン、そして地縛霊自体が現実に現れて殺しにくるシーンなど、直接的な表現が多く含まれている。
 日本版ではどちらかと言えば殺害や死を仄めかせる、婉曲的に殺害しているような表現が多かったのに対して、海外では直接的に殺害を行う事でDENIAL.exeは活動圏を広げていったようだ。

 海外ではこのように直接的な殺害が行われている点からFBI等が動いていてもおかしくないと思われるが、そのような情報は一切入ってこないし当然google検索でも出てこない。しかしそれもある意味では当然で、犯人すら分からない出元不明のゲームが人を殺した、という事件をFBIが大っぴらに捜査しているとは公表出来ないのだろう。
 FBIにも未解決事件は存在しているし、未だに謎が残る事件も世界には数多く残されている。DENIAL.exeによる死亡事件もまた、未解決事件として歴史に名を残す事になるかもしれない。

・「コンビニ共犯編」(主人公の父親登場ep.)

 日本語でも八頭身モデルが使われた広告の一例。
 導入はコンビニ冤罪と同じだが、この場合は女性側が殺害後、殺した女性の目がこちらを睨んでくるという理由で両目を抉ってしまったというストーリーに変化していた。
 その後女性は男に対してどこかに行った両目を一緒に探してほしい、と頼まれて逃げるか目を探すかを選択する。

 この男は別の広告でも登場しているのだが、なんとこの男は主人公の父親である事が判明した。上記のコンビニ共犯編ではウィンドウに表示された顔が主人公と同一であるが、帽子をかぶっていない点から別人だろう。主人公の顔が父親似であり、血縁関係が濃いという証明とも取れる。
 映像を見るに父親は怪奇現象を信じない現実主義の人間で、成熟したごく普通の男性である様だ。
 父親の描写自体は少ないが、彼が登場する広告ではモンスターと共に行動している姿を見かけない。ごく普通のサラリーマン、そして妻のいないシングルマザーである可能性が高い。無論主人公の母親もいる可能性はあるが、今のところは未登場。

 父親は右腕から血を流した状態で「これが俺の墓石なんだな……」と呟いている映像がある事から、おそらくコンビニで女性から共犯を持ちかけられた後死亡した物と思われる。
 現実主義である父親は選択肢にある「目を探す」を選べず、おそらく逃げてしまったのだろう。そして追われて致命傷を負い、命からがら逃げだした先が墓石の前であったのだ。
 それにしても親子共々コンビニでの冤罪、あるいは共犯関係に巻き込まれてしまうのは大きな因果を感じざるを得ない。

・「謎の場所」

 「看板も無いし、木々も無い」というメッセージを見て下方向に行くと、キャラのデータが格納された空間に足を踏み入れる。
 しばらく歩くと暗黒空間に放り出され、その先には図鑑に登録されていない伝説のモンスターが棲息していた。戦うを選択すると「死は討論ではない」というメッセージと共にイベントが発生する。右方向に移動し、下方向に移動し、その先には動画の再生ボタンのようなものが現れ、映像が途切れる。
 有り体に言えばDENIAL.exeに存在するバグ技の使用動画であり、不正に伝説のモンスターを捕まえるテクニックだろう。既存の動画であるような霊的要素やゲーム全体を支配する超存在は登場せず、あくまでもゲームのプレイ中に存在するバグ要素としての動画だ。
 気になる要素としては最後に出て来た動画の再生ボタン。あの再生ボタンが何かは分からないが、もしかするとあの伝説のモンスター自体もゲーム本編では無く動画広告であるという事を認識していて、戦闘している所を動画に収めまいという抵抗なのかもしれない。
 またこの伝説のモンスター自体は6月1日に公開された「DENIAL.exeプレイ動画」で登場しており、正式な手順を踏んで登場させると地球を背景に戦うようである。背景から推察するに宇宙の開闢に関係するモンスターなのだろう。現在登場しているモンスターの強さとしてはアルファ&オメガ>地縛霊≧伝説のモンスターくらいの格付けになるか。

↓続編はこちらから↓


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