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新型コロナウイルス感染への小杉湯の対応方針について

はじめまして、高円寺にある昭和8年創業の銭湯・小杉湯です。今まではtwitterを中心としてSNSからの情報発信を行ってきましたが、今後はこの銭湯を運営する株式会社小杉湯スタッフの想いをまとめて伝えるべく本noteを開設しました。

3月半ばより都内を中心に急激に増加している新型コロナウイルス。連日、このウイルスにまつわるニュースを目にして不安を抱えている方も多いと思います。2020年4月7日に緊急事態宣言が出されましたが、"公衆浴場"は社会生活を維持する上で必要な施設として、今後も休業を要請されていません。私たちも銭湯をインフラと捉え、高円寺で小杉湯のお風呂を必要とされている方にむけて、今後も営業を続けていくことを決断しました。(ご自宅で入浴が可能な方につきましては来店をお控えいただくようお願いします。)それでも、営業を続けていく上で不安や心配な点もあり、今回はその率直な想いや小杉湯で実施している対策についてお伝えします。

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小池都知事が土日の外出自粛を訴えた3月28日以降、小杉湯の入浴者数はひと目で分かるほど急速に少なくなりました。現在では約4割ほど減少しています。この状況は経営に大変厳しいもので、今までの運営方針で営業をそのまま続けるとなると、数ヶ月で資金が底を尽きることが目に見えています。

先の見えない不安に対し、小杉湯内で今後の方針について日々話し合い続けています。臨時休業を迎えるお店もあり、それも一つのやり方と考えることもありました。しかしながら、それでもいつも来られているお客さまの顔を毎日みて、お話をすることで、この場を絶対に無くしてはいけないと思うようになりました。

小杉湯にくるお客さまは、家にお風呂がない方、お風呂が使えない方、また、お風呂があっても一人で入るのが危険な方がいらっしゃいます。小杉湯を閉めてしまったら、その方達の生活はどうなるのでしょうか。私たちはこの局面にさしあたって、改めて銭湯がインフラであることを認識し、銭湯が必要な方達のために、今後もできる限り営業を続けていこうと気持ちを新たにしました。それでも、この決断が良かったのかは毎日悩んでもいます。大切なお客さまや従業員の中から新型コロナウイルスに感染してしまう方が出ることを想像すると怖くなります。そして、営業を続けると決めた以上は責任が伴います。小杉湯を可能な限り安心安全の場とするために、正しい情報の収集と、信頼できる方たちへの相談を行いながら、なるべく冷静に状況を判断した上で、新型コロナウイルス感染症対策と感染拡大防止への取組を行っていこうと考えています。


小杉湯の新型コロナウィルス感染症対策と感染拡大防止の取組について

① 正しい情報収集と信頼できる方たちへの相談

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SNSで流れてくるような不確かな情報を見てしまうと、必要以上に不安や心配な気持ちが強くなってしまい冷静な状況判断ができなくなってしまいます。正しい情報収集として、厚生労働省、内閣官房、東京都、日本赤十字社のWEBサイトを日々チェックしたり、「医療×小杉湯」のプロジェクトでお世話になっている医療従事者の方たちに直接相談をしてきました。

② 従業員の感染予防策の徹底と、感染者・濃厚接触者が発生した際のガイドライン作成

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アルバイト・パートを含む従業員に対しての自己管理の徹底と、体調不良や不安や心配事があった際に相談しやすい社内体制をつくっています。また、従業員の感染が発生した場合の対応、お客さまの中から感染が発生した場合の対応、業務の継続判断についてのガイドラインを作成し、従業員への共有を行います。


③ 従業員による定期的な除菌の実施

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従業員が3時間毎に人が触れる部分への除菌スプレーを使った消毒を行っています。下足箱鍵、自動ドアボタン、浴室ドアのノブ、飲料冷蔵庫の扉、水栓、 番台ドアノブ、脱衣所ロッカー、トイレドアノブ、洗面台、浴室ドアノブ、洗面台蛇口、体重計、血圧計操作パネルなどの箇所を毎回30分程の時間をかけて消毒します。またこれまで店内に設置していた漫画や雑誌については、消毒作業が難しいため全て利用不可としています。

④ 除菌スプレーの設置

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待合室、脱衣所、玄関、コインランドリー、トイレなど合計12箇所に除菌スプレーを設置しました。従業員が触れる部分の消毒を徹底的に行うことはもちろんですが、お客さま自身にもご協力いただくことで、この場を安心安全の場にしていきたいと思い、メッセージつきでスプレーを設置しています。

⑤ 待合室、脱衣所、浴室の換気

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"3つの密”の環境を避けるため、徹底的に換気を行っています。元々、銭湯は天井が高いため換気の良い環境ではありますが、さらに換気を強めるため普段閉じている窓も開けています。普段より涼しく露天風呂のような状態ですが、感染対策のためにお客さまにもご理解いただいています。また、脱衣所も窓を開けているほか、扇風機を稼働させ、空気の流れが良い状態にしています。

⑥ 新型コロナウイルスにまつわる情報の掲示

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銭湯の浴室や脱衣所ではスマホや携帯電話を利用することができないので、普段より読み物をじっくり読むことができる環境になっています。そのため、銭湯自体を一つのメディアとして捉え、新型コロナウイルスにまつわる正しい情報、手の洗い方、メンタルのケア、ご年配の方への身体のケアなどの情報を掲示しております。既に多くの方がご覧になり、「こういった情報は知らなかった」という声もお聞きしました。こういう時だからこそ適切な情報を適切な場に掲示することの必要性を感じました。

④ メッセージボードの設置

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新型コロナウイルスに対し、私たちも日々この対応が適切なのか迷っている気持ちもあります。至らない点もあるかもしれませんので、お客さまからの率直な想いやご要望を伺い、日々改善をしていきたいと思っています。そのため、玄関脇にメッセージボードを設置させていただいたところ、ご要望やご意見の数以上に、毎日応援のコメントが寄せられるようになりました。

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「日常をありがとう」「こんな時にも開けてくれてありがとう」と、ありがとうに溢れたコメントをみるたび、本当に泣きそうになります。皆様のコメントに支えられて、これからも小杉湯を営業し続けようという想いが強くなりました。


この先について

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安倍総理大臣から緊急事態宣言が出され、5月6日までこの状態が続くこととなりましたが、新型コロナウイルスとの戦いは最低でも1年〜2年と長期化をすることを前提に考えています。その上での長期的な感染症対策と感染拡大防止への取組や、厳しい経営環境の中で、何とか生き続けられるように全力で取り組んでいかなければいけないと思っています。
経営面でも顧問税理士、社労士、中小企業診断士の先生たちと打合せを行いながら、事業計画の修正、正しい助成金情報取得と申請準備、特別貸付等の借入手続きや新たな収益モデルの構築を行っています。

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ここまでやっても、いつ終わるかわからない戦いと、今後の日常がどのように変わるかへの不安は拭えません。それでも必要として下さっている方たちの為に、なんとか必死で小杉湯を守っていきたいと思っています。
新型コロナウイルス対策に寄せて、小杉湯の考えていることや、実施していることなどまとめさせていただきました。みなさんも私達と同様に不安な気持ちを抱えていることと思います。でも、終わりは必ずあります。今はみなさんと一緒にこの苦難を乗り越えていけるように力を合わせて必死で頑張っていきましょう。
最後に繰り返しになりますが、新型コロナウイルスの感染拡大が終息するまでは、高円寺で家にお風呂がない方、お風呂が使えない方、お風呂があっても一人で入るのが危険な方のための営業となります。ご自宅で入浴が可能な方につきましては来店をお控えいただくよう改めてお願いいたします。


また、みなさんと笑ってにぎやかなお風呂に入れる日まで。
小杉湯スタッフ一同

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