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"全て社長の責任”と考えすぎた結果、組織が育たなかった反省の話

来月11日で起業して丸11年。12年目に突入します。
前職のベンチャーにインターンとして入ったのが2004年の頭。
インターンとはいえ大学以上に会社にいたので、そこからカウントすると、もう16年も”ベンチャー企業”に属していることになります。

生まれも育ちもベンチャーが故、なんでもかんでも”自分の責任”と考える習慣があるのですが、振り返ると、それが組織力UPの大きな阻害要因になっていたと感じています。

そんな反省事例をいくつかご紹介

給与を上げてくれないのは社長のせい

数年前、やめた社員に”もっと給与を上げてくれると言っていたのに”と言われました。

とにかく、給与を上げられるかどうか?(業績が伸びるかどうか)は全て社長の責任と考えていた私は、本当に申し訳なく思い、その後ビジネスモデルを再考する・絶対に収益を伸ばすと考えて集中をしました。

結果的に収益は伸びたので良かったといえば良かったのですが、組織力を伸ばすということは完全に後回しで組織は弱いけど収益がのびたという状況。

どう発想すれば両輪を伸ばすことができたのか?

やめた社員の件に話を戻すと、少なくともこの社員が”やらせて欲しい”ということはだいたい任せていたし、その結果全然売上が立たず大赤字で閉じた事業もありました。ただ、任せた私が悪かったと考え特段責任は負わせず、私の給与は大幅にカット&他の収益源を確保しその赤字を埋めに走りました。要はとても過保護な状態だった。

一人で起業した会社なので、入ってくれるだけでありがたい=過保護やむなし。と考えて、色々”なんとかする”ことを考えてきたのですが、結果としては過保護な想いは相手に全く伝わらないし、成長の必死さも生まれないし、全員にとってマイナスなものでした。

仲良くやりたいから責任者になりたくない

前述のビジネスモデル転換に際して、”もっと権限委譲せねば!”と考えた私は、まずは2名抜擢し私含めた3名での会議体をはじめました。

”権限委譲”という言葉だけが自分の中で先走りして、その二人が果たすべき責任とは?という議論は一切されずに権限だけ与えて走り出した結果、私が求めるものと二人の意識に徐々に乖離が生まれはじめ、あるポイントで一人が”(佐藤は)私のせいのような発言をしているが心外だ!そんなことをいうならクビにしてくれ!”と声高に叫ぶ事件が起きました。

そのタイミングで、もっと”求める成果・責任”を明確にすれば良かったのですが、この状態で特定の人に移譲をするのは危険、全員の底上げをしよう!と考えて、”全員経営”と表したところ、”全員経営でみんなの力を合わせるには上下を付けない方が良い。責任者という肩書きはイヤなので取りまとめ役くらいにしよう!”という声が。

メンバーの意見を尊重すべきだと考えて、私はそれを了承。
これは結構尾を引くミスになりました。
経営者経験くらいしかなく、”責任”をとるのは当たり前だと思っていたものの、”責任って言われてもなんだかわからないし、社員には厳しい”と言われて納得してしまっていました。。
結果、個々人の責任は曖昧、全社の数字責任だけ私。という状態が継続。

漠然とした期待値と結果の乖離だけが広がり続け、止むを得ず徐々に役割(権限)を狭めていった結果、二人とも辞めることになってしまいました。他要因もあるとは思いますが、このギャップを生む仕組みを許可してしまったことは大きな反省です。

評価は大変だから360度評価で全てを決める

権限委譲をする過程で避けて通れないのが、”給与評価”権限の委譲
ただ、初めて評価をする側になるタイミングで誰しも感じることが”人の給与を決めるなんて、、、(恨まれたくない。。)”みたいな感情。もちろん弊社でもそうした声は多くありました。

昇降給の基準が明確で、主観が混らない状態であれば、評価面談というのは”結果の確認”だけで済み、給与評価もそれに基づいてすれば良いのですが、そうはなっていなかった。

給与評価権限の委譲タイミングで、しっかり目標設定する形に変えれば良かったのですが、そうはせず”給与評価は大変だろうから、管理者が評価しなくて済むように完全360度評価にしよう!(管理者を楽させてあげたい)”と、部門ごとの独立採算指標とそれを360度評価で分配するという完全計算式での給与制度に変更をしました。これも完全に私のミス。大変とはいえ、結果的に一番重要な権限を奪ってしまっていました。

結果として、会社・部門としての成長ではなく、”みんなで褒める・慰め合う”文化が発達。自分に入った点数や仲の良さばかりが重要視され、事業数値はマイナスにも関わらず、”こんなに雰囲気が良いチームなのに結果が出ないのは、もっと上(経営)のせいだ!”と言い出す状態。事業数値も点数も低かった部門長がメンバーに対して”もっと投票してくれ”と泣くというなんとも本末転倒な事象まで発生しました。

360度評価制度は終了をさせましたが、”結果が出ていなくても、仲良し重視の褒めてくれ文化”を作ってしまった原因は私です。

挑戦できないのは社長のせい

決裁権のような権限委譲は相当しっかりしている弊社ですが、どうしても事業のアイディアを出したくなってしまう私の性格上、各部門との1on1でアイディアを出すということは継続して行われていました。

なんとしても全事業結果を出したい!と考えていたので、1on1だけでなく、チームのチャットで発言をし、アイディアを出したり指摘をしたり再考を促すなど、後方支援をしている”つもり”でいました。

ただ、”常に佐藤が見ている”と捉えられた結果、2パターンに分かれ始めました。

・社長が見ている中(暗黙の承認)で上手くいかなかったのだから、仕方ない(自分に責任はないという免責意識)
・常に社長が見ている状態では、何を思われるか分からず怖いので挑戦できない。(社長は絶対評価者という意識)

実際には、私含めて社会・市場から評価をされるのに社長が絶対評価者のように見られる。そして、社長の意見に従っておけば責められないという免罪符として使われてしまう。別に社員が悪いという訳ではなく、この環境下では誰しもそうなってしまうもので、この環境を変えなければいけないと感じ始めました。

組織力をあげるために変えたポイント

かれこれ何年組織力UPに悩んでいるんだろうか。。
とてもじゃないですが、自分にセンスがないと言わざるを得ないなと感じた私は、自力で試行錯誤することを諦め(←ここが一番大きい変更点)親しい経営者の話も聞きつつ、組織力強化のためのトレーニングを私個人として受け始めることを決めました。(私の課題感にとてもフィットしたので、年末から識学を導入しました

課題感にフィットしていて選んだので当たり前ではありますが、あらゆる内容が刺さりまくっています。

識学の安藤社長が書いていた”なぜ「自由な会社」ほど息苦しいのか?”がまさにうちには当てはまりまくっていて、”ベンチャーだから!”という表現で色々と自由という名の”曖昧”にしていたことが大きな原因だと感じています。

社長の責任は全社業績”のみ”

ちょうど2月から下期が始まるタイミングだったこともあり、
しっかりと”役割(責任)と権限”を明確化し、本部ごとに責任が重複しないように設計しました。メンバーの役割と権限についても明確化を進めています。また、曖昧なルールを排除するように仕組みの再構築も進めています。全ては個人が最も成長できる環境づくりのためです。

識学のトレーニングでも度々言及されるのが”成長を阻害する免責要素”
如何に、自責で自分の結果に集中できる環境を作るか?
を体系的に教えてもらっています。

ルールに曖昧な点があり、アンフェアに感じる人がいたとしたら、それは集中を阻害する要素。フェアなルールで明文化しないといけない。
働き方のルール(在宅、フレックス)みたいなものだけでなく、評価のルールもしかり。

社長なんだから、ありとあらゆることの責任をとる!(手を出してでも改善させる)と考えてきた私ではありますが、だいぶ考えを改めました。
本部ごとの成果や部門・個人の成果については完全に委任し、私の直接的な責任範囲ではありません。(不祥事で表に出るみたいなものは除きます)
仮にA本部が未達でも、私はB本部を伸ばして達成させれば私の責任は果たされるという考えです。

個人が成長するためには、如何に自責で考えて自責で行動できる役割があるか?が重要だと考えています。
これまで、”最後は社長の責任だから!”と、コメントしたこともありましたが、結果的に成長に対しての自責意識を低減させてしまっていた。

前述の反省点でいうと、

・給与が上がらない
→ 何を達すれば上がるのか・下がるのか。現給与をベースに明確な目標設定をします。その目標は、部門長が課せられた部門目標を絶対に達成するために部門長の権限において区分けしたものです。達成したら”必ず”昇給をさせると保証をします。逆に、未達の場合基本的には減給です(業績連動の全社ベースアップを除く)

・責任者になりたくない
→ なりたいかなりたくないかは価値観なので構いませんが、あくまで役割であって人間として上か下かみたいな話ではありません。
また、給与が高い(高くしたい)のに責任を負いたくないというのは明確になくします。もしそういう人がいた場合は、給与を下げてもらいます。

・評価が大変
→ 大変だと感じるのは、成長の階段を上っている証拠。むしろ、評価権限がなければ、メンバーも長が割り当てた目標を全うしてくれず、長の目標も達成できません。(ひいては会社の目標も達成されない)
評価権限は目標達成において、非常に重要な権限です。
私は本部長への目標割り当てと評価に対して責任を追っています。

・社長の一挙手一投足が気になる
→ 気にさせないように、極力対メンバーで発言をしないように変えました。全社向けでの発言は全社会だけです。(イチメンバーとのランチも極力控えるようにしています。)
失敗が怖いのは誰しも当たり前で、”健全な恐怖”です。
失敗後に責められる”かもしれない”ことが”不要な恐怖”。
社長に対して感じるのは不要な恐怖なので、感じないように職権も明確にします。私にメンバーの評価権限はありません。

まとめ

もちろん、これらが銀の弾であらゆる課題を解消してくれるとは考えていません。
ただ、”個人が最も成長できる環境づくり”が最重要には変わりない。
なんとしても個が成長できる環境を作っていけるように、これからも私自身含めて色々と挑戦をしていきたいと思います。

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