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マイノリティはマジョリティが目覚めるための道具ではないーー純ジャパと混ジャパのイベントに関するインタビュー記事に寄せて

マイノリティはマジョリティが目覚めるための道具ではない。

朝日新聞withnewsにインタビュー記事が掲載されました。

堀潤さんを招く「純ジャパ/混ジャパ」イベントの、動機ではなく手法こそが問題だと話しました。
まずは、お読みください。

「純ジャパ」イベントがあぶりだした、私の中の「潜在的な分断」 | withnews(ウィズニュース)


#withnews


さて、その上で。

僕が強調した点および考えていることを4つ、以下に書きます。

1つ目。

差別の現状把握のためならば、マイノリティへの加害性が高い告知文を書き、加害性がある上に適切なデータが得られない設問を、不特定多数が見られるメディアで突発的に公開していいことにはならない。しかも加害性は意図的。教員は「仕掛け」と呼んでいます。学生を盾にしてアウトの連続だと話しました。


2つ目。


マイノリティの問題状況への理解や学びが足りない誰かが、それを補うことをしないままに、炎上によって話題提供することを、評価してはならない。

学生を盾にして、炎上を「仕掛け」と呼ぶ指導教員の責任こそがポイントだと思います。

最近流行りの、非対称性や権力勾配をスルーする、さまざまな「対話」モノのイベントや記事を見てても思います。

そして、3つ目。

今回「炎上」のかたちで、「ハーフ」や海外に(も)ルーツをもつ人々の声が可視化されたのは「純ジャパ/混ジャパ」イベントの「潜在的な成果」ではないと僕は考えます。
このあたりの事情については、『現代思想』新移民時代の「半歩からの約束」論考をお読みくださいませ。

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4つ目。

マイノリティはマジョリティが目覚めるための道具ではない。

反省の材料にできるポジションにあなたはいるのです。
でも、マイノリティは材料ではない。
あなたが目覚めるために、傷つけないでください。

そのことを忘れずに。

学びも、議論も、「対話」も、利用しようとする、その手つきをおさめてから。

話の続きは、それからだ。

ではでは

【追記】

補足です。

マジョリティの位置に偶発的にもいる人々その全てを「叩く」ことを目的にした発言およびnoteではありません。

僕が、問題にしているのは、問題をスルーできる権力勾配だからです。

そして、マジョリティという立場にいながらも、はたまた、マイノリティという立場からも、「スルーするだけ』「利用するだけ」という関係性から、なんとかはみ出して、真摯に向き合おうとする人々が大勢いることも知っています。(身近にもいっぱいいます。)

このあたりの話、時間はかかると思いますが、また言葉を編みたいと思います

2020.2.9 18:00

【追記2】

「よりよい日本社会を考えていきましょう」と早急にもポジティブに今回の件を語り直す方々と、

顕在的な問題状況を「潜在的な分断」と呼び変えた「先生」の言葉をコピペする方々との、距離はどれくらいなんでしょう。

▼「純ジャパ」イベントがあぶりだした、私の中の「潜在的な分断」



ポイントは、「動機がよくても手法がアウト」であることです。

学生主体の名の下に、侵襲性の高い手法がとられた経緯の検証と反省が行われないままに、「潜在的な分断」なんて言葉をコピペして、「明るい未来」を語る前に、やることはあります。

もう1つ。

こちらの記事を書いた記者さんを批判している皆さんのなかで、「ご自身の言動を振り返る」ことを忘れておられる方はいませんか?

伊勢崎ゼミと記者を批判して「安心」している方はいませんか?

今回の件が、めっちゃ消耗する理由は、こーゆーところにあるわけです…。はやく楽になろうとして、短絡的に美談にもっていくのは、やっぱりちがうと思いますよ。。


怒ってないです、疲れたんです。。

ではでは。

2019.02.10

【追記3】

東京外国語大学PTUs学生有志の皆さんの抗議文を支持します。

皆様ぜひお読みくださいませ。
▼抗議文東京外国語大学伊勢崎ゼミ主催のイベントについて(東京外国語大学PTUs学生有志より)

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2020.02.11 12時59分


【追記4】

次の追記は東京外大による検証と再発防止策の公開かと思っていたのですが、そうはなりませんでした。。

少なくとも、こちらの記事にあるように、ご所属の大学側から「謝罪文」が提出されておりましたので、その後の経緯を注視するにとどめておりました。

さて、こちらの追記では先日のツイートについて書き進めたいお思います。

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こちらのツイートを読んで、まずおもったことは、「調査対象への不適切なアプローチの検証および再発防止策の公開をヒステリックになりようもなく、ずっと待っているのですが、まだなのでしょうか」ということです。

こちらの文面からは、おそらく経緯の検証や再発防止策の公開などが十分に行われないままに、今日を迎えているのでは、と考えております。どなたか、このあたりの詳細をご存知でしたらご教示くださいませ。

話を先に進めます。

まず、「ポリコレ」や「ヒステリック」という言葉を使っても、アプローチの検証や再発防止策の公開の必要性は揺らがないと思います。

そもそも、伊勢崎先生がおっしゃるような「努力」と、あきらかに侵襲性の高い調査を自分のゼミ生に決行させてしまったことは、話が別です。

前者があってもなくても、後者がアウトなことに変わりはありません。

いずれにしても、後者の検証と再発防止策の公開は必要です。

やはり、イベント後から、なにも行われていないままなのでは、という疑念をぬぐえません。

(学長による「お返事」および大学としてのステートメントは、まだ履行されていないのでしょうか。)

加えて申し上げますと、「純ジャパ/混ジャパ」イベントの告知・開催・不適切な調査の実施によって、「国際人道法と国際人権法を周知させる努力」も、自ら大きく毀損しているので、その点も合わせて検証と再発防止策を公開されたほうがよろしいのではと考えます。

個人的には、大学生を盾にしながら実施したこともあわせて検証されるべきだと改めて思います。

それから、大変気になっているのですが、「エセ学者」とは書いているのですが、侵襲性の高いイベントおよび調査の実施によって当事者(と身の回りの人々)が声を上げたことを、もうお忘れなのでしょうか。批判していたのは、研究者だけではありませんでした。

その意味で、「エセ学者」という限定は大変気になります。

また、こちらは考えすぎかもしれませんが、念のために書いておきます。

もしかすれば、先のツイートは、コロナによる人種差別のより一層の顕在化を目の当たりにして「わたしの活動は役に立つ!」という狼煙をあげたおつもりなのかもしれません。

だとしたら、人種差別を維持・再生産させうる告知文や設問を(侵襲性の低減に努めることなく)世に出したことの検証と再発防止策をしてからおっしゃって頂きたく思います。

それでは、ひとまず、このあたりで筆を置きます。

※書き忘れ

当事者だから怒ってるんですよね、とよく言われるのですが、それも、まぁなくはないのですが、調査協力者の方々、HAFU TALK(ハーフトーク)を介した知り合えた方々、書籍イベントや対談イベントで知り合えた皆さん、SNSで声を上げた色んな人の顔が浮かぶわけです。だから、放っておけないのです。前に、この件で「SNS辞めろマスメディアに出るな論文書け」(大意)とおっしゃってきた研究者の方々のご意見ももちろん「理解」はできるのですが、ここで踏ん張らないのも、自分としてはちょっと違うかなぁとも思うのです。たぶん後悔する。
(論文、心配してくださってるからだと思うので、がんばります。ありがとうございます。こなような出来事があると、心がざわついてしまって、論文書くモードがそがれてしまう部分もあるのですが、今回はもっとちゃんと踏ん張ります。書いてこそ、言えることありますものね。やります!)

(2020.3.23)

ところでマジョリティとマイノリティってなんなんだろう…と気になった方はこちらの記事と「追記」まで読んでいただけたらありがたいです。

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