コロナ禍に再評価されるべき、常連顧客の重要性

トレタの中村です。今日は、ここ数ヶ月のトレタの保有する飲食店の来店者データを見返していてとても興味深い傾向を発見しましたので、皆さんにご紹介したいと思います。環境が日々激変する今のような状況だからこそ価値のあるデータだと思うので、ぜひお付き合いください。

まずはこのグラフをご覧ください。

スクリーンショット 2020-08-04 10.47.02

これはトレタ導入店舗さま全体におけるオンライン予約の件数推移を、予約経路ごとに集計したものです。予約経路は大きく3つに大別しており、いわゆるグルメサイトからの予約と、Googleで予約、そしてトレタでご提供している無料のオンライン予約です。
まずは、それぞれの予約経路にどんな特徴や傾向があるかをご説明しておきましょう。

■ グルメサイトからの予約:ご存知、食べログ・ホットペッパー・ぐるなび・Rettyをはじめとした各種グルメサイト経由でのオンライン予約です。「よいお店を発見して予約する」という使われ方が多いため、基本的には「新規顧客」が多いという傾向があります。
■ Googleで予約:Googleの検索やGoogleマップからの予約です。使われ方はそれぞれ、検索からの予約は「指名検索」=つまりリピートやクチコミからの予約。マップからの予約は「現在地周辺のお店」というお店探しからの予約。つまりリピーターによる利用、または利便性に基づいたお店選びという2つの側面を持ちます。
■ トレタウェブ予約:トレタの提供する無料のオンライン予約ページからの予約。位置づけとしては、飲食店さまの「オウンドメディア」の一部として利用していただくという設計となっているため、新規ではなくリピーターさんの利用が多い傾向があります。

さて、以上のような傾向を踏まえて改めて前掲のグラフを見てみましょう。まず目につくのは、グルメサイトからの予約のボリュームの多さですね。そして次に気づくのは、グルメサイト経由の予約の変動率の大きさです。忘年会シーズンには通常時の1.5倍くらいまで伸びることもありますが、一方でコロナ禍では1/10以下まで落ちるというボラタリティを見せています。

一方で、トレタのウェブ予約にはそれとは全く異なる傾向が見てとれます。件数で言えば、グルメサイトと比較して1/3くらいのボリュームしかありません。しかし、予約件数はさほど大きく変動せず、常に安定して予約が入ってきていることがわかります。

この傾向の違いは今回のコロナ禍においてより一層鮮明になっています。自粛期間において、グルメサイト経由の予約は1/10以下まで激減したのに比べると、トレタウェブ予約はそこまで大きく下落せず、6割程度の下落にとどまっています(それでも下落幅は相当大きいのではありますが)。
そして結果として、なんと4月と5月は、トレタウェブ予約がグルメサイト予約を上回るという、前代未聞の事態になっています。
さらに、2020年1月と7月における実績を比較すると、トレタウェブ予約は90%以上戻しているのに対し、グルメサイト予約はまだ半分以下にとどまっています。(下のグラフの赤枠部分)

スクリーンショット 2020-08-04 10.47.11

この傾向の違いはどこから来るのでしょう。それはまさに、「新規顧客」と「常連顧客」の違いにあるのだと推測できます。世の中全体が自粛モードになって外食控えが広がったときでも、常連さんはお店を応援して利用してくれているのですね。
もちろん、このグラフからも分かるように、絶対数で言えば常連顧客より新規顧客のほうがボリュームはあります。しかし新規顧客は環境の変化を敏感に受け、変動率が極めて高いのに対して、常連顧客はどんなときでも常に安定して来店してくれる、そういう顧客層なのです。

皆さんもお店を利用する側として実感があると思うのですが、この自粛ムードの中で外食をするなら、全く新しいお店を開拓するよりも、行き慣れた「あのお店」を使いたいと思うのではないでしょうか。
そこでそれを裏付けるデータとして、それぞれの予約におけるリピーター比率を確認してみました。

スクリーンショット 2020-08-04 10.47.19

一目瞭然ですよね。トレタウェブ予約のリピーター比率は、一貫してグルメサイト予約よりも10%以上高いのです。これはトレタウェブ予約の機能というより、これを上手に活用して、常連さまづくりに積極的に取り組んでこられた多くの飲食店さまの努力の賜物なのだと思います。(ちなみにGoogleのグラフについては、トレタが「Googleで予約」に参画したのがちょうど2019年の3月でして、そこから急激にユーザーが増加したことが原因で、大きくグラフが変動しています。しかしご覧いただければ分かるように、少しずつですが着実にリピーター比率が上昇しており、指名検索の強さが伺えます。まだまだ絶対数は少ないですが、今後ますます存在感を増してくることは間違いないでしょう)

僕らも、必ずしも「グルメサイトが不要」とは考えていません。健全な顧客ポートフォリオを形成するには、一定数の新規流入が必要なことは間違いありませんし、その目的においてグルメサイトの存在意義は決して小さくありません。しかし一方で、このような変化の激しい環境下においては、安定した売上をもたらしてくれる常連顧客の存在がいっそう際立って見えてくるのも事実です。

分厚い常連顧客層は、一朝一夕では作ることはできません。日々のコツコツとした努力の積み重ねが不可欠です。しかしだからこそ、一日でも早く取り組みを始めたほうがよいのだと思います。それこそが、飲食店にとっての危機への最大の備えにもなるのですから。

トレタは創業時から、飲食店さまの常連づくりを支援することを使命の一つとして掲げてきました。トレタのドメイン「toreta.in」は、つなぎ直して読むと「To Retain」。まさに常連づくりのお手伝いをしたいという、その思いを込めているからです。

トレタは引き続き、「持続可能な飲食店」を実現すべく、CRMやオウンドメディア強化のためのさまざまなサービスを開発・ご提供していきます。環境変化に強いお店を作りたいとお考えの店舗さまは、お気軽にお問い合わせください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?