ふろたん/月海 香

name : Furotan/ふろたん 近況:自分で書いた小説に自分で絵を付けて一冊に…

ふろたん/月海 香

name : Furotan/ふろたん 近況:自分で書いた小説に自分で絵を付けて一冊に仕上げたい。 HP : https://furotan-3colorhood.jimdofree.com/ カクヨム:https://kakuyomu.jp/users/Furotan

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09 管理人星川光の記録

前作:『08 ?-※-012■の記録』 「では星川さんの署長就任と施設管理部の設立を祝いまして、カンパーイ!」 「カンパーイ!」  就職から半年経った秋の真っ只中。私、星川光はホテルマンのようなベージュ色の上品なスーツに袖を通し、赤いネクタイを締めて紙コップを掲げていた。  アーティファクトと呼ばれる様々な怪異たちの収容所。人界から隔絶(かくぜつ)された箱庭の管理を任された私は、刻浦乃亜と言う土の精霊の庇護(ひご)と監視のもと着実にキャリアを積んでいた。 「部下と立場が逆転

    • 『太陽の女神、月の男神』第二.五章

      前作:『太陽の女神、月の男神』第二章 =====  国立プロメテウス学園の高等部に合格した私サシャ・バレットは、己が太陽神ソルの生まれ変わりだと知り段々女神として目覚める中、正体のわからない夜色の合成獣に命を狙われていた。 そして先日とうとう首謀者と思しき男が現れ、マシューやマリルー、オルフェオに始まる友人たちを人質に取られた私は彼らの目の前で攫われたのだった。 「ふっ」  怪しい紳士に攫われてから三日後、私はとても命を狙われたとは思えないほど穏やかな生活をしていた。森

      • 過去のはじゅかしい作品も含めて一部有料に変えました。直したり、加筆したり、本にしたいものだったりするので大量にいじり出すと思います。好きだった作品に課金してくれると本になる可能性が高くなります。

        • 『黒骨の騎士〜』シリーズ、一章全てアップしました。全文版はさすがに有料にしています。今後の小説はおそらく同じパターンで分割掲載し、年齢指定ものや全文版は有料に変えていきます。

        09 管理人星川光の記録

        • 『太陽の女神、月の男神』第二.五章

        • 過去のはじゅかしい作品も含めて一部有料に変えました。直したり、加筆したり、本にしたいものだったりするので大量にいじり出すと思います。好きだった作品に課金してくれると本になる可能性が高くなります。

        • 『黒骨の騎士〜』シリーズ、一章全てアップしました。全文版はさすがに有料にしています。今後の小説はおそらく同じパターンで分割掲載し、年齢指定ものや全文版は有料に変えていきます。

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        • 好きな記事とかあとで読みたいもの
          49本
        • 0083の収容記録
          9本
        • 太陽の女神、月の男神
          3本
        • ふろたんの呟き
          39本
        • 神の遺跡
          15本
        • 『黒骨の騎士と運命の子』シリーズ
          8本

        記事

          『黒骨の騎士と運命の子Ⅰ カリバーンの乙女』(長編)

          伝承 世界の初めに一つの王国があった。全てを赦され全てを誇った神と精霊の国サヴェル・シウ・スール。しかし全ての精霊の王プレグライアが死すると、国は乱れ白の国と黒の国に分かれた。 そして白の国も黒の国もそれぞれが戦いにより分かれ、またその子どもたち……四つの国々もまた戦いを繰り返し一つ一つの国は小さくなっていった。 そうして、世界には八つの国が在った。  ──『八つの国』(サヴェル・シウ・スールの子孫、精霊の子スリブランの予言と伝承) 八つの国亡国、かつての四大王国の二つ

          有料
          300

          『黒骨の騎士と運命の子Ⅰ カリバーンの乙女』(長編)

          『黒骨の騎士と運命の子Ⅰ カリバーンの乙女』−6

          世界観前: 5.黒骨の騎士と夜の王 6.黒骨の騎士と白騎士ジークハルト 白騎士ジークハルト率いる中隊二百余名の兵士たちは大陸側のヴォナキア王国から離島シルベルフを目指し、海辺の寒村へ差し掛かった。 「しかしまあ、よくこんな大勢生き残ってましたね。テリドア陥落の時だいぶ死んだと思ったんですが」 魔法剣士マインラートは魔女の髪から作られた魔法封じの縄で手を縛られ、鞍上(あんじょう)の白騎士ジークハルトに引っ張られていた。 「黙らないなら舌を切るぞ」 「おっかねーこの姐さん。おっ

          『黒骨の騎士と運命の子Ⅰ カリバーンの乙女』−6

          『黒骨の騎士と運命の子Ⅰ カリバーンの乙女』は、6までなので明日が最後です。その次に1のまとめ十万字分を投稿して一度区切ります。まだ2が仕上がってないので……。

          『黒骨の騎士と運命の子Ⅰ カリバーンの乙女』は、6までなので明日が最後です。その次に1のまとめ十万字分を投稿して一度区切ります。まだ2が仕上がってないので……。

          『黒骨の騎士と運命の子Ⅰ カリバーンの乙女』−5

          世界観前: 4.黒骨の騎士と豊穣の祭り 5.黒骨の騎士と夜の王 クレリアがバチッと目を覚まし、反射的に体を起こすとそこはあまりにのどかな景色であった。暖かい日差しのなか鳥が歌い、妖精たちが蝶のように舞っている。 「ここは……?」 クレリアはハッとして辺りを見回した。アレッキオ、ディミトラ、パーミラとマテオが気を失って草葉の上に転がっていたが、ハルサラーナとフォンザーの姿はなかった。 「姫さま……!」 そうだ、黒骨の騎士は突然現れた魔法剣士によって致命傷を負ったのだ。そのこと

          『黒骨の騎士と運命の子Ⅰ カリバーンの乙女』−5

          『黒骨の騎士と運命の子Ⅰ カリバーンの乙女』-4

          世界観前: 3.黒骨の騎士と幽霊騒ぎ 4.黒骨の騎士と豊穣の祭り「幾らなんでも情報が集まらなさすぎだよ。何年前に失くしたんだ!?」  夕暮れ時、珍しく酒場でアレッキオが声を張り上げる。フォンザーは彼の愚痴に付き合いながら懐かしい黒ビールを口にする。 「精霊にとって五十年程度なら“最近”だからな。あの泉の乙女ももう何年も泣いていたのかもしれん」 「かーっ、これだから精霊は! そこの麗しいお嬢さん! ビールお代わり!」 鼻の頭にそばかすがある赤毛の看板娘は照れくさそうにしつつも

          『黒骨の騎士と運命の子Ⅰ カリバーンの乙女』-4

          『黒骨の騎士と運命の子Ⅰ カリバーンの乙女』−3

          世界観 前: 2.黒骨の騎士と泉の乙女 3.黒骨の騎士と幽霊騒ぎ 外はダラダラと雨が降り続いている。黒骨の騎士フォンザーはどんよりとした空を見上げ溜め息をついた。振り向けばはちみつ色の髪の小さな姫が、同じ大きな布張りのテントの中、支柱の近くで高く積まれたクッションや枕で囲まれたベッドの上に赤い顔をして眠っていた。  竜人たちの町ソン・サザリームから出発して二日後、ハルサラーナ姫が高い熱を出したためフォンザーを始めとする姫の従者たちは旅すがら商売をしてまわる商隊(キャラバ

          『黒骨の騎士と運命の子Ⅰ カリバーンの乙女』−3

          『黒骨の騎士と運命の子Ⅰ カリバーンの乙女』−2

          世界観前: 1.黒骨の騎士と薬屋のクロエ 2.黒骨の騎士と泉の乙女 ヴォナキア王国、森の小さな町ワスマからそう遠くない森小屋の周りには切り倒した丸太が何本も転がり、その表面にはキノコがたくさん生えていた。森小屋は屋根から壁まで蔦に覆われ、遠目には生い茂る樹々に隠れて小屋とは気付きにくい。黒骨の騎士フォンザーは夜通し歩いたその足で小屋へ真っ直ぐ向かうと、三回ノックをして扉を開けた。  髪ははちみつ色。滑らかな白い肌に頬は薔薇色。瞳はカイルギの南の海より鮮やかで青い。唇は桃色の

          『黒骨の騎士と運命の子Ⅰ カリバーンの乙女』−2

          今日から『黒骨の騎士と運命の子』シリーズ毎日コツコツアップします。とりあえず1章だけ。

          今日から『黒骨の騎士と運命の子』シリーズ毎日コツコツアップします。とりあえず1章だけ。

          『黒骨の騎士と運命の子Ⅰ カリバーンの乙女』−1

          世界観 プロローグ 黒い鎧の騎士は走っていた。その懐に小さな乳飲み子を抱えて。鍛えられた太い手足を振り抜いて。雨のような矢を潜り、蛇のように走る炎を越えて、黒い騎士は走った。 走って、走って、黒い騎士は勢いのまま塀を駆け上がる。大砲の轟音とたくさんの悲鳴から小さな姫を守るために、彼は堀に張られた水に飛び込んだ。 1.黒骨の騎士と薬屋のクロエ 今は亡きテリドア帝国の西、ヴォナキア王国の内陸、森に囲まれた小さな町ワスマにその酒場はあった。傭兵たちがギルドを組み、ヴォナキアの中

          『黒骨の騎士と運命の子Ⅰ カリバーンの乙女』−1

          『黒骨の騎士と運命の子Ⅰ カリバーンの乙女』−世界観

          伝承 世界の初めに一つの王国があった。全てを赦され全てを誇った神と精霊の国サヴェル・シウ・スール。しかし全ての精霊の王プレグライアが死すると、国は乱れ白の国と黒の国に分かれた。 そして白の国も黒の国もそれぞれが戦いにより分かれ、またその子どもたち……四つの国々もまた戦いを繰り返し一つ一つの国は小さくなっていった。 そうして、世界には八つの国が在った。  ──『八つの国』(サヴェル・シウ・スールの子孫、精霊の子スリブランの予言と伝承) 八つの国亡国、かつての四大王国の二つ

          『黒骨の騎士と運命の子Ⅰ カリバーンの乙女』−世界観

          08 ?-※-012■の記録

          前作:『07 U-r-0083の収容記録』 「何ですか?」 「い、いや……」  不死鳥の跡継ぎとして目覚め、赤いストレートヘアの美女になってしまった私は食堂で普段通り0083部署のメンバーと朝食を摂っていた。加奈河さん、佐井登さん、雨江嶋さんの三人は姿が変わった私に全く気付いておらず、暗闇さんだけが唖然としている。 (暗闇さんが本気で動揺してる……) 暗闇さんからの視線を痛いほど受けつつも、私は不死鳥からの助言通り何でもない振りをして肉じゃがを口に運ぶ。 「魔術の勉強どうで

          08 ?-※-012■の記録

          07 U-r-0083の収容記録

          前作:「06 U-r-0083の収容記録」  朝、じんわり明るくなった照明により意識が持ち上がる。見慣れない真っ白な天井。小さな穴がサイコロのように規則正しく並んでいる。 (ええと……) 首を動かすとA-r-0120が壁に寄り掛かって眠っていた。 (そうだ、昨日収容がてら同じ部屋で寝たんだ) 私はゆっくり起き上がる。泣きじゃくったのですごい顔をしてると思う。本当なら長岡さんにもこんな顔見せたくないんだけど……。布団を一枚引っ張り肩に掛けて、長岡さんのところに寄る。私が近付く

          07 U-r-0083の収容記録