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牛のふん尿をリサイクルしてベッドに使う2つの理由

皆さん、こんにちは。ファームノート編集部の秋山です。まだまだ暑い日が続きますね。明日からパラリンピックも開幕します。熱戦に期待ですね。

さて今日は北海道標津郡中標津町にある私達の自社牧場であるファームノートデーリィプラットフォーム(DP)についてです。酪農業に縁遠い方向けに、僕らの取り組みをお伝えします。今回は環境対策として実施している、牛から出るふん尿の有効活用について紹介します。約4分で読めますので、最後までご覧いただけるとうれしいです。

ふん尿がベッドに!?

DPでは1日に搾乳牛から約7.2トンのふん尿が排出されます。一般的に牛のふん尿は栄養価が高く、堆肥として活用することが多いです。一方DPでは堆肥としての活用するのではなく、牛のベッドの原材料(敷料)として使っています。

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敷料に横たわる当社の乳牛

日本では珍しい取り組みだと思います。ふん尿がベッドに変身するって不思議ですよね。

では、早速仕組みをお伝えしましょう。まず、牛のふん尿等を牛舎内から貯蓄タンクへ集めます。集められたふん尿は固液分離機という機械にポンプで圧送されます。

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固液分離機がある建屋。この2Fに固液分離機を設置。

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2Fにある固液分離機。2Fから1Fに向かって固形分を排出。

そして、この機械を使って固形分と水分に分けます。60キロのふん尿から15キロの固形分が出来上がります。そして、この固形分(マニュアソリッド)を牛の敷料に使用しています。

牛にベッドが必要な理由

そもそも、なぜ敷料が必要なのでしょうか。乳房炎という病気を予防するためと、乳房が直接地面に着かないことで体の損傷を防ぐためと一般的には言われています。多くの生産者さんは、敷料におが粉を使っていらっしゃるとのこと。また砂を使用している方もいるようです。

*うちの牧場では、マニュアソリッド(乾燥させたふん尿の固形分)を使用しています。これが既存の敷料(おが粉など)に比べて乳房炎の発生にどんな影響があるのかは、現在はわかりきっていません。一方で、牛の消化管内で一度消化されているものなので、繊維が細かくなっていてクッション性があり、牛体に優しいと言っていいのではないかと現場では感じています。

コスト削減のため

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当社牧場のマニュアソリッド。結構サラサラしています。

敷料にマニュアソリッドを使う理由は2つあります。1つ目が敷料のコスト削減です。実はこのおが粉(≒木の粉)、最近急に高くなっています。木材の高騰のあおりを受けているのです。世界的な感染拡大の影響や、さらにアメリカの住宅需要の拡大で高騰に拍車がかかりました。実に平時の約4倍にも値上がりしていました。おが粉も引っ張られるように高くなりました。おが粉の高騰により生乳の製造原価が上がっても、牛乳の販売価格には転嫁しづらいのが現状。となれば、牧場が工夫し、牛に快適な環境づくりに知恵を絞らなければなりません。そこでたどり着いたのがふん尿の利活用でした。ちなみに、固液分離機の初期費用が約2,600万円かかりましたが導入後6〜7年ほど費用回収が可能な計算です。長期的に考えると"コスパがいい"のではないかと考えています。

地球に優しいため

導入している理由の2つ目は、環境への優しさです。固液分離機を導入したことで「ふん尿回収→固液分離機→敷料→回収…」というサイクルが完成しました。

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リサイクルが進むことで環境負荷の低減にも貢献できています。平さん(ファームノートデーリィプラットフォーム取締役)や下村さん(ファームノート代表取締役)がフィンランドで視察した時に共感したもの。その考えを持ち込んでDPで実現しました。なにより私たちのグループビジョンである”「生きる」を、つなぐ。”の考え方に合致します。

グループビジョンに合致した当社の取り組みは、まだまだございます。随時紹介していきますのでお楽しみに!

(状況が落ち着けば、是非DPへ遊びにいらしてください!)

企画・取材・編集:秋山ウテ
編集・執筆:西雄大
企画協力:平勇人
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